コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 人口減少2016.11.12

日本の少子化が止まらない。
出生率が1.4台。
理論的には2.0以上ないと人口(人間の数)を維持できないので、このままで50年後には人口が今の半分くらいになってしまう。

フランスの「人口学者」エマニュエル・トッドに言わせると、日本の「家」制度に問題があるということであった(NHK)。
即ち夫婦が子供を持つと長男に嫁を取って「○○家」を家督する。
つまり「跡継ぎ」という概念が暗黙知として、心理的に世間的に制度が存在していて、それが人口減少の一因になっているというのだ。

跡継ぎ(男の子)は家を継ぎ、後の兄弟は言うならば世間に放り出されるか別の家をつくらなければならない。
それだけではなく嫁に入った女性を跡継ぎの嫁として夫と共に姑の支配を受け、誠にお気の毒で息苦しい日常を送らなければならない。逆もあるかも知れないが・・・。

このような文化というか因習というかならわしは日本、日本人にとってあまねく浸透していて、これらの考え方から全きフリーな状態でいられる人は思いのほか少数派と考えられる。
筆者自身ですらその長男の跡継ぎとしての責務を果たし、無言の圧力を子供達に与えて長男を跡継ぎとして医学部に何とかかんとか押し込んだ。

これらのシステムが悪いとか古いとかいうことではなく、この家制度そのものが日本国の文化になっていて或る意味立派に成り立たせられているという側面もある。
即ちそれが物事の不幸の根源というワケではないということだ。

しかしながら生まれてきた女子とか長男以外の弟たちはいかに生きていくかというと長男に扶養力が強大にある一族では彼らは長男をトップにひとつの階層を創り上げ家業(企業)の繁栄発展に参画することになるが、それらの養護を嫌い独立して一家を構えるということを奨励する一族もあるようである。

筆者の学んだ経営者セミナーでは長男で家を成した企業家の跡継ぎはどんなに不出来な兄弟であっても「面倒を見る」ことが美学であるし、家業の為によろしいということであった。

ちなみに経営とは「真」「善」「美」の追求であるとする経営コンサルタント、セミナー会社の論調は割と普遍的に存するようであるが、今のベンチャー企業にはこれらの哲学はないのかも知れない。

この家制度はドイツとかイギリスとかにはあって、フランスにはないそうである。
ドイツの男系社会は日本と共通していて、家の制度が今もあるらしく企業家業の継続繁栄発展には一定のプラスエネルギーを与えているようにも思える。
そもそも経営とは営みつづける(経)ことが主たる活動目的であるし、ギャンブルのように一発勝負ではない。
「継続」のための「家」の制度は日本の天皇家を筆頭に諸外国の宇王家、王室には確実に存しているようである。

日本とドイツとアメリカとは工業国、先進国として発展しつづけており、フランス・イタリアは一時停滞したのはこの「家」ひいては「会社」についての考え方の「甘さ」があるのではないかと個人的には考えている。

話しが飛んでしまったが件のエマニュエル氏によるとフランスでは「家」のシステムがなく男女兄弟は平等でそれぞれパートナーを得て子供をつくり、できた子供は保育園に預けて共働きをする・・・というのが一般的であるらしく、これが社会的・文化的に支持されて人口減少をくい止めているとのことだ。
ちなみにフランスの出生率は2012年で2.01人だそうだ。
人口減少を嘆く日本人の一人としてビックリするほど羨ましい数字である。

フランスでは非嫡出子、婚外子の割合も物凄く、何と50%であるのだ。
子どもは社会や国家が育てるというやや共産主義的な思想がフランスにはあって、男女間の一夫一婦制特有の倫理的縛りが甘いのだ・・・多分・・・それが良いか悪いかは別にして・・・。

女性はどんどん恋愛して子供を産んで制度的な援助を、少なくともフランス並みに厚くして少子化を食い止めるのが、喫緊の国家の課題なのではないかと考えているけれどいかがであろうか。

筆者の目には日本の場合、少子化を問題にしていない国家、社会的トレンドこそ問題なのではないだろうかと見える。

とにもかくにも「子育て」には膨大なエネルギーがいるのだ。
それを一人の母親にだけ、父母にだけ負わせるというのはあまりに酷であるまいか。

ありがとうございました
M田朋久


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