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■ ハグ | 2013. 2.26 |
アメリカ映画を観ていると、このハグ(抱擁)が上手でとても美しく見える時がある。 元々日本人の伝統文化には、この基本的にハグというものが、男と女の色恋でのそれ以外には無かったようだが、今回あえてこのハグという行為について考えてみたい。 多分今までの日本人にはハグが必要なかったのだ。 日本人の伝統的な子育て法。 オンブにダッコ、オッパイに添い寝。 これらの温かく緊密な母子の肉体的密着は、子供の精神的安定に極めて良い影響を与えているらしい。その結果大人になってもあえてハグのようなスキンシップなどしなくても基本的自己肯定感が損なわれない・・・と考えられる。 結果的に日本人のコミュニケーションには体の触れ合い、即ち握手とか抱擁とか殆んど不要で、お辞儀とか会釈で充分だったのである。 幼児期にたっぷりと身体接触が行われているので、他人からの好感、好印象、愛情を確認する為にわざわざハグなどしなくて良かった(?)のではないか・・・。 ・・・ところが最近ではメディアの影響か国際化の流れか、日本人も色々な場面でこのハグを気軽に、また自然に行うようになったようだ。 特にスポーツ番組などでは外国人よりもやや不自然に見えるが、多くの日本人アスリートがこれをお互いの健闘を讃える為、勝利の喜びを分かち合う為に行なっておられる。 或る意味とても麗しい光景ではある。 冒頭に戻って、件のアメリカ映画での男女の抱擁でとても羨ましいもののひとつに愛し合った男女、たとえば夫婦などで女性が男性の頭を胸にかき抱き、頭をヨシヨシする場面が出てくるが、これを男女共とても自然に嬉しそうにしているのを見るとアメリカ人になりたい・・・と思えるくらい「いいなぁ」と感じる。 日本人の男女で一般にも映画などでもこれを見ることはあまり無い。 ただ一度だけテレビドラマのビデオ化されたモノでこれを観たことがある。 それは竹内結子と木村拓哉共演の「プライド」というもので、竹内さん扮するキムタクの恋人がこのハグを、「特別なカタチ」でしていて、とても感動的で美しかった。 けれどもこのようなハグは日本人の男女間、特に夫婦間では滅多に行われない。 残念なことである。 とってもキモチヨイのに。 とは言え筆者自身もこのハグの心地良さは或るセミナーで体験して実感しているものの、誰かこれをして欲しいとは思わないし、それを言い出したり申し出たりする勇気もないし、そのような母性の強く優しい女性にも出会ったことがないので、今のところ仮想的「実感」で満足している。 アメリカ人のようにもっと日常的になれば、自然のこれを夫婦間などで行えばもっと円満な結婚生活や楽しい恋愛が生じるのではないかと思うけれども、そのような気配や社会的トレンドも無い。 今のところハグというと、スポ番のそれか恋愛映画のモノに限られるようだ。 男性が女性に甘えるシーンというのは映画の中でも割に少なく、名作としては「心の旅路」。 これは木陰で膝まくらのロナルド・コールマンとグリア・ガースンのが印象的。 ハリソン・フォードの「今そこにある危機」で、アン・アーチャーふんする眼科医の妻からのハグあり「荒野のガンマン」でのモーリン・オハラのそれ、「ティアーズ・オブ・ザサン」のモニカ・ベルッチのブルース・ウィリスに対してのそれ・・・など結構数多く散見することができる。これらが印象によく残っているのは、これらの女優さんが割に好みであり、また映画そのものの出来が良かったためかも知れない。 「特別なハグ」(女性が男性の頭を胸にかき抱き、愛しそうに愛撫するというもの)は、日本人の場合これを簡単に受け入れる男性は少ないし、またそれを行う女性も滅多におられない。 カップルセラピーにおいて、時々このハグを体験をしてもらうと皆さんとても気持ち良いとおっしゃるが、どちらかというと非日常的な行為で、恐らく心理的には普通のSEXの方が抵抗ないのかも知れない。 モーニングキスとかイブニングハグとかもっと習慣的、日常的に日本文化に取り入れられれば世の男性たちももっと元気になるであろうし、平和になるかも知れない。 「甘えの構造」とかの著書もあって日本人の女性や母性父性への精神的依存体質のわりには身体的形式的依存、即ちハグを日常生活に習慣的に取り入れtていない・・・というのは皮肉なことである。 ちなみに普通のハグでも精神的にレベルの高い人とか愛情に満ち溢れた高貴な人は、羽のように軽く柔らかく心地よい感触を得られる一方で、そうでない人々をハグすると石のようにゴツゴツと固く岩のように重い。その上心身のエネルギーを奪われるような感覚を味わう。それは妖精と漬物石くらいの差異がある。 かなり以前に、ご縁があって中国の国家主席だったケ小平のお嬢さんを、酔っ払ってハグしてしまったことがあるが、その感触たるや絹に包まれた羽毛のようで本当にビックリした。 この説に従うと、誠に恐れ多いが美智子皇后様などは、それこそ雲上人。優しくハグなどされたら天にも昇るほどの「愛と癒し」を得られるのではないだろうか。 ありがとうございました M田朋久 |