コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ オリンピック2012. 8.25

ロンドンオリンピックが終わった。昨秋買い入れた大画面テレビのおかげで、生まれて初めてオリンピックというものを真面目に、ひととおり観てしまった。
筆者にとっては特別な2012年の夏であった。

テレビの力はやはり大きい。
ハイビジョン映像で画質が素晴らしく鮮明、美しい男女のアスリートたちの肉体をしみじみと鑑賞できて、毎日毎晩ハードディスクに録画されたスポーツの祭典を憑かれたかのように観つづけた。

オリンピックとは国別に争われる疑似戦争であり、人間のマスヒステリーそのものである。
人間というものは本当に争うこと、競うこと、戦うこと、そうしてそれらに勝つこと、相手をやっつけることが好きな生き物であることがこの種の催しを観る度に感じる。

人間の闘争本能を吸収する娯楽、ゲームとしてのスポーツの存在は有難い。
何故ならその期間だけは平和であるからだ。

竹島問題をアピールした韓国サッカーチームの選手がオリンピックの組織委員会によって厳正に処されたが、この事件があらためてオリンピックというスポーツの国際大会が、はからずも、皮肉なことに国際的な紛争や戦争の代替物であることを世界に知らしめてしまったことに気づいた人はそれ程多くはないだろう。
つまり、オリンピックの韓国男子サッカーの日本戦の勝利と、国際関係(両国の対抗心、競争心、国民感情)と決して無関係でないことを、多くの人々の心の無意識層に気づかせたのだ。

象徴的には1936年のベルリンオリンピック。
これはドイツの国家元首であったヒトラーの国際政治、国内の民族主義の高揚、プロパガンダとしての意味を強く持たせた大会であった。

ベルリンオリンピックで始められた習慣もある。
「聖火リレー」と「記録映画」だ。
レニ・リーフェンシュタールという女性監督によって撮られたベルリンオリンピックの記録映画「オリンピア」は今でもこの手の作品としては最高傑作のひとつとなっている。

この世界の祭典を機に、というよりタイミング良くドイツは世界大戦へと突入していく。
このことはオリンピックによって高揚させられた民族主義、ナショナリズムというものが意外にも危険な要素、国民感情の心理的動揺をも喚起させてしまうというマイナスの要因にもなりかねないということを物語っているのではないか。
人間の闘争本能をスポーツで発散、解消させるのは良い。
一方で、民族主義やナショナリズムの高揚は危険である・・・という風に理解して良いかと思える。

戦争の代償行動としてのオリンピックなら、毎年行っても良いであろう。
何せ、スポーツなら相手を傷つけ合うことはないであろうし、少なくとも厳格なルールというものがある上に、ルールそのもの、たとえばレフェリー・審判もスポーツ競技の極めて重要な構成員であるからだ。

実際の戦争でも審判か何かが強力に存在していて、イチイチそのやり方についてケチやイチャモンをつけながら人命尊重や平和を大義として粛々と行えば、のどかなレクレーションみたいになるのではないだろうか。
何だか夢みたいな空想であるが、世界平和を心から願う人間としてあり得ないようなアイデアを提言してみた。

世の中には他人同士の争いに乗じて利益を得ようとする悪質な輩がいて、国際的にも他国や自国の戦争・紛争を利用して、そこから莫大な利益を得る組織や個人がいると聞く。

もともと人間の闘争本能そのものは純粋で厳然として脳に組み込まれていて、この存在を無視するワケには行かないので、その発散法としてのスポーツの価値には素晴らしいものがある。

スポーツと戦争を比較して、その共通点と相違点を並べて論じた時に最も重大な問題は、尊い人命と財産の喪失というものである。
他者をやっつけたい
他者より優れていたい
他者より抜きんでていたい
他者の賞賛を浴びたい
この戦いと競争という人間も熾烈な欲求と強烈な集団所属欲求(愛国心)とがあいまって開催されるオリンピックをしみじみと深考すると果てしなく不気味でもあり愛おしくもある。
そのような存在として神が人間を創りたもうたのであるから、長い長い人類の戦争の歴史を振り返った時に、スポーツだとか経済競争とかをドンドン奨励発展させていくのは決して悪いことではないと思える。
人間の持つ闘争心や競争心が人類の文明文化を発展させてきた大いなる原動力でもあったのであるから、健全な形、即ち人命と無用な破壊をともなわないスポーツの大祭典・オリンピックなど4年ごとでなくしょっちゅう開催すれば良いのではないだろうか。
サッカーワールドカップのように4年ごとだからこそ素晴らしいというような、意味のないセンチメンタリズムに近い時間感覚は、今のこの時代には不向きのような気がする。

ありがとうございました
M田朋久


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