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■ 君子豹変す | 2016.11.27 |
出典は易経である。 次期米国大統領、ドナルド・トランプ氏の豹変ぶりが凄い。 とてもまともな人間になったように見える。 言動や態度、ふるまいが選挙前と全然ちがう。 攻撃性や暴言は影をひそめ、その行動内容も概ね良識的・常識的である。 いたって紳士的と言っても良い。 豹変というより元々そのような人物だったのかも知れない。 一方、韓国の現大統領、パク・クネさんはとても気の毒だ。 国民の支持率4%だとか。 前代未聞である。 個人的には「国民の怒り」そのものが良く理解できない。 彼女が一体どんな「悪いこと」をしたのであろうか。 一般国民にどんな実害、被害があったのか知りたい。 数10万人単位のデモが起こる・・・というのに凄く奇異な感じを受ける。一説には北朝鮮の諜報員の扇動によるデモではないかとも考えられている。 それとも、やはり国民性なのであろうか。 「恨みの国民性」誰かの何かのせいにしないと気が済まないのか。 自らの不遇、不徳の原因をすべてパクさんに押し付けているように見えて正直言って「醜い」と感じるのは筆者だけなのであろうか。 何しろどんな出来事にしろ誰かを吊し上げるというのは、どんな理由にしろ大嫌いなのでる。 あの悪名高きヒトラーにしろムッソリーニにしろ件のパクさんにしろ選んだのは自分たちではなかったのか。 自分の国の大統領を鬼や畜生のように非難するのは天に向かって唾を吐くようなものではないだろうか。 このような事態(デモなど)を見ていると人間というものの愚かしさ、廉恥のなさについて思いを馳せる。 雑誌などに書いてあるように韓国人の民度が本当に低いのであろうか・・・などと思ってしまう。 そうは思えないが幾人かの彼の国の友人たちと接していると、個人的には皆さんとても知的で温厚な人が多いのでさらに奇異な現象だ。 個人的には慰安婦問題で激しい日本非難をしていたパク・クネ大統領に同情する日本人は少なくて「ざまあ見ろ」と思っている人も多いと想像できるが筆者にはそう思えない。 日本への非難攻撃の激しい時にも誰かにやらされている感じがあったり、安倍総理との会談でも側近にはこっそり「パクさんは反日ではない」と洩らされていたそうで、父親(朴元大統領)の親日ぶりを思う時に逆に根は親日でやむにやまれぬ事情から反日という論陣を張ったのかも知れず、それこそ機密漏洩の元となった人物(チェとかいう女性)の差しがねだったのかも知れず、今や全国民の支援を失い孤立無援となったパク・クネ女史には深い同情の念を禁じえない。 彼女の苦衷を思う時、まことにお気の毒である。 君子(立派な人物)は自分の過ちを認めたら素直に謝ってそれを認め、素早く前言前行をあらため、行動を変容するのであるから自分たちの選んだ大統領に対して「豹変」したマスコミや国民全体も君子なのであろうか。君子というのは概ね少数派であろうから、そうでないの人々の言行に対して、あらためて強い恐怖感を抱く。 トランプ氏、パク氏、ドゥテルテ氏といずれも国家元首、彼の人々の「スキャンダル(トランプ氏は次期大統領であるが)」には何かしら共通点がありそうである。 それは話題提供というもので、心情的には女性のパク氏やヒラリー氏の負け、トランプ氏・ドゥテルテ氏の勝ちという構図に見える。 イギリスのEU離脱にはじまって今年も国際情勢は一般の予想を見事に裏切って人生と同じく世界情勢も何が起こるか分からない。 どこから崩れるか分からない。 ヒラリー・クリントンの悲哀も共通するようにイギリスにEU離脱されたメルケル首相といい何となく女性受難の年に思える・・・けれど我が東京都知事・小池百合子女史はいかにも意気軒高としておられる。しかし民進党の蓮舫代表にも言えることであるが、こういう時が一番危険であると中国の古典は教えている。大体トップというのはあまり目立たないほうがいいらしい。いるのかいないのか分からないのにちゃんと「治まっている」というのが最善であるようだ。 調子に乗って言いたい放題やりたい放題がアブナイのはちょっと良識のある人、帝王学を勉強した人には誰にでも分かる。今後が見物である。 この都知事選挙も或る意味予想を覆していた。 日本の円安、株高上昇も完全に予想を裏切っているが結果的にTPPを強行採決した安倍総理にとっては全体として追い風になったような気がする。 小泉純一郎のゴリ押しした郵政民営化も一体何を残したのであろうかと考えた時に、或る種の遺恨のみを残しただけで何も残したのか分からない・・・今となっては「いったい何だったんだ」と思えるが、TPPがついえてしまった安倍総理も内心ホッとしたかも知れない。 ・・・というのは今の時点で実現したとしたら田舎の農業界はひとたまりもない。 経済的打撃を被り一部の大企業に有利に見えるこの貿易協定も一般国民からしたら未だに説明不足、理解不足である上に自民党の地方での支持率が一気に奈落へと落ちるという危険を孕んでいる。 TPPもそれについての庶民感覚においてはトランプ氏に軍配が上がる。 中央(東京)に住んでいたら理解できないであろうことが自然に米国の事情で消滅したのは或る意味ラッキーだったと言えるのではないだろうか。 物事すべて万事「塞翁が馬」。 何が幸いするか分からず、何が不幸の元になるか分からない。 人間は良きことにも悪なることにも試されているので、いつも気を引き締めて絶頂期に有頂天にならず、試練の時にもクサらず自分の仕事を粛々と心穏やかに全うするしかないのである。 しかし国にしろ会社にしろトップというのは孤独であるし、危険極まりない身分と心得ておくべきと思える。 パク・クネ政権の苦境を思う時、心理的な隙間(孤独感、依存心)に入り込んで悪をなした崔なる人物と一派についてはキチンと罰されるべきと考える。 経験的にどうしてもパク氏に寄り添わせてしまう自分自身の心に驚きつつこれを書いている。 ありがとうございました M田朋玖 |