コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 油断 2016. 7.30

元々料理言葉であったらしく、食事に油を抜くとロクなことがない。
まず便秘をするし肌が乾燥する。
即ち油を断つのは禁物、それこそ油断大敵というワケである。

堺屋太一の小説で昭和50年に発表された「油断」という小説は、中東戦争の為に石油輸入が途絶えた日本のさし迫った状況を予測した物語で結構評判になった作品である。

当時は石油関連の映画や小説が多く今のエネルギー革命、シェールガス開発の問題等を考えると隔世の感がある。
原油価格の大幅下落など誰が予測したであろう。

先日自由民主党の谷垣幹事長が自転車でコケて頸椎損傷。
チョットした重傷で手術までなさったらしい。
同党の人事の要となる人物であるから安倍内閣も瞬間的に結構ウロたえたようである。

慣れた趣味、慣れた道での転倒事故であるからまさに油断しておられたのであろう。

F1ドライバーのミハエル・シューマッハのスキー事故での半年間の昏睡の後、現在も厳しい状況で世界最速の自動車レースの王者(7回優勝)もスキーなんてという感じで油断されていたのであろう。
F1ドライバーの俺がまさかスキーごときで・・・みたいな・・・。そもそもクルマとスキーでは、、スピードはともかく技量技術にえらいな差があるのに・・・。

こんな話は良く聞くが筆者もバイク乗りなので一般公道については歩行、自転車、自動車を含め相当慎重にしているつもりである。
特にバイクについては必ずフルプロテクトをめざし、専用のジャケットや専用のパンツや背骨や脚部を守るプロテクターを身につけて乗り、意識を集中させて運転するようにしている。
「歩き」も夜は白っぽい服を着て、クルマが来たら大袈裟気味に電柱や民家や塀に身を潜めてやり過ごすようにしている。
まるで忍者か盗人のような按配であるから人が見たら驚くかも知れない。

それくらい用心がいるのが実は歩行で、クルマの100倍は危険だそうである。

横断歩道もクルマが止まってくれるとは100%信じ切ることはできないので、用心し警戒し早々に走り抜けるようにしている。

バイク乗りについてもその身上の一番は臆病さ、用心深さ、注意深さだと信じて下手に運転技量を磨くより大切にしている心構えである。
クルマもバイクも自転車も決して上手だなどと思わないようにしている。
国道沿いや歩道のない街路を呑気に歩いている人を見ると本当にビックリするくらい心配するけれども、いつも危ないなあと思いながらクルマを走らせている。

今はやたらに歩きブームで、平気で夜とか朝とかクルマを気にせず歩いておられるが、これほど危険なものはないと思える。
先日免許証の更新に行ったら「熊本キラキラ運動」なるものがあって、歩行者にいっぱい反射板やテープ、懐中電灯やら自分を光らせて自動車に轢かれるのを予防しましょうという運動であるがこれはかなり理に適っている。

いずれにしても今そこにある危機は「油断している心理状態」そのものであって、日常生活のあらゆる場面、たとえば、浴室や階段やリビングにも危険がいっぱい潜在していると認識しておいたほうが良かろうと思う。

筆者の小学校以来の友人は足を切断するほどの大怪我をしたが、林業を営む彼は山仕事の現場で事故にあったと思いきや、自宅の居間で転倒して骨折しその治療経過が思わしくなくその大切な片足を失ってしまった。
これもまた油断である。
案外危険と思える状況よりも自分で勝手に安心安全と思っているレベルの環境の方が余程用心する必要があるのかも知れない。
「調子に乗っている」という心理状態が最も危険なレベルである。
心したいものだ。

良寛和尚が書を頼まれて「用心」と一言書いてあげたら「これだけですか?」と問われ、重ねて「用心用心」と書いたそうである。

周囲の人に聞くとそんな話ばかりだ。
有名人・著名人もそれを知らしめる為に事故に遭遇されたのかも知れず「油断禁物」「用心用心」は金科玉条にしたいくらいの言葉かだ。

孫子の兵法にも「敵を侮ることほど危険なことはない」とある。併せて心したいものである。

ありがとうございました
M田朋久



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