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■ 睡眠薬 | 2007. 7.30 |
個人的には、不眠症の歴史は古い。 モノゴコロついた時から不眠症だった気がする。 以前にも書いたように大酒飲みで酒乱の父と、多少エキセントリックで短気な母親の間で 深夜毎晩のように繰り返される激しい暴力沙汰や騒動は、神経過敏の少年にふとんの中で眠ることを許さないであろうことは容易に想像できる。 中高校時代は寮生活で「激しい親」からは解放されたものの殆ど習慣的に起きていて、 12時の消灯後もふとんにもぐり懐中電灯で本を読んだり、寮の中をあちこち探検したり、無人の校庭を走りまわったり、果てには、隣の小学校のプールで泳いでみたりと、とにかく深夜徘徊は常のことであった。今だから言えますけど・・・。 大学時代は、完全な昼夜逆転。 学校に行けず教授に「不眠症です」と相談したら「勉強すれば良い」と即答されてしまった。 ナルホド。 医者になったら、逆に好都合だ。どうせ夜は眠くないのだから昔は、 アルバイトの当直勤務でお金を稼がなければ大学でもらう7万円の給料では生活できないので、 週に3日も4日も、あちこちの病院に「泊り」に出かけ、朝から大学病院に出勤していたけれど、病院で昼寝ばかりしていて、院内コールNo1になったこともありました。 とにかく年中休みなしで働いていたけれど、とても貴重な体験と、40万円の貯金ができた。 開業医になってからは、初めのウチはとても暇だったので100kmあまり離れた県庁所在地の街にバイクや車で出かけ「カルアミルク」とかいうあま〜いカクテルを1〜2杯飲んで朝方帰ったりしていた。 結婚してからは、ある米国人の医者の書いた本に「33才を過ぎたら、睡眠薬を飲んでやすらかに眠った方が良い」などと記してあったものだから、(殆ど根拠は無い?)以来、心おきなく睡眠薬なるものを服用している。 かれこれ20年近くなるワケだ。お陰でアル中にもならず、とりあえず生きている。 だいたい、クスリも服まずに眠れる大人の方が不思議に見える。 余程、ストレスも無く、優雅に生きておられるか、何の問題も無い心地良い家庭に育ったのであろう。 フランスの有名ブランド、「シャネル」の創始者、ココ・シャネルは完全な睡眠薬中毒で日中もフラフラしていたそうだが、世界的なファッションブランドを立ち上げ80才台半ばまで生きた。 彼女は母親を幼い時亡くし、父親に捨てられ、孤児院で育ち、そこで妹を失っている。 自分よりはるかに痛みの多い人生とも思えるが・・・。 ともかく睡眠薬は余命には医学的、データ的にも影響を与えないそうだ(先日の心療内科学会でも確認済み)。ホッとしますネ。 最近、体感したことですけど、睡眠欲求というものがあって、 それが快楽であることも改めて知りました。 だいたい、子供時代から「寝る」とか「食う」とかにはもともとあまり興味は無かった気がする。 「眠らず」「食わず」なら、さぞ人生も長かろう。 とは言え、流石に最近はホントに不眠だととても辛い。 ココロやカラダの不快感は、私の場合殆ど不眠からきている気がする。 であるので、朝寝、昼寝、夕寝とやたらに寝る。とういうワケか夜以外は睡眠薬は要らない。 「夜」眠れないだけ。 つくづく少年時代のトラウマは怖いですネ。一生続くような気がする。 小学生の三男はもっと眠らない。夜中じゅうゴソゴソしている。遺伝に違いない。 世間では、入眠法なるものがあって、いかにも心地よさそうな「アロマ」とか「入浴」とか「音楽」とか 多種多様あるが、そんなヒマ人でもないし、メンドウ臭いので「睡眠薬」をチョイスしている。 この文章もだいたい服用後に寝床で書いている。 モチロン子供や若い男女にはお勧めできませんが、人生の峠を過ぎ、ストレスを山のようにかかえた 「ビジネスマン」や「心の病気の人」「高齢者」等々とにかく起きていること、生きていることが辛い人や睡眠を必要としている人には今のところ最もお手軽な快眠グッズであろう。 ありがとうございました。 たくま癒やしの杜クリニック 浜田朋久 |