[戻る] |
■ 国際情勢雑感 | 2016. 7.27 |
移民問題はイギリスのEU離脱決定(国民投票による)の発端にもなった問題で、特にヨーロッパでこれが深刻になっている。 元々ヨーロッパ連合はフランスの肝いりで成立したらしいが、関税障壁をなくすばかりでなく通貨を統一するというアイデアは或る意味国力の差異を無視したもので、そのメリットよりもデメリットが大きいと思える。 特に損をした国と得をした国があって、得をしたソレはドイツだけであるようだ。 元々ヨーロッパで最も高齢化した国(平均年齢46才)で、その労働力の確保には移民を入れるというアイデアをかつても今も実行してきた。 かつての移民はトルコ。 次が東ヨーロッパ、今は中東シリア難民というワケである。 ちなみに主要国の平均年令を見てみるとアメリカ38才、フランス41才、ロシアは不明であるが最近出生率が1.5から1.8に伸長したらしい。 同じ工業国の日本もドイツと同じ平均年令45才〜46才である。 最も高齢化したこの2大先進国が世界でも有数の工業立国であることが皮肉なことであるが労働力の確保についてあきらめているかに見える日本とそれらをEU内に求め、移民に求めようとしているドイツとの差異が鮮明である。 その人口の差(4000万人日本が多い)によって幾分呑気に構えている…と思える。 出生率の減少(両国共1.4前後)に対して何も手を打っていない日本政府はこの先の労働力についてどう考えているのであろうか少しく不安になる。 大昔より国力=人口というややプリミティブな原則はちゃんと生きているのだ。 ヨーロッパにおけるドイツとアジアにおける日本を比較すると、その地政学的見地から違和感があるが、多くの日本人が似ていると思い込んでいる。 日本とドイツには大きな違いは一方が島国で他方が大陸内国。 現在ドイツは中国と縁が深くなりさらに似てきている。 そもそもEUというヨーロッパ大陸の西半分を占める地域の実質上の盟主はフランスではなくドイツであり、(ヨーロッパ中央銀行ECBはフランクフルトにあり、EU本部はドイツ圏のベルギー、ブリュッセルにある)自覚しているかどうか不明であるが、同国は中国のような覇権国家のように見える。もちろん終始「控えめ」な態度を崩してはいないが・・・。 いずれにしても国家をコントロールしているのは一部の超富裕層であり彼らの所有する金融機関であり大企業なのであるからEUという「経済システム」も大企業を太らせ、一般労働者の賃金を低下させているようだ。ドイツは10年間に4%も下がった。 さらに移民の流入、労働者法の改正もあいまって益々格差が拡大すると思える。 これらの背景を考えるとドイツやフランスで頻発するテロもしくはテロもどきの事件も何かしら合点がいく。 今や国家は自律的、自立的存在しているワケではなく一部の経済システムの構築者によって完全に支配されているのだ。 特にヨーロッパ、アメリカにおいてそれは顕著であり、日本もそれらのトレンドに流される傾向にあり、移民難民問題もEUのような経済共同体にも属していないので、もしかしてアジア連合(たとえばAUという呼称)のようなものができても、イギリスのようにそれより離脱する前に加入しないことが予測できる。 このような意味では日本はイギリスのように大陸の近くに寄り添うように位置する島国で、両国とも植民地を持っていたり持とうとしたりする時代ががあり、国民性も忍耐強く誇り高いという特質も併せもっているように思える。 一方ドイツは国力の増大とともに権威主義的に混乱してしまい難民問題についても倫理的なふるまい(難民に対して同情している)をしているようで内実は「労働力の若返り」だけに固執しているように見える。 このままの状態で政策が人口減少、少子化、労働力問題を放置していけば日本の未来は、さらに衰退した「イギリス」なのではないだろうか。 両国とも王室を持ち海洋国家であり大陸国家ではなく同じくらいのサイズの列島国家なのであるからさらに類似性が感じられる。 追記:中国の南沙諸島への侵出も不思議であるがこれは同国が空母を使いこなせないことに原因していると思える。 世界で唯一空母を使った海空戦を経験しているのは日本と米国だけであり、この日米に対抗するのには、戦略上、不沈空母である「南シナ海の飛行場」が欲しかったのではないか・・・と筆者は考えている。アジア交易の要衝的に重要な海路である南シナ海を抑えられて、皆さん平気でおられるのが不思議でならない。 いずれにしてもアセアン諸国会議では中国はその強大な経済力を背景に「根回し」充分。強引に自らの主張を通し切って会議を支配し勝利を収めたかに見える。全くお見事というしかない。 安部首相のロシアとの接近、韓国との和解の方向はドイツと中国の妨害によって棚上げされているが、今や米国を含め西洋列強のキャンペーンで、ウクライナ、クリミア問題を理由に、ロシア叩きが世界中で湧き上がっているかにみえるがロシアはナショナリズム大国ではないしそれほどの悪国でもなくその元首たるプーチンは国民的人気を有するまともな国と認識する必要があろう。 ちなみにドイツのアンゲラ・メルケル首相、ロシアのウラジミール・プーチン大統領、日本の安倍晋三首相は同い年で1954年生まれの一白水星という星である。 ご存知の方も多いと思うが田中角栄も東条英機も一白水星。 「一白水星は国を滅ぼす」 という言葉がある。 何となく善良に見えて国家の運営にはいずれの方々もエゴイスティックな定見がなくやや日和見的に見えるがそれが原因でそれこそ国が滅んでしまわなければ良いが・・・。 アメリカ大統領選挙も気になるが後述しよう。 ありがとうございました |