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■ キムタクTVドラマ | 2013.11.16 |
テレビのドラマ、それも連続ドラマを観るという習慣が無く、そもそも10年以上テレビの無い部屋に住んでいたので、キムタクの名前と顔は知っていても、今までにドラマでの演技を見たことは無かった・・・けれども先月末、TBSの大ヒットドラマ「半沢直樹」を観るにつけ、連ドラというものは連続して最初から観なくてもそれなりに楽しめる・・・ということを知り、割と気軽に視聴できることを知った次第である。結果ビデオ屋さんに並ぶキムタク連ドラの5ー6本のシリーズをゲンナリすることなく、まとめて借りて夜な夜な視聴している。 テレビドラマの場合「視聴率」という、局にとっては大変に重い成績表をつけられる宿命にあるので、特に民放の場合、コマーシャルを挟んでも視聴者がチャンネルを変えないでもらいたいがための工夫がしてあって、それは10分〜15分毎に盛り上げる、面白がらせるという技術を要し、その為に映画と比べて起承転結の2時間以内にまとめられる「縛り」が無い分、割と自由にその画面と音楽と会話のやりとりとか、俳優さん達の容姿とかを必然的に楽しめる仕組みになっている。 また、視聴率が振るわない場合、物語を変更したり、中断したり出演者を加えたり減らしたりして、テコ入れすることもできる自由と柔軟性を有するのもテレビドラマの強みである。 最も視聴率を取れる俳優さんというと、やはり「キムタク」ブランド。ドラマ制作者にとっては割と安心できる存在であろうけれど、近々は堺雅人におされる形で「半沢直樹」の後に組まれた「安堂ロイド」は天下のキムタク様にしては低視聴率の発進で、ややその後の数字も低調で評判も今ひとつのようである。 この二人は、特にライバルというワケではないだろうけれど、役者としてのキレは堺に軍配が上がる気がする。 堺のやや大袈裟なアクション、表情、コミカルな演技には特にカッコヨサは無くても、何かしら強烈なインパクトと同時に安心して見ていられる俳優としての才能の豊かさを感じる。一方キムタクの場合何を演じてもどこまで行ってもキムタクでそれ以外にならない。またそれはそれで強烈な個性であるので悪いとは思わないけれど。 木村拓哉は、かつてその美貌としなやかな体の動き、ハニカミ、苦笑い、タメ口、ロン毛、ファッション等々、現代の若者(もう40才ですけど)のシンボル、ファッションリーダーとしての存在であったようで、多くの若者たちがそのイデタチを真似ていたことが今にして理解できた。 ・・・というのは、テレビドラマのキムタクシリーズを片端から視聴して分かったことである。 何かしらテキトーな服装、例えば変な色合いのダウンジャケットとか変なデザインのTシャツだとかの一風変わったコスチュームでも、キムタクだと似合ってしまうので、それに憧れた青年がそれを真似てダサくなっているケースが無きにしも非ず・・・と個人的に感じられたからである。 ちなみに、キムタクドラマの視聴率ランクでは「HERO」がトップ。 次に「Beautiful Life」となっている。 その物語の面白さはともかく、キムタク自身のカッコヨサを少しも毀損するものではないが、どちらかというと万人向けのカッコイイ、ファッションでは無い。 ひょっとしたら日本人の男性、特に若者のファッションをダサくしたのは我らがキムタク様なのかも知れない。 話しは少しそれるが、LEONというオヤジのファッション雑誌があって、時々これから描き出したようなファッションの若いオヤジ、青壮年を見かけると何かしら恥ずかしくなってしまうのは筆者だけであろうか。 こんな傾向は多分、日本人に最も強くあって、流行を上手に取り入れるというより「流されてしまう」傾向が強いと感じる。 自分に自信の無い人が男女共多いのだ・・・恐らく。 別に格好の良いファッションを雑誌やドラマや映画から取り入れるのは全く構わないが、まず自分に似合うかどうか、自分の個性とか生き方とか信条にマッチするかどうか一考した方が良かろうと思える。 余計なお世話かもしれないが・・・。 「HERO」が視聴率トップというのは分かる気がする。 割に地味な作品であるが、検事役のキムタクの有能さ、頭脳明晰さと同時に胆の座った人格とその物言い、ファッション、語り口のミスマッチがとってもカッコイイのだ。 これは他の作品と少し異なり、若者らしい熱血、率直、正直、感情の起伏の激しさがストレートに出ている、どちらかというと未熟なキャラが多い他の作品と一線を画している。 このあたりは視聴者もチャンと見ているのだ。 「半沢直樹」のヒットも視聴者の精神的なレベルが制作側よりも少し高いのではないかと考える。 テレビ番組というのは庶民のもので、年収レベルで1千万円以下で高学歴の人を対象にしていないと聞いているが、もう少し真剣にレベルの高い作品を作っていかないと、それこそ大事な視聴率を稼げないのではないかと思える。 しかし、いつ見てもキムタクはカッコイイなぁ。 福山雅治の方がいかにもイケメンしているが、残念ながら妻子がいないので男として完成度がいまひとつと見てしまう。また体型的にもキムタクの胴長短足、大顔は観相学では人間としても俳優としても大吉でその人生のありようも比較的に安定感があるはずだ。 いわゆる長身足長男優の代表、高倉健、石原裕次郎の孤独で悲劇的人生の有様と比べてもハッピーでお気楽に見えて尚好感だ。 キムタクにはホンモノの実生活があり、より庶民的で、身近で温かい感じもする。 つまり目線が高くなく、その粗野な態度も、福山さんのように貴公子然としておらず、大スターなんであろうけれど、より大衆的で優しい印象を持っている。 個人的にが「グッドラック」と「プライド」が好きだ。 前者はパイロット、後者はアイスホッケー選手。 やや短髪で正調な制服の全日空のパイロットとスポーツマン。 これは筆者自身の憧れの職業であるからであろう。 あと「エンジン」というのがあって、これは自動車のレーサー。 これら男の憧れの職業を役者としてカッコヨク演じてくれるので、テレビドラマというのは有難いものである。 あと、若い総理大臣を演じた「チェンジ」も秀作だ。これはミスマッチではなく本物の政治家に見えたし、中身も極めて啓蒙的で好もしい。多くの政治家に見て欲しい作品である。 実のところ若い医者には、キムタクのようなチャらくてキタナイファッションの人が多いが、幸か不幸か今のところ「医者もの」がないのは有難い。ひょっとしてイメージダウンが起こったら仕事がしにくくなるからである。 ちなみにテレビドラマを好むというのは女性性が強いそうで、男性性の強い人は歴史ドキュメントとかニュースとかを好むそうである。とすれば筆者も少しく女性化してきたのかも知れない。 いずれにしても、男の夢をさまざまの職業を通じて演じてくれるキムタク様がスターでないはずはないけれど、映画でパッとしないのも、その庶民感覚にあるのではないだろうか。その優劣はともかく映画スターって、もっとマニアックで「特別な」存在なのである。多分。 なにせキムタクというくらいで、キムチとタクワン、、、まったくもって庶民の食品ではある。 ありがとうございました M田朋久 |