コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ バイク仲間2013.11.24

かれこれ40数年間オートバイに親しんでいて、29才で中型免許を取り直し、45才で大型免許を取得し、59才の今も乗りつづけている。

開業と同時に10年間付き合った女性と別れることになり、その傷心を癒やすため学生時代に封印していたオートバイを再開したようである。要は寂しかった、、、、のだ。

近所に知り合いのバイク屋もあり、親しい友人、知人である在日の親友つながりでホンダCBR400という最新型のオートバイを、免許を取る前に購入し、毎日バイク屋の店先を飾っている、そのパールホワイトにブルーのラインの入ったプラモデルのように光り輝くピカピカの車体を眺めに行っていた。

その圧倒的な加速力には瞬間的に痺れていたものの、当時「トップガン」という映画を観たところ、カワサキGPZ900Rというカッコイイバイクを、主演のトム・クルーズがノーヘルメットで乗りまわしていたのを見てすぐにその400ccの同型車に乗り換えた。
我ながらミーハーである。
このバイクは、スピードはCBRに劣るものの、走行時の安定感が優り、いたく乗りやすかったので、しばらく乗りつづけたが結局飽きてしまい地金になってしまった。その後は車検の要らない250ccのバイクに長い間細々と乗っていた。

大型の免許は高校の後輩で、今やバイク仲間のカリスマ的存在であるNという男のゼファー1100という、同じカワサキの大型バイクに乗せてもらい、中型(400cc)との圧倒的な乗り味の違いを強烈に感
じさせられ、3年間迷っていた大型免許取得を決めた。平成10年のことである。

当時は総額10億円の老健施設を建設中であり、本来それどころではなかった筈なのに、日常診療と事業計画の会議の合間を縫って、隣町への50kmの自動車学校への通学を10年物のポンコツ車・パジェロディーゼルで始めた。

人間というものは忙しいほどエネルギーが上昇するのであろうか。
少なくとも筆者の場合、何事も同時進行的、並列的な方が能率も上がるし、結果も出やすい。
軽いスピード感と緊張感がとても心地良いのであろう。
モチロン人それぞれで、そうでない人もおられるので、これは万人に向けたゴールデンルールではない。

バイク仲間の中心は、バイク屋のオヤジであるが、この人は58才にもなるのに黒々とした髪がフサフサと生えたアラン・ドロンのような美貌の男で、そのうえ無類の「女好き」で「スケベー」で、30年来の付き合いであるけれど、とにかく笑顔の素敵な可愛い男である。

しかし、仲間内で最もカッコイイのは、先述した高校の後輩で57才の男。スキンヘッドに地味な一張羅のライダージャケットを着てツーリングに出てくるが、その仕草、タバコの吸い方、歩き方、ライディングスタイル、口のきき方とすべてがカッコイイ。

ほんの近頃まで分解寸前のポンコツバイクに乗っていたが、どんな新型のレーサーバイク、高性能車にもその速さで負けたことは無く、チーム内最速の勲章は未だに誰にも破られていない。その老車のアクセル全開にしてグリップすれすれまで深く沈む弱々しいブレーキを巧みに操りながら美しいライディングフォームで疾走する姿はまさにカリスマライダーそのものである。

多少ひいき目かも知れないが、バイカーたちが集団で集まる高原の駐車場でも、その独特のオーラは格別で、それとなく周囲を見まわすとその「格」の差異をハッキリと感じる。

その上、とても優しく面倒見の良い男で、迷った仲間、故障した仲間、事故った仲間がいると真っ先に駆けつけ、ついつい遅れてしまう初心者ライダーの保護者みたいなことも自然に無理なくサラッと素っ気なくしてしまう。

何となく筆者の憧心を煽られるが、決してその速さ、面倒見の良さなどは自分の「走り」に余裕がないのでとても真似はできない。
ツーリング時には、その男の存在がいつもとても頼もしい。
次いでに女性ライダーがいると、それがどんなご婦人であろうと心和まされ元気になるが残念ながら最近はメッキリ減ってしまった。

40代〜60代のオジさんライダーたちに新たに、これまた高校の先輩の歯科の先生が加わったが、この2才上の先生の走りは新人ながらとても上手くて速い。
驚きである。
筆者と同じカワサキ14Rなので、高性能バイクにその腕で結構スピードを出されるし、高速コーナーや中速コーナーをぐいぐい攻め、ライディングフォームも決まっていて、カッコイイ。内心「負けた」と感じたものだ。動物的天性みたいなモノがあられるに違いない。無茶無鉄砲、突っ走る、というのもカリスマの特徴であるから件の先生もそのような類の人々なのかもしれない。

一方30〜40年乗っているのに筆者が少しもバイクが上達しないのは多分、臆病さの為であろうが最近は自分自身それで良いと思っている。少なくともバイカーとしてはノンカリスマと言えるであろう。
バイクが下手でも生きていけるし、ケガをしない方がはるかに大事だ。

バイク屋のイケメンオヤジも、道路の上では死にたくない・・・と度々口にしている。どうせなら腹上死がいいとも、、、。ある意味同感である。

月1回、日曜のツーリングは近くのレンタルビデオ屋の広い駐車場におよそ10台〜20台、多い時でも30台ほどのバイクがそれぞれのスタイルで集合し、午前中に出発する。

仲間の顔を見るのは嬉しいけれど、走り出してすぐ味わう気分は独特の憂鬱さだ。
「いったい俺は何をやっているんだろう?」・・・てな感じの軽い自責感と罪悪感、恐怖感、不安感。
それらの混じり合った複雑な感情。
走行中に決して無心になるワケではなく、色々な雑念・妄念が乗っていない時よりも脳裏に次々と湧き起こる。
走りにノッてくると時々忘れるが、今度はライディングに飽きてくる。
・・・するとヘルメットの中で歌い慣れた歌を口ずさんだりする。
仲間と一緒に走りながら考え事ばかりしている。
この傾向はクルマより強い感じがする。

仲間のバイクを見、ライディングフォームを見、景色を見、他のクルマや、人や、山や、海や、川や、路面状態やらと目と頭は実のところ大忙しだ。
そうしてバイク仲間の有難さの一番は、自分と同じようにカタチだけは「一緒に走っている」という実感だ。

それらの行程を細やかな気分や考えを面白オカシク語り合える「打ち上げ」は何よりの楽しみだ。バスケ仲間は若過ぎて話のミスマッチが起こるけれど、バイク仲間では物凄くオゲレツなシモネタも頻出するし、殆ど同年代で話しはいつも盛り上がる。筆者のストレス解消法としては、幾分過激ではあるけれど、命を燃やし切ったような充足感には麻薬的悦楽が潜んでいる、、、、と思える。当分はやめられそうもない、いくらか危険な趣味である。

ありがとうございました
M田朋久


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