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■ わだつみ | 2006. 2.13 |
たまたま雑誌の書評で、「きけわだつみのこえ」という本を手にした。 学生戦没者の遺稿集だ。 特攻隊(人間魚雷の回天や特攻機)の若い戦士たち。 主に大正生まれ。 当時20代の人々。 ナカナカ名文が多い。 涙を流しながら読み始めた。 少し「わだつみのこえ」が聞こえたかもしれない。 多くの若い戦士たちは、残された両親や兄弟、妻や子どもたちに、または日本国民や日本国に対して「共通のメッセージ」を残している。 それは、関わってきた人々への感謝の言葉であり、もちろん別れの言葉もある。 そして「お体を大事に…」といった、自愛を促す言葉で締めくくられている。 死を前にしているのに、意外なほどに慚愧や煩悶などは見られない。 多くは、一種の静寂を伴う悟りの境地のような「死」の迎え方だ。 驚きである。 「自らの死」への解釈と意味づけに適した言葉の表現はない。 しかし、伝わってくる。 それは、祖国への愛や、両親や兄弟、妻や子どもといった肉親、そして祖先全体への、平和への「愛」である。 「愛」の為に死ぬのだ。 それは、人間がもっとも人間らしい生き方かもしれない。 最終的に、人は死ぬ。 その意味付けというのは、人間の究極のテーマ。 そのように創られているのかもしれない、生命というものは。 ちなみに「わだつみ」とは、海原、海の神という意味。 大海原に散っていった若者たちのこと。 日本人として、しっかりと記憶に留めたく思います。 ありがとうございました。 濱田 朋久 拝 |