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■ ズレ | 2016.12.22 |
西高東低の典型的な冬型の気圧配置。 日本列島を北極からシベリア上空の強い寒気が襲い、最低気温をマイナスに引き下げている。 晴れているのにとても寒い。 湿度が低い分、体感温度はそれほどイヤらしくない。 ただし水扱いをする人には寒い冬の到来だ。 12月も中旬を過ぎクリスマスが近づく頃は北半球では冬至(12月21日)も迫り陰極、即ち昼の最も短い1月へと太陽光が絞られていく。 暦の上では12月8日には隠遁から陽遁へと切り替わっているので、このズレにはいったいどんな意味があるのか考えるに、光と寒気のズレと同じように暦と大気のズレが微妙に存していると思える。 そもそも地球の気候変動の安定性と多様さは地軸のズレから生じており、人間の性格や社会の変化、国際関係の齟齬とも合致するような気がする。 このズレを容認できないと人間も地球も宇宙も分からなくなる。 絶対の調和というものの中に絶妙なズレを入れ込んでいるのが神様の采配の美しさだ・・・と考えている。 欧米人にとってもクリスマスが日本の正月のように祝われるのは特にキリストの生誕だけに限定されたものではないらしい。 それはおおざっぱに見て冬至に一致し正月に同期しクリスマスに合致する。 即ち12月の下旬から正月については世界中、イヤ地球は一年のウチの特別な転換点を迎えるようだ。 それらの時期に一致してその中身を精観するに、そこには明らかなズレがあって、その意味は一体何かと考えた時にこのズレこそ季節のうつろい、人心の機微、生命の誕生の母地になっているのではないかと思える。 生命の進化も遺伝子の稀に起こる突然変異の集積によって生じているとされている。 これらの変化を生じさしめるのに環境の変化、即ち何らかのズレが必要なのではないか・・・と思える。 人間関係もこのズレが面白いのだ。 落差、段差が面白いのであって男女のズレ、親子のズレ、兄弟のズレ、職場における上司と部下のズレ、仲間同僚同士のズレ、国際関係のズレそれぞれの思惑、認識、意識のズレ。 人間世界はこのズレで満ち満ちている。 このズレを容認し、喜び、楽しまなければ人生も世界も苦しいものになる。 そもそもあらゆる物質、生命の存在そのものの原因も消滅してしまうような気がする。 ズレ・・・大好き・・・くらいの精神的構えがあるとひょっとしてモノに動じない胆の据わった人間になれるかも知れない。 人間の心理など一致、合致、和合などというものは真の意味ではないのだ。 ただし事物を突き詰めていくと絶対の一致、合致が精緻な精密機械の接合部分のようにあらゆる物質の根底にはあるのだ・・・という前提認識は必要なのかも知れない。 「愛という名の調和」は絶対無比のものなのだ。 そうしてそれらの枝葉に生じるズレというものを楽しむ為のひとつの大切な要件であるような気がする。 人間社会、国際社会の争い、それも終わりの無い争いも平和の一部なのではないか・・・という風に考えている。 モノの本にもそのような意味のことが書いてある。 少なくとも多少のズレなどで大騒ぎするのはあきらかな愚である。 色々なズレを看過し、受容し、歓迎する・・・というくらいの気概が人生には必要な気がする ありがとうございました M田朋玖 |