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■ 金(きん) | 2016. 4. 8 |
若い時に飛行機の中で或る種異様なオーラを放つ老人と同席した。 つやつやしたスキンヘッドにギョロ目のロンパリ、金の時計に大きな金の指輪、金の柄のついたステッキ。 恐らく席のリザーブにエラーでもあったのだろうこの御仁は当時国会議員でもあった作家で僧職者の今東光氏であった。 SPみたいな秘書みたいな若い付き人が数人いて、何くれとなく東光氏のお世話をするのに全く気を利かせず氏の右側の席に着座する。 若い男が(筆者)が多少疎ましかったのかも知れない。 「あー年を取ると金が似合うものなんだなあ」という感想を持った。 それくらい今東光氏は周囲に異彩を放ちキマッていた。 金を身につけると金運が上がるらしい。 金の次にそれを上げるのはオレンジ色だそうである。 黄金色、こがね色はまさしくお金そのもの、富のシンボルカラーであるようだ。 中国では次にくるのは赤らしい。 赤と金というのが中国人のお好みのリッチカラーというワケである。 1964年に公開されたゴールドフィンガーという映画がある。 筆者の中では007シリーズの中でも最高傑作と思える。 金を扱う業者(悪人9が金の最大保存庫である米国のフォートノックスで核爆発をさせて金(キン)を塩漬けにして金の価値を高騰させ大儲けしようと企み、それを主人公の007ことジェームズ・ボンドが阻止するという物語で、当時300万ドルで製作されたこの作品の興行収入は何と1億2千万ドル。 突然の大ヒットになったようだ。 前作の「ロシアより愛を込めて」とか「ドクターノオ」よりも倍増する収益があがって同じ出演者(ショーン・コネリー)で「サンダーボルト作戦」というのを作ったが興行収入はゴールドフィンガーを上まわったものの作品的には少しコケた。 ところでゴールドフィンガーを初めて観たのは父親とで、当時11才だったから内容とか殆んど興味関心が無かったけれどもボンドガール・・・といっても当時37才だったオナー・ブラックマンという女優さん演じるプッシー・ガロア役にガキのクセに発情したのを鮮明に憶えている。 ゴールドフィンガーという映画を思い出すと、必ずアストンマーチンDB5が目に浮かび、オナー・ブラックマンが頭に浮かんで筆者の脳を薄い桃色に変える。 してみると子供の頃から熟女好きだったことがうかがえる。 62才になった今でも37才のこの女優さんが年上に見えるのだから本当に不思議である。 あらためてDVDで見直すまでもなく、どこがどう良かったのかよく分からないくらい、それほど美人でもないしセクシーでもないこの女優さんに子供ながら惹かれたのか分からない。 誰かに似ていたのだ・・・多分。 好きな女性の誰かに・・・。 当時の流行というものもある。 50年の年月を経ても作品として全く色褪せることのない映画ゴールドフィンガーもまるで脳の中の黄金のように筆者の頭蓋骨の中で確かな脈動をつづけ、発電し喚起を呼び覚ましてくれる。 有り難いことである。 しかしショーン・コネリーも所謂ボンドガールのオナー・ブラックマンも日本人の感覚では30代半ばにしては物凄く老けておられる。 それがまたセクシーでもありカッコヨクもあり安心もする。 見事な貫禄というヤツで最近のアンチエイジングとか若作りとかと対向する方向性で何だか心愉しい。 金はやはり年配者のものなのだ。 そうしてそれの似合う年令になった自分がそこはかとなく嬉しい。 ありがとうございました M田朋久 追記:プッシーって女性器の隠語ではなかったかしら。 ことによるとオ○○コ・ガロアなんて役名でつけるわけないから・・・英語圏の感覚が不明であるので筆者だけが妙なエロチシズムに浸っているだけなのかも知れない。 |