コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 某有名相撲力士A氏のうつ病に寄せて2007. 8. 8

当科事務長の提案にして執筆している。
資料のみを調べ、テレビ報道は見ずに書いている。

仮病疑惑などもあったようだが、やはり典型的うつ病であろう。本当に気の毒だ。
結構深刻ではないかと思う。

一連の事件の流れを見ると、意外に見落とされているが、N氏というサッカー選手との「出会い」
これはタイミング的にはとても大きい。
出会うべくして出会ったとも言えるが、この時期、この場所で。
神の与えた何とも形容しがたい偶然という名の試練の砥石だ。

相撲というスポーツは、サッカーなどの西欧的というか、今やラテン系に近い球技と違い、
日本の伝統的な国技だ。

世界中でも、最も伝統を重んずるスポーツ競技と言える。それは同じく国技に近い柔道などとも比較にならない程、厳しい。

もともと神前での儀式のひとつとして発祥した競技で、神は女性神であるから、現在でも土俵には女性は上がることはできない。(嫉妬するから)
これは以前、女性知事が礼式の折に土俵に足を入れる意欲を見せ、物議をかもした事件からも容易に想像できる。
結局、協会は頑なにこの伝統を貫き通した。或る意味、立派だ。
また外国人力士と言えども、日本語は話さなければならないし、日常の礼儀作法も、当然、徹底的に日本式だ。

スポーツというより、伝統儀式みたいなものなのだ。

その上ガチガチの管理社会。
彼の生年月日からすると、メディアに出てくる「ヤンチャ坊主」のイメージよりも、
素直でサービス精神旺盛で真面目な好青年に見える。
それが、相撲という伝統社会にマッチしてのあの大活躍が生まれたのではないだろうか。
ヤンチャで負けず嫌いだけで通る程、そんなに甘い社会ではない。
しばらくは、流石のヤンチャ坊主も「オリコウさん」「良い子ちゃん」への変貌で相撲協会の覚えも、
ここしばらくは非常に芳しいものだったらしい。

そのせいか、恐らく、相当無理をしていて、心理的には、もう、相撲も日本での生活も限界だったのかも知れない。
成績も今年に入り「力の割に」ふるわなかった。
そこへ腰の疲労骨折という好都合な「病気」が見つかり無意識にしてそこへ逃げ込んで、巡業を回避したのかも知れない。

やっと故郷に帰って、「休養」というところへ今やラテン系スポーツの王者サッカー選手OB、N氏との偶然の出会いだ。
最も自由人たる青年と、最も伝統の重圧に耐えに耐えていた二人が出会えば、それはそれは「遊びサッカー」も楽しかろう。

もし私が主治医ならば、見てみぬふりを決め込み、協会には黙っているから、ゆっくり遊んで(休むという意味もある)来いヨ〜!なんてゆるすんですけどネ。

そういうワケには行きませんよネ。
何せ天下の名横綱なんですから。

プロスポーツや、芸能人、有名人、知名人の世界は本当に厳しい。世間の目が厳しいだろうし、要求水準も極めて高い。
怖い怖いマスコミも、後ろからそっと忍び寄ってバッチリ画像に収めて(言葉は悪いが世間を騒乱させて売り上げ部数や視聴率を上げるのがマスコミの仕事だ)奈落の底へつき落とそうと待ち構えている。
我々、一般大衆、俗人、凡人というのは、呑気なものだ。
又、呑気な場所にいれるから何でも言える。

自分のことですけど、「ヤブ医者〜〜」とかののしられても「立派な先生ですね」とか褒め讃えられても、所詮人々にとっては他人事。
世間の評判なんて、「上がったり下がったり」最後はどちらにしてもみんな死ぬ。100年くらいの長い目で見れば何てことない。それがどうしたみたいな。

そんなことでアクセクするより、自由に気楽に生きていたい。

件の「横綱様」は本当にお疲れ様でした。
国家の威信を背負い、家族や兄弟の期待を背負い、日本の伝統精神まで背負わされ、本当に重かったでしょうネ。
184cm、146kgの体格でも心まで大きく強いワケではなかろうし、何せまだ26才なのですヨ。
世間の皆様。マスコミの皆様。相撲協会の皆様。
そんなことはないであろうけれども、たとえ本当に仮病、詐病であったとしても休ませたい。
休んでもらいたい。

だいたい、今時の日本人の26才の青年であんなに根性のある男がいるのであろうか。
彼はやはり、祖国のモンゴルの宝、日本相撲協会の宝、日本の宝。
そして、家族にとっては頼るべき大切な、若い大黒柱だ。
暖かく見守ってあげたい。

これは偽わらざる感想だ。

ありがとうございました。

たくま癒やしの杜クリニック
浜田朋久


追記【1】
以前「小錦」というとても人柄の良いハワイ出身の力士がいたが、とても頑張り屋だった。
彼の膝関節をテレビのレントゲンで見たが、それは「膝」と呼べるような代物ではなかった。
立つのもやっとではなかろうかという。
昔からボロボロになっても、相撲をとる。
こういう人物が好まれたが・・・。やはり、時代世代の違いであろう。

追記【2】
日本相撲協会やマスコミに対する不快感、批判的な気持ちは微塵も毛頭もない。そういう組織だと思うしそれで良いと思う。
「うつ病」というこの厄介な病気にはアタマが痛いだろうなあと同情さえする。
相撲の世界はやはり勝負の世界。若者達を限界まで追いつめながら鍛えて鍛えて成り立っている。
日本人の若者の相撲離れもある。
悩ましい限りだ。余計な事ですけど。
追記(3)
ちなみにハワイ人とモンゴル人では気候、日照時間の問題もあり、ハワイ出身の力士の方がうつ病にはかかりにくい筈だ。


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