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■ てげてげ | 2013.12. 7 |
宮崎県はかつての新婚旅行のメッカ。 その前は熱海。 今は沖縄、ハワイ。 暖かくゆったりとした風土は若い新婚夫婦の旅に適しているのであろうか。 確かにヨーロッパやアメリカ本土、アジア諸国への旅行は新妻を伴った若い男にはかなりストレスフルと思える。 そもそも危険なところへ女性を連れていくのには相当の知恵と経験と逞しさとバイタリティーが必要で、気力、体力、語学力、経済力の無い普通の若い男性には、愛する人を守る為にはチョット骨がおれる。ゆったりと愛し合うのに安楽・安全な旅行の方が良いであろうことは容易に推察できる。以前話題になった成田離婚なんていうのも、いきなりの海外旅行で多いに新婦が新郎に失望した、、、なんて感じの理由があったのでは無いだろうか?そういう意味では宮崎沖縄は定番としてお勧めであろう。今のハワイもしかりである。 女性を守ることに満々とした自信のある男にとっては、少し危険地帯への旅は女性を惚れなおさせる、愛を深めるには良いかもしれないし、いつの時代でも頼もしくて頼り甲斐のある神経質でない男は魅力的に見えるものだ。その上ドキドキした不安による心拍数の増加は性的興奮との勘違いを生じせしめ、女性をしてその目をハート型にさせる・・・とのことだ。 いずれにしても上記した旅行地が比較的にノンビリした気風を持った土地柄で、普通の新婚旅行に適しているのは事実であるようだ。 宮崎県には、かつての新婚旅行客を取り戻そうと、シーガイアというバカげた大リゾートもどきを数百億円か数千億もかけて建設したが見事に大失敗。 誰が考えても無謀な計画であるのに、近々までアメリカの投資会社がたたき買ったのを再びどこかにたたき売ったようで、今でも何とか立っているようであるが相変わらず見事な建造物をそのままに、閑散としたたたずまいは、使われなくなった映画のセットのような空々しい豪華さをたたえて南国の瑞々しい緑の中に奇妙な調和を保って今もたたずんでいる。 宮崎県の高鍋町に友人であり、当法人の顧問でもあったSという人物がいて、その関係でチョクチョク泊りがけで出かけるのであるが、交通安全のノボリの文句が凄い。 「テゲテゲ運転はやめましょう」なんて堂々と書いてある。 テゲテゲとは多分語源的に「大概に、大概に」。 つまりおおざっぱにいい加減に、もっと言うならテキトーに・・・みたいな意味で、表面的には注意散漫とかマイペースというか、ザッとしているというかアバウトというか、とにかくそういう運転はやめましょう・・・ということで、先述した標語が謳ってあるようだ。先述した友人もまさしくテゲテゲ運転の達人で、車が勝手に目的地に運んでくれるから、なんも考えないで運転する、、とのことで平気でバス停に停めたり、高速道路の追い越し車線をノロノロ走ったり、幹線道路で右折を試みたりと周りから見たら迷惑運転も甚だしいが、ご本人はいたって呑気でいくらそれらを指摘しても笑いながらそうですか、、と真面目にはうちあってくれない。それにこの人はこんな調子の運転をかなりの長距離に連日なさるのに、事故も違反も殆ど無い。こちらのセカセカ運転よりも安全なのかも知れない。 テゲテゲという標語は筆者こそ車内に貼っておくべきかも知れない。 ことほどさように、県民性というモノは必ず存するようで、こんな標語は隣の熊本県、鹿児島県、大分県では絶対無いであろう。 これほどの気質の違いは誠に興味深いが、ついでに宮崎ではなく鹿児島県と熊本県の県民性の違いを如実に示す事柄があって、それは焼酎の売り方である。 筆者の母親の実家は県内でも最大の造り焼酎屋で、とりあえず全国ブランドの球磨焼酎である。 レッキとした地場の有力産業であるにもかかわらず地元のホテル、飲食店には地元の焼酎よりもメズラシイ芋焼酎とか鹿児島・宮崎は言うに及ばず、さまざまな銘柄のお酒のブランドが並べてあって、お店の人もそれを自慢気に語られるのである。 これは地元企業・産業を伸ばそうとも応援しようともせず堂々とヨソのブランドを売っていて、或る意味地元と呼べないくらい「ひいき」が無いのである一方で鹿児島県ではまるで真逆。 地元の酒以外は絶対に置いていない。 また持って来いと言っても絶対と言っていいほど持って来られないし、モチロン並べられてなどない。 色々言っても知らんふりをされる。 別に打合せしているワケではないようで、全鹿児島県民同じ地元びいきが徹底しているのもすごく面白い。 話を戻すが、宮崎県民のテゲテゲとは誠に羨ましい気質であるけれど、意外にも九州圏内では自殺率の最も高いのもこれまた宮崎県人で、アルコールの飲み過ぎと産業の振興が弱いというのとやはり人生も「てげてげ」で投げ出すのも早い・・・ということではないだろうか。 人間には恐らく誰にでも自暴自棄欲というのが少なからずあって、色々な重荷を下ろしたい、ヤケクソ、開き直りなどなど重苦しい気分を持つものであろうが時々この「てげてげ」という呑気な響きの言葉と宮崎ののびやかで素朴で明るい風土をイメージすると不思議に元気が出てくる。 マイペース、マイペース。 テゲテゲ人生も何となく悟り人臭くて楽しそうだ。 ありがとうございました M田朋久 |