コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ ハドソン川の奇跡 2016. 9.27

日曜日の午後、どういうワケか誰にも会いたくなくて、それにしてもゴロゴロしているのもモッタイナイし、バイクにはまだ暑いし、とにかくお気に入りの服でも着て久しぶりに車でドライブに出ることにした。

走行18万kmの我が愛車レクサスLS600hも外身には一見分からないが、流石の高級車も塗装が灼けて色褪せ、良く見ると小さな傷や剥げが無数にあって全体的にくたびれている。
走りも標準装備のエアサスペンションが不調で揺れがひどい。
けれども基本的にピカピカのおろしたての新車よりも古びた車の方が好きなので8年もののロートル車を走らせていると気分も少しずつ良くなっていった。

早々に高速に入ったものの目的地がない。
やっぱり映画館だ。
熊本市内の映画館が地震の為、一部を除いて殆ど全滅。
そのあおりで県南のショッピングモールの一角にあるシネマコンプレックスは大賑わいだ。

「君の名は」というアニメ映画は満席とのこと。
今どき立ち見なんかチケットはないだろうし、観る気もないので封切られたばかりの「ハドソン川の奇跡」というクリント・イーストウッド監督制作、トム・ハンクス主演の映画を観た。
たまたま前日にNHKのドキュメント番組で同じタイトルで放映されていて録画を見たばかり。事件の内容を知って観るわけであるから好奇心は逆に高まる。

チケットを自動券売機で購入し、小腹が空いていたので階下のモッコスコーヒーという喫茶店でミックスサンドイッチとアイスコーヒーの昼食を摂り16:30に入館した。

暗い館内はまだ予告編。
マナー注意の映像が最後に流れ本編。

最初から飛行機事故のシーン。
これは主人公の「夢」であった。
内容は2009年1月15日に起こった飛行機事故の実話で、世界中見回しても殆ど全くないと言えるハッピーエンドの物語である。

英雄的に巧みな操縦で全出力(エンジン)を失ったエアバス320を操り、見事に真冬のハドソン川に、それこそ奇跡的に、無事着水させ乗員乗客155名全員の命を救った英雄を「国家安全運輸委員会」という裁判もどきの会議で事故の容疑者として裁く・・・というのがラストシーンである。

その「国家安全運輸委員会」がハドソン川につづく2番目のヒノキ舞台。
コンピューターの「飛行シミュレーション」で、わざわざ危険な川への不時着水ではなく、離陸した空港(ラガーディア空港)が最寄りの別の空港に引き返せるという結果が出て、そのシミュレーション飛行への「反論」を主人公のトム・ハンクスが、自らの飛行過程の分析をして、相撲のウッチャリ、逆転サヨナラホームランなみに見事なプレゼンでひっくり返して見せる。
最後は副操縦士(アーロン・エッカート演じる)の明るいユーモアで委員会を爆笑させて終わるという物語である。

それにしても本当のベテランのプロの仕事というのは見ていていつも感動する。
新幹線の運転士、世界中を飛び回っているパイロット、バス、タクシー、医者、弁護士、多くの技術者、専門職の仕事ぶりというのはいつも感動的に美しい。
冷静沈着で情熱的で使命感にあふれ全くもってお見事としか言いようがない。
恐らく安全に行われている毎日の彼らの所業というものが実はとても感動的で美しいのに、事故や事件がないとそれが表に出ないのだ・・・多分。

こういう映画はあらゆるプロフェッショナル、それらの享受している全ての人々に捧げられて良いと思える。
プロの人はあらためて自らの重責を思い出させ、それらのサービスを受け取る側は或る種の感謝感動を感じてもらう為に。

あらゆる人々は皆お互いに助け合って生きているのだ。
誰も孤立はしていない。そのことを明瞭に鮮明に思い起させてくれる、静かな感動を呼ぶ良い映画であった。

ありがとうございました
浜田朋久

追記:デンゼル・ワシントン主演、ロバート・ゼメキス監督の「フライト」という映画と比較して観たらさらに面白い。
アル中、薬中の飛行技術の秀でたパイロットが主人公でハッピーエンドとは言い難い結末。
英雄的行為もアルコールと薬物摂取でそれを行うと犯罪者になってしまうという作品で、こちらの方が重苦しい内容であるが飛行機映画は好きなので購入して飛行シーンだけ時々観ている。
とにかく飛行機の操縦席というものには強烈に惹きつけられる。

帰りのドライブ、車の運転がどこかしら楽しくなる映画だ。
何にしても安全運転は業務上(運転上)とても大切なことなのだ



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