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■ 軍需産業 | 2016.12. 7 |
ユダヤ人の映画監督スティーブン・スピルバーグのハリウッド映画で「シンドラーのリスト」というアカデミー賞受賞映画があって、主人公のオスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン扮する)の台詞に「戦争は儲かるぞ」というのがある。 観た当時にはそれほどインパクトは無かったのであるけれど、今や国際情勢をやや深読みしながら世界中の混乱や紛争の中心にこの軍需産業とそれに連なる多種多様の産業の「利益」を中心に眺めてみるとすべてが腑に落ちる。 明瞭に得心する。 ミサイル一発数億円、砲弾一発数千万円とかジェット戦闘機、数10億円とか数百億円とか聞けばそこに生じる「利益」というものがいかに莫大か分かる。 これは特に空中戦でウマ味があり、地上戦では少し落ちる。 モチロン兵士たちの移動や生活に食料や物資の補給というものも凄い額になるのだけれども「空中戦」に比較したら知れたものである。 莫大な利益を得られるこの紛争というものが世界中から無くならないのに正義とか宗教とか国家間の利害の衝突などではないのだ・・・と仮定し軍需産業の利益追求こそがすべての問題の最大の原因であるとすれば世界情勢の混迷に合点がいく。 先日開かれたOPECの会談でも減産が決定されたが、イランだけがそれにハッキリとは応じないことが報道されていたが、これもイスラム教国の中でイランに対しての警戒感が依然としてあるらしい。 サウジアラビア、クウェート、UAEなど湾岸協力会議(GCC)6ヶ国はイランに比べ軍事力や人口もはるかに小さく宗派も異なるスンニ派だ。 イランはシーア派、革命の輸出を目論んでいてスンニ派のGCCは常にその陰に怯えてきた。 そもそもGCCの設立趣旨は対イラン防衛協力であるらしい。 それらの国から同じスンニ派のIS(イスラミックステート)に資金が流れているとも言われている。 またトルコにとっても米国にとってもイスラエルにとってもISの存在は或る意味有難いのだ。 国内に千数百万人のクルド人を抱えるトルコは建国以来シリアやイラクに在するクルド人と連携し分離独立運動やテロに悩まされてきたという事情がある。 ご存知のようにイスラエルとイランの関係はまさしく「犬」と「猿」である。 米国に存する強大な力を持つイスラエルロビー(アメリカ・イスラエル広報委員会)は百以上の親イスラエル法案を米国政府に対して支援しているとされる。 これらの諸問題の中核には中東においては「対イラン(対シーア派)」、対クルド人という構図によって説明できるし陰でISを支援し紛争を継続させておくことが世界中の、とりわけ米国の軍需産業に益すると考えられている。 アフリカや南米、北朝鮮の存在など、いずれも紛争と名のつく軍事衝突もしくは緊張状態というのは、常に軍需産業を繁栄させていると考えて良い。 かつては(今もかも知れないが)米国には軍産複合体なるヤバい組織があって、軍と軍需産業とは合体癒着しており世界中に紛争や緊張を煽り、勃発させ国民の血税を使ってきたという歴史がある。 これを批判したアイゼンハワーは引退し、代わって大統領になった理想主義のジョン・F・ケネディもこの組織に殺されたという説もいまだに根強い。 平和主義を唱える日本国にも軍事産業はある。 そうしてそれらは儲かっている。 倫理観や人道主義など見せかけなのだ。自国を含め他人の喧嘩で儲けている組織や人間がいる・・・という認識は平和の構築について何らかの益を与えるのではないかと思える。 あらためて世界情勢を丹念に観察してみると先述した軍需産業の影が必ず透かして見える。単純過ぎる考えであろうか? ありがとうございました M田朋玖 |