コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 格差社会2016. 2.18

この世界を生きるのに個人的な感覚で凄く嫌らしい現象のひとつに貧富の格差がある。
資本主義社会における或る程度の格差は仕方がないとしても現在の貧富の偏在は極端すぎると思える。
天文学的に富を蓄積している人々がおられて、米国の場合、国家の富の40%あまりを1%の人々が所有しているとのこと。
それなのに最高限界税率が何と35%しかないらしい。
また株取引など流動資産には税金がかからないらしく、実質的に富裕層の多くが10数%の税金しか払っていないそうである。
まさに現代の米国は金持ち天国となっている。

米国の場合、共産主義への恐れというより嫌悪感から労働組合の組織率も縮小傾向にあり、ますます一般労働者の賃金は低く抑えられている。
1970年代後半以降にこのトレンドが生じ、格差拡大と同期しているそうだ。

大戦直後、即ちアイゼンハワー大統領の時代には最高税率91%もあったのに、どうしてこんなに金持ち優遇になったのであろうか。
これは「政治献金の自由化」が原因しているとのことである。
超富裕層の何人かはその莫大な富を背景にどんどん政府に献金をして、言わば「政治を買っている」状態であるらしい。
多くの上下院の議員さん達は悪く言うと金持ちに買収されていると言っても過言ではないのかも知れない。

工業製品の生産拠点の国外への移動、即ちグローバリゼーション。
テクノロジーの進化、ロボット化によって職を失ってしまった製造業労働者は飲食業、医療、教育、金融などのサービス業に流れた。
物販業もネット販売という流通革命によってアマゾン、楽天、Yahooなどに取られてしまった。
かくして一般労働者は自らの生活難を補うべく
@女性の労働(共働き)
A長時間労働
B借金
で切り抜けようと試み何とかまわしていたが、ご存知のように借金バブル(リーマンショック)により一気に何とか保っていた生活が崩れてしまった。

経済は成長発展(GDPの増大)するのに労働者の所得はドンドン下がってしまった。
また生活費の中でも住居費、教育費、医療費、通信費(主として携帯電話)などが上昇してさらに家計を圧迫している。

現在世界中で起こっているこれらの貧富格差醸成システムは貧と富のみならずあらゆる分野、領域、地域にまるでフラクタル現象のように見られ、世界ののどかな平等主義から極端な弱肉強食の競争主義、利益優先主義、拝金主義、格差容認主義へと導いているように見える。
分かち合い、与える、みんなで豊かに・・・Win−Winなど忘れ去られているかのように富裕層の肥大したエゴはさらなる富を求めて資金移動をする。
一般労働者の貧窮をヨソに・・・。
これらの流れは決して健全な社会の様態ではない。
人類史上最も巨額の富を得た超富裕層の人々の存在が妬ましいとか羨ましいとか言うことは全くないけれど、富の集中に逆比例するように貧困者、低所得者、社会的弱者の増加が嫌なのである。
格差と言うよりそれは中世以前の大地主と小作人の関係、王侯貴族と民衆、豪農と奴隷労働者のソレを想起させる。
この問題を看過することは人類の悪徳不徳、良くないことの最大と思える。

理想の社会を求めて生じたとされる共産主義も、1989年ベルリンの壁の崩壊に象徴される実質的な敗北がマイナスに作用した結果生じたとも言える自由市場の勝者たちの政治国家の凌駕がもたらしたこの世界の異常な格差は誰も予測していなかったのではないか。

筆者の理想とする世界は人類の全てが宇宙の資源の富の最大限界の共有、即ち殆んどの人々、つまり中間層の、それは80%の人の豊かな暮らし、ほどほどの富裕層、そうしてすべての人が社会的弱者を慮っている状態・・・と思えるのだけれども・・・。

クリントン政権時代の労働長官だった米国の経済学者ロバート・ライシュの言うようにこれらの“問題”の解決には人類の英知と若者たちの研究によって喫緊に実現されるべき現代社会のテーマだと思えるのであるが・・・。
自由市場は必ずしも善ではなく、適当な累進課税は悪ではなく、社会の富の恩恵をすべての人が共有できるシステムの早急な構築が望まれる。人間の欲望の無限界ともいえる”野放し”も社会や人類に益するものでなければ思い切って制限するべきではないか・・と考えている。

ありがとうございました
M田朋久



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