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■ リハーサル | 2016. 8.24 |
NHKという放送局は必ず番組制作の前にはリハーサルをするそうである。 それが生放送であるなら当然であろうけれど、チョットしたジョークでさえリハーサル済みであるらしいからそのような前提を考慮してあらためて観ていると何だかシラケてしまう場面も多い。 筆者も先日のバイクツーリングの前には入念なリハーサルをした。 天候、気温、風などの環境要因の体感覚の取得、バイクの選択、服装、装備品のチェックと殆ど一日がかりで行った。 真夏のツーリングであるから体力消耗も激しいので脱水予防の水分補給は言うに及ばずメッシュジャケットかフェイクレザーの通風性の良い物にするか迷ったり、高速走行の感触とかそれこそ何回も試し乗りをしたりして感触感覚を、安全性を確認した。 日頃からザッとした性格と思われているから友人知人は驚くと思うが用心深さについてはその準備の入念さにおいて優るものはないと体調管理、精神管理を含め意外に慎重に対処している。 「何となく気が進まない」と感じる時とか情緒不安定、たとえば怒ったりイライラしたり不安だったりすると乗らないようにしている。 悲しみについてはより冷静で理性的になるらしく軽い悲哀感情のある時には乗るようにしている。 「オートバイは生き物だ」 確か「あの胸にもう一度」というオートバイ映画でのアラン・ドロンの台詞であるが、愛情を込めて手入れをし、洗車をしてガソリンを入れてポンポンと撫でているとバイクも喜んでいるように見える。 出来ればバイクの整備も頼んで置くべきだったが時間がなくてかなわなかった。 とりあえず慎重に運転することだ。 下手に慢心するより余程安全だ・・・と考えている。 何せ生命にかかわることなので慎重すぎるくらい慎重が良いと常日頃思っているので精神面、体調面の調子を見る意味でもこのリハーサルはツーリング前には欠かさないようにしている。 こういう手続き、準備は殆んどの旅行の時に行うのでそういう意味でも旅行は面倒臭くて嫌なのである。 あまり準備をしないでポッと出かけるということが、こと「旅」については出来ないタチである。 あらゆる作業がスムーズでないととにかく嫌なのだ。 例えば衣類などどうでも良いことであるけれど気に入らないと調子が落ちる。 昨年(平成27年)の夏のバイク旅行のドロップアウトもコンディションづくりと同じく服装の選択をマチガエタ結果が大きい。 自分では良しとしていたブルージーンズを穿いて行ったからである。 今年は敢えてホワイトジーンズにした。 見た目の問題ではない。 あくまで自分の気分の問題である。 白い衣類がバイクに不向きなのは分かっている。 何しろ油やホコリや飛沫物でどうしても汚れる。 案の定、一日にしてボロボロに汚れた。 白いシャツに白いジーンズ、黒のレザージャケットだから何となく見た目的には違和感があると思えるが、これはもう「好み」の問題であるから仕方ない。 白と黒のモノトーンというのが普段着でも落ち着くのだ。 色が入ると何となく気が落ちる。 これは最近の傾向で毎日倦きもせず白と黒ばかりを着ている。 最近は仕事のリハーサルもする。 35年も開業医として診察室に常駐(?)しているワケであるからいい加減馴れてそんなことをしなくてもと思いきやこの馴れというのが一番怖い。 毎日毎朝新しい気持ちで仕事に取組みたいのでいつもの場所でいつもの仕事なのであるけれど日曜日の午後か午前に診察室に座って軽く書き物をしたり読書をしたりパソコンを観たりして軽くナラす作業をする。 ・・・と月曜日の気分が違う。 準備をしたという自己満足的実感があるのだ。 精神的調子を感得する為の軽いリハーサルは結構有益であると思える。 本番を遊びの時間、自分の時間に体験するのはとても気が緊まる感じがして良い。 頭の中のリハーサル、シュミレーションは、しょっちゅうする。 何となく「良い感じ」がするまで行うのでただ横になっているから(他人から見たら)想像できないかも知れないが、脳の中のリハーサルはあらゆる場面に対応してなされ、それがありありと気持ち良く全身の快楽と共におとずれる時、その結果としての「本番」は大概最高のものになる。 今年のオリンピックも日本の関係者の組織の対応も凄かったらしい。そのリハーサルにおいてである。ブラジルのリオデジャネイロの競技会場と全く同じ環境を、その素材、色までわざわざ設営して練習、を行ったらしい。まさしくリハーサルである。 筆者も国家試験の1か月前には、図書館で1週間くらいリハーサルをした記憶がある。同じ時間帯に同じ過去の試験問題を解いていくのだ。正解率が100%近くになるまで繰り返した。これらの行動の一番の収穫は精神の安定である。何事も慌てたりうろたえてしたらコトを仕損じる・・・と心得て・・・。 今回のバイクの旅は「入念なリハーサルが功を奏した」から、満足できる楽しさを得ることが出来たと心密かに自負している。 ありがとうございました M田朋久 |