コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ リラックス2016. 2.15

安部総理大臣とオバマ大統領が椅子に座って会話をしている。
所謂、首脳会談である。
このような場合、画像的には椅子・・・、
ソレは深々したソファーでカメラに向かって斜めに開かれ、二人とも背もたれに、悪く言うとふんぞり返って足を組んでにこやかに対面している。

この構図は当然意図的に創られたもので、お互いに敵意はありませんよという身体的メッセージの伝達法として「私はあなたに対して少しも緊張していませんヨ」と表現し合っているのである。
かつての日本人の常識としてこのようなリラックスした態度というものは相手に対して少しく礼を欠いたように考えられてきたけれども、現代の国際化した・・・というより欧米化された風習の為に前述したようないささか奇異ながらも定型化された絵画的構図の首脳会談というものが出来上がっている。

日本の皇室の方々はこのような態度は見せられず椅子に浅く腰をかけ相手の顔を見つめながら対話をされ、勿論このような場合、対面する人物、たとえば某国の国家元首なども当然ながら「ふんぞり返って足を組む」などということはしないようだ。

それはともかく人間関係において「私はあなたに対してくつろいでいますヨ」というボディランゲージは相手に対する敵意の無さ、さらに進んで或る種の親しみ、好意好感を表すもので、決して悪いものではないというところが少なくとも国際的な常識であり心理的な原則であるようだ。

であるので無礼さ、傲慢さ、尊大さを取り除いた(これは少々難しい)くつろぎ感、リラックス感の演出というものが良好な人間関係にとって結構大切なものであり、マナーとしても広く受け入れられている態度であろうと考えられる。

20年程前にお会いしたアメリカの精神科医で世界的な心理学者でもあるジャック・デュセイという方に「私も医者で診察がとても辛い、苦痛である。何か良い方法はないか。」みたいなことを尋ねたことがあって、その時即答されたのが「背もたれから背を離すな」みたいなことを言われて、その時にはそれほど感激しなかったけれども20年を経て今やっとその深い意味を心身共に味わっている今日この頃である。

よくリラックスすると疲れないだけではなく集中力や直感力、思考力も増すようで一石数丁の効果がありそうである。
多少相手に不快感を与えるかと思いきや、実際に聞いてみると意外にも好感だったりするし、逆に緊張していると「怖い」と言われる方が10人中10人である。
スポーツに関しても名選手と言われる人々をよく観察していると、独特の媚態を含んだ優雅なリラックスで素晴らしいプレーを連発するだけでなく、プレーしていない時にもその鍛えられた肉体を、見事なほどなまめかしい脱力の美をその歩き方、手の振り方、頚や背中の動きに魅せることがあって、同じ素人アスリートとして大変参考になることがある。
まだ現役プレーヤーとしてバスケットボールをしていた頃には、このリラックスに熱心に腐心していたことがあって、絶好調のときの自分のビデオを見ていると確かにずい分とゆったりと、尚且つスムーズにプレーしているのが分かる。
プロの名選手のように美しい動きではないけれど少なくとも楽にプレーしている感じである。

そのカラダの動き優雅さについてはNBA(米国プロバスケットボール)のマイケル・ジョーダン、カーメロ・アンソニー、NPB(日本プロ野球)の落合博光、長嶋茂雄がすぐに頭に浮かぶ。もっともNBAのスター選手で上手にリラックスしていない人はいない。
巨人の坂本勇人なども体の動きが結構優雅に見える。

今やテニス界の日本のホープである錦織圭やイチローは少し硬い印象があり、特に後者の場合は年令のせいかあの独特の美しい動きが消滅しそうに見える。
錦織選手も負け込んでくると見ていてドンドン硬くなってくるのを感じる。

筆者の甥で水泳のバタフライで何と世界ランカーがいるのであるが、この甥っ子と街で偶然出会った時にはその歩き方、体の使い方がクタクタ〜ってなるくらい見事に脱力していて何とも羨ましい限りであった。
医療現場でもたとえば身分の高い人ほどこのリラックス感が高くて、社長さんとか○○会長とかになるとやはりチョット怖いと感じる検査、たとえば胃カメラとかCT検査とか手術前とかにまるでマナ板の鯉のように脱力している。
一方でどちらかというとそれほど身分の高くない人々とかは緊張が高くオドオドしている印象がある。

緊張=恐れと解釈すると良い意味で「恐れ知らず」「緊張知らず」ということが実社会や人生、スポーツの世界での成功の秘訣なのかも知れない。

運動音痴の人を見分けるのも実に簡単で、カラダの動きが硬い(実際柔軟性に劣るという場合もあるけど・・・)人はだいたい運痴である。
このような文章を書きながらだんだん体が脱力(リラックス)して来て気分も良くなるが、ついでに深呼吸も呼気に力を込めて意識して脱力するとますます効果が高い。

高岡秀夫という独自の理論を持ったアスリート養成者もチョット前まで流行していた「ゆるキャラ」の「ゆる」を提唱されていて、体の中心線と重心をしっかり持った最高の「ゆる(リラックス)」をもってアスリートを評価されているが、素人目にも名選手の「ゆる態」はだいたい分かるものである。

野球選手の場合、カラダの重量感と力の抜け感と目の座り具合(落ち着きと集中)を持って「打てそうだな〜」とか、投手であると「打ち取れそうだな〜」なんていうのを評価して楽しんでいる。


ありがとうございました
M田朋久



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