コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 法廷2013. 3.16

生まれて初めて、59才にして法廷というところで証人台に立った。
それも被告として・・・。
民事裁判、それも経済事案で、率直に言ってすべて「お金」の為の裁判なので気分は楽である。
その上、何にも悪いことはしていない・・・という心の底からの自信があって、さらには物凄く正義感が強く有能な弁護士さんがついているので「裁判」というものが嫌は嫌であるものの、心は割に晴れ晴れとしている。
作為・人為「つくりゴト」を創出する必要も、謀略・戦略を練って戦うことも要らない。

「正直は最善の策である」

このような箴言を昔からアタマの中に知識として刻み込んでいるので、このような事態では何も悩まない。
また普段から正直、誠実、素直、親切、信頼・・・など人柄として善なることを意識して生きているので、特に緊張も無く、民事裁判の法廷の証人に坐したワケである。

熊本地方裁判所は熊本城の東南側に寄り添うようにそびえる、いかにも堅牢な5階建ての建物の中にある。
第403号法廷。
長椅子のある広々とした明るい廊下に並ぶ、小さな体育室のような木目の部屋は、窓が無く、絵も無い殺風景そのものである。

テレビのニュースや映画で観る光景と全く同じであることに意外な驚きを憶え、筆者の閉所恐怖症の精神を少なからず刺激されてたじろいだのだが、頼もしいの弁護士さんに守られ、気分的には爽快。
その上、何と法廷の奥の上段の裁判官の席の真ん中に坐しているのは若い女性ではないか。
これまた若くてとても感じの良い書記官の女性と頭の良さそうな美しい裁判官に正対させられ、NHKの元アナウンサー、宮崎緑とソックリな、少し甲高く澄んだ声と話し方で早口に「真っすぐ前を向いて言葉で返答して下さい」みたいな内容のことを言われ、書記官と裁判官を交互に見つめながら「話し」をするという幸せな状況を図らずも体験させられる羽目に立ち至った次第である。
件の女性に見取れてしまって相手方の弁護士の質問を何回か聞き逃してしまい、質問を問い直すということもしてしまった。
自ら認じているように、聴覚よりも視覚に強く反応するようで、黒色の法衣を纏った妙齢の女性についつい意識が向いてしまう。
悲しくも嬉しい性の為に尋問時間45分はアッという間に過ぎてしまい、自分の喋ったことも質問も殆んど憶えていないという「ていたらく」。
初めての法廷体験も事前に想像していたような恐怖や緊張も全く無く、いつもは厳しい担当弁護士さん(こちら側)も心優しい癒し系の弁護士さんも裁判所で見るとイヤにカッコイイ。
次の裁判もあるらしく、裁判官も何となくせわしなく時間に追われている風で、熊本の裁判所も幸か不幸かいかにも盛況のようであった。

大事な裁判の結果であるが「正義が勝つ」というのが「世の習い」、社会の公序良俗を守る為に法律が存している筈であるから、邪悪な奸計に満ちた策略・策謀が世間で通用することは無いであろうと信じて、正々堂々と証人台に立ったつもりである。

相手方の嘯いていた台詞に「正義が勝つとは限らない」という言葉が耳に残っている。

法廷の中で思わず口に出した自分の言葉にも驚いたようであるが、それは

「私は性善説ですから・・・」

「私は全職員を信頼しています」

というもので、多分このような信条で平生生きているのだなぁとあらためて自知したワケである。

それが良果を生むとは限らないが、法廷を出て秋の街路を歩きながら心の内は結構清々しいものであった。

ありがとうございました
M田朋久


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