コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ シンデレラ2015. 5.28

めずらしく日曜日の午後、気分も良くカラダも元気だったので、一人でドライブに出かけた。
白いハーフパンツに紺のフード付きスウェット、茶のサンダル、黒のショルダーバッグ、サングラスにドライブ用手袋というイデタチで、行きつけの喫茶店でサンドイッチとトマトジュースで腹ごしらえをし、天気予報を確認(60%雨)し、8年物のオドメーター15万k走行の我が愛車、傷だらけの黒のレクサス600hのコクピットに身を沈めハンドルを握った。
5月の風が心地良い。
高速以外サンルーフを開け、窓をフルオープンにし、シートを倒し気味にして、エアサスペンションにガタが来て揺れの激しい古い国産高級車もぬめりとした柔らかい乗り心地は健在だ。
キビキビと走るスポーツカーとはちがうトロイ走りも順れると意外に快適だ。

今回は車のボンネットを都会に向けた。
眼鏡を買いたいというのと本屋と懐かしい街の匂いや風を味わいたいが為だ。
朝寝が効いたのか運転が苦ではないし、いつも聴いている音楽が今日は特に心地良く心に響く。
どちらかというとゆっくりとクルマをすべらせ、いつものセカセカしたスピーディーな運転ではない。

いつもの駐車場に止め、いつものメガネ屋に行き、いつもの本屋で本を買ってアーケードを歩いていると全くの偶然にも友人と出逢った。
それほど親しくないけれど10年来の付き合いだ。
デパ地下でおかずを買って茶店でコーヒーゼリーを食べ、映画を二人で観ようということになった。
スマホで近くの映画館の上映スケジュールを確認すると時間が丁度良いのがある。
それが「シンデレラ」だった。

ディズニーアニメの実写版。
童話の古典でもあり「シンデレラストーリー」と称するように「玉のこし」の物語。
女性にとっては究極のサクセスストーリー。
この全く同じの物語は丁度連続テレビドラマ「水戸黄門」か「遠山の金さん」か。
世界中に普遍的に存在する素敵な女性の美しい物語の定番であろうし、ディズニー映画の原点であろうし、全世界的に知られたあまりにも有名な、やや陳腐な物語を何故あらためて映画化され、それを自分が観る気になったのか分からない。
けれどもこれが結構面白かった。
年のせいか弱くなった涙腺から涙があふれ出し、目がチカチカして痛くなるのを我慢しながら見終わった感想を一言で述べると「やっぱりか」であった。

策略的で陰湿で根性のネジ曲がった意地悪なママ母、怠惰で遊び好きのオツムの弱い二人の姉。
そこで苛めに近い非道い扱い、屈辱的な家事労働を強いられながらも人や生き物のや自然に対する限りない優しさ、忍耐心、縫物、掃除、料理などの甲斐甲斐しい動きは或る意味女性美の極致とも思える。

純心で善良な心、優しさ、愛、献身、無欲、正直、忍辱など人間として高潔さを備えた主人公もまた世界共通、特に先進国における女性の美しさの定型があるように思える。

亡母の遺言「優しさと勇気」を胸に固く決心し、それを忍耐強く実行していく様は物語の結末が分かっていてもやはり感動せずにはいられない。

世界中に30家あると言われる王室。
その中でもいくつかのシンデレラストーリーがある。
もっとも有名なのはケリーバッグで名を残したグレース・ケリー。
とても美しいアメリカ人の女優さんでモナコの大公に見染められてめでたくゴールインとなったが自動車事故で夭逝してしまった。
最近ニコール・キッドマン主演で映画化されているが流石の美人女優もグレース・ケリーにはその容姿で及ばなかったようだ。
近々ではデンマーク王子に嫁したオーストラリア人のメアリー妃が有名で、この方も国民に愛されていてとても優しい方らしい。

ガラスの靴、カボチャの馬車、魔法使い(フェアリーマザーゴッド)、舞踏会、宮殿など定番の小道具をCGでリアルに再現して絢爛豪華なファンタジー映像に仕上がっている。
興行成績もまずまずのようで何よりである。
シンデレラのお城はモデルになったのがドイツ・バイエルン地方のノイシュバンシュタイン城で、何故か一度行ってみたがそれ程壮麗なものではなく可愛らしい。
おとぎの国のソレである。
崖の上にあって、どうしてこんなところに建てるんやろと思ったぐらいであまり感激も感動もしなかった記憶がある。

世界中の人々に大きな影響を与えている「シンデレラ」。
固有名詞と言うより女性のサクセスストーリーのヒロインの代名詞か形容詞のような印象を持つ名前であるが実際は「灰かぶりのエラ」。
暖を取る為に暖炉のそばで眠った為にママ母や意地悪姉に付けられた、どちらかというと蔑称であったことを初めて知らされた。
「灰かぶり」のエラ、シンデレラ。苛められ虐げられ苦労をさせられた女性がサクセスするのは、ある意味定番的物語で、本人の頑張り、負けず嫌い、根性などなど色々な要素があるとは思えるけれど、共通要因はやはり貧しさを中心にしたさまざまな「苦労」体験という背景だ。

ごく身近ではフィリピンの大統領スカルノの第3夫人であったデヴィ夫人、アルゼンチンの大統領ペロンの夫人でエヴィータの愛称で国民に広く親しまれたエヴァ・ペロンなど、みなさん全員「シンデレラ」で、生い立ちは、決して幸せでも裕福でもなく、少なくとも傍から見て、きらびやかな境遇ではないようだ。「若い時の苦労は買ってでもしろ」などと教説を垂れるつもりはないが、何かしらの苦労や苦痛に耐えることが人生に結構有益であろうことは想像できるし、周囲を見回しても「素敵な女性」で何の苦労も無かったという人はいないような気がする。

すべてのシンデレラ予備軍に捧げる・・・シンデレラについてのお話でした。

ありがとうございました
M田朋久



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