コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 大統領選2016.11.10

過去に出馬したら必ず当選するだろうと言われていた人物がいて、それは何を隠そう俳優のクリント・イーストウッド氏その人である。
今は80才を超えてその任ではないと思えるが、政治家歴としてはカーメル市長という経歴もお持ちである。
このクリント・イーストウッドが支持すると明言されていたのが先ほど当選確実となったドナルド・トランプ氏である。

史上稀に見る不人気候補のご両人、醜い選挙戦も世評を覆してトランプ氏が数字的には圧勝と呼べる結果となった。
選挙開票速報において殆どリードしつづけたということだ。
アメリカ国民の心、一般庶民に心を寄り添わせればこの結果は不思議と腑に落ちる。

不平不満が爆発寸前であったのだ。
つまり現状が「とても嫌」だから「何とかして欲しい」。
何でもよいから「変えて欲しい」ということなのだ。

8年間に及んだオバマ民主党政権もそれなりに実績がないワケではないが、何せ日本と同じ景気の割に国民の暮らしは少しも良くならない・・・という「仕組み」ができていてホトホトウンザリしているのだ。
特に中間層から下層の白人労働者にとってはクリントンが富裕層の側にいる人間に見えてとにかく「嫌」だったのであろう。
ましてやオバマ大統領の魅力的なスピーチがカリスマを備えているわけでもなく存在として薄っぺらい・・・というよりクリントンを大統領にしても現状が変わらないと多くのアメリカ国民は判断したのである。

これは不気味なことにドイツ・ワイマール政権下の大恐慌時代のヒトラー率いるナチス党大躍進の時代によく似ている。
一般国民の不平不満を大きなテコに暴言と言われようと差別と言われようと多少お下品でもいかにも紳士然としてカッコの良いオバマ大統領の対極にいるトランプの方がオバマ系列にいるクリントンをして目の敵と思わせるほどの魅力があられたのであろう。

そもそもアメリカ人はトランプ氏のようなキャラが好きなのである。
ヤンチャで言いたい放題で、飾らず素朴で率直な物言い、知的でない雰囲気。
これらが醸し出す一種の下品さ、教養の無さというのが一般のアメリカ人には魅力的なのである。

現在でもアメリカ人は反教養主義というのがはびこっていて、ユダヤ人のように本を読まない人々をして魅力的とみなす傾向があるのだ。
実際にロックフェラーが選挙資金を出していたとされるクリントンへの反感反発が半端ではないと思える。

そう考えると親ユダヤ、親富裕層に見えない富裕者トランプ氏の当選は当然と言えるかも知れない。

ナチス・ヒトラーを持ち出すのには飛躍がある・・・と思う方もおられるかも知れないが、ヨーロッパにおけるネオナチの静かな台頭とか選挙の手法というものがそもそもナチス的なのであるから仕方がない。
それにしても政治家と富裕層の結びつきによって生じるとされる貧富の格差のひどさは目を被うばかりである。
毎回のようにこれを書いているがいっぱい稼いだ人は税金でもって世間、社会、国家にお返ししようとは思わないのであろうか。
国家のシステムというのは富の再分配という大切な機能を忘れてしまったかのような富裕層優遇の制度になっているのがおかしいと思う。
これを打ち砕いてくれるかどうかトランプ氏の腕の見せ所である。
これがバランスを欠いたものであるなら4年後の再選はないだろう。

要はバランスの問題で、富の偏在というのはどこの国へ行っても革命やクーデター、治安悪化の温床になるのである。

シリアの難民問題を他人事のように笑えないアメリカ国の事情もあるのだ。
「テロ問題が片付くまでイスラム教徒は国に入れるな」
トランプ氏の言も決して違法ではない。
国の人の出入りは国家が主管するものである。
「不法移民は国に返せ」
これも違法ではない。
一見人道的に見える悪法というのは日本をはじめ先進国にはいっぱいあって問題になることが山のようにあるが、これらはスッパリと切って見せるトランプとかドゥテルテとかの暴言士も一般の人々が口に出さないことをハッキリ言ってくれるので意外に国民の人気があったりしてそのような結果になったのが今回の米国の大統領選の結果ではないだろうか。

ありがとうございました
M田朋久



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