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■ ドゥテルテ旋風 | 2016.10.31 |
ドゥテルテというのは所謂「暴言」で一躍有名になったフィリピン国の現大統領の名前である。 「オバマは地獄に落ちろ」とか「EUやアメリカはバカである」とかチョット考えられない。 特にオバマ大統領などからすると聞き捨てならないような発言を世界中のマスコミの取材する公的な場面でなさっておられ、或る意味「見上げたもんだよ、おっ母さん」である。 覚醒した状態で、素面でハッキリと明言しておられ、日本の政治家が時々やる「失言」とも違う、まごうことなき暴言であることが国民の快哉を得るのであろうか、国民の支持率は86%であるそうな。 「大したもんだよカエルの小便」。 日本人からみるとどこか田舎の建設会社の社長さんか、どこぞのヤクザの親分のような風貌とイデタチで或る意味結構な凄みである。 ガムを噛みながら堂々と応接したり半眼で深く脱力したりして一見その筋の人間と見まがうほどの存在感だ。 ネクタイ姿がまた凄い。どう見ても「おらが村の村長さん」だ。 それほど大柄でもないしかっこよくもないのに不思議に大きな「カリスマ」。 その御仁がアジア太平洋地域をひとつのブームになるくらい、まさに旋風と呼ぶにふさわしい活躍をされているようで嘆かわしいというかめでたいというか・・・いずれにしても大きなインパクトだけは確実に有する興味深い人物だ。 物腰や態度や風貌について人の偏見があると思えるが、この方はとても真面目で強い正義感で高い倫理観を持たれているナイスガイなのではないかと見ている。「神の声がしたから、ののしる(暴言)をやめる」なんておっしゃるし、それなりに敬虔さや神妙さもお持ちのようで何となく神様からしたら、かわいらしいではないか。 1945年生まれであるから、何とあのミャンマーの最高顧問アウンサンスーチーと同年。桜井よしこ、リラダイアン・ソーヤーも同い年だ。 恐れを知らぬその言動もある意味とても痛快である。CIAとか麻薬組織とか怖くないんであろうか。ヨーロッパとか南米では強烈な見せしめ的残酷な私刑や殺戮を為政者側の人間にもするらしい。実際にフィリピンでも警察官殺害なんて日常茶飯事であったらしい。 この一風変わった大統領も、単なる独裁者ではなく、麻薬関係者、とりわけ暴力組織とかアンダーグラウンドに蠢く悪人たちからすると恐怖の権化みたいな人間と思えるであろうが、善良な一般ピープルからすると神から賜った救世主のような存在なのかも知れない。 何せ多くの悪人共がドゥテルテ氏とその警察組織を恐れ、自ら警察に自首して出て、進んで刑務所に入っているという事態を見ても理解できるではないか・・・。 国家や一般市民にとって治安というものは真っ先に解決すべき問題なのではないだろうか。 麻薬使用者や売人共の通りを跋扈する国を放置しておくことこそ為政者の悪徳の至りと思えるがいかがであろうか。 確かに部分的に見れば法治国家(なんとフィリピンには死刑制度がない)の体を成していないと思えるがそれはあくまで麻薬撲滅という大義名分の為のものであり、このことは一貫しているので何の矛盾もないように思える。 件の大統領の売名でもないし私的な欲望の為でもない。 麻薬を半年以内に撲滅してしまうという選挙公約を何よりも優先して果たさんが為の行動である。 麻薬を使ったり売ったり買ったりしたら警察官にその人間を殺害して良い・・・なんていうのは中世の魔女狩りにも匹敵する暴挙とも思えるが、麻薬使用者が400万人もいる言わば麻薬天国とも言えるフィリピンを、この「愛する国家」の為に一意専心頑張っておられるのであるから短期間に1700人も殺害したとか、「人権擁護」の立場からすると鬼のような人物も国家の安泰とか100年先の国勢を考えるとヒストリカルに有意な人物と見ることができる。 また彼の人の歴史認識も全然マチガッテはいない。 某国の大統領とか国家元首のように捏造された歴史事実をあたかもそれが真実であったかの如く装い、被害者面をぶら下げて我が日本国を非難するようなこともなく、スペインや米国の植民地支配の長かった時代に比べて少なくとも同じアジア人として人間扱いをしていた日本の占領下にあった時代を独立する前に最良という認識を持たれているのだから・・・。 アメリカ嫌いというより歴史的に大量殺戮をしたという真実を指してアメリカは謝罪もしていないのにそんな戯言(他国の政治制度についての人権擁護的な非難)を言えるのか・・・みたいな怒りについても筋が通っているように個人的には思える。 いずれにしても、日本、中国、アメリカは今のところ手玉に取られたとも言えるドゥテルテ大統領の「独自外交」ではある。これらの外交手腕も「ただもの」ではなさそうであるし、相当にアタマもいいのではないか・・と見ている。 映画的に見ると、どこか田舎風ののどかな匂いのする彼の国の国家元首ではあるし、また「勧善懲悪」即ち善人を大切にし、悪人を懲らしめる昔日の時代劇的な痛快さを感じるのは筆者だけであろうか。 いつの時代にも混迷期・混乱期にはこのような人物が現出するようである。 中南米、北米の国境地帯に頻発する麻薬戦争、事件を思えば余程スッキリしていると思える。 カーター大統領の人権外交の失敗。 人権という名の偽善にはもう飽き飽きしたのだ。 「人間の命は地球よりも重い」と言った福田元総理もよど号ハイジャック事件では国際的に大恥をかいた。 これは歴史的に見るとそうである。 人権と国家、法律と人間社会、永遠のテーマとも思えるが、あらためて深考したいものである。 ありがとうございました M田朋久 |