コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 経済政策2012. 5.23

今は世界的不況、つまり世界恐慌であるらしい。
それもデフレ不況。
特に日本、ヨーロッパでこの現象がつづいている。
デフレというのは物価が下がり、結果として賃金も下がる現象のことだ。
これが循環するのをデフレスパイラルと言って、泥沼のような不況に陥り、ついには大恐慌に至る。
即ち経済の混乱状態である。

デフレの反対がインフレで、これは物価が上がるだけでなく賃金も上がる。
つまり、需要が大きくなり、供給が追い付かない状態である。

デフレとインフレを比較すると、経済の成長という視点から好もしいのはゆるやかなインフレ、つまり物価も賃金もゆるやかに上昇する成長曲線であるのは言うまでもない。

人間も経済も後退より成長発展が望ましいのである。
国民生活にとってもデフレ不況はとても困った問題である。
需要の減少は失業や賃金の下落を招くからだ。

こうした深刻な経済問題を解決するのに「歴史の教訓」が役に立つ。

1929年に米国の株の暴落を契機に起こった世界大恐慌は、ルーズベルト大統領によって行われたニューディール政策と、その後に起こった第二次世界大戦によって見事に回復し、戦後の米国と西側世界の繁栄を築いた。
これによってルーズベルトは史上初の4期16年にわたる長期政権を、その死が大戦中におとずれるまで国民をしてその任を担わせたと言える。

この経済政策の考え方を伝授したのは、所謂、経済学者ではなくユタ州の一銀行家、マリナー・エクルズという人で、後にその功績によってFRB(連邦準備銀行)の議長に任ぜられている。

この政策は、現在の日本やヨーロッパのそれと全く逆で、財政再建や緊縮財政、グローバル化、自由経済などではなく、財政出動、金融緩和、非グローバル化、統制経済で需要を喚起し、供給を安定させることで失業率の悪化をおさえ経済活動を賦活させるというものである。

デフレ下の経済ではお金(需要)の価値が上昇し、物やサービス(供給)の価値が下がる。
このような状況では、人々はお金を使わない。
貧富を超えて、あまねく一般国民、つまり民間はお金を使わなくなる。
この景気循環は極めてマズイ事態である。
何故なら景気と言うのはお金を使う、即ちお金の流通で好調になるワケで、流通しないことで後退する。

「金は天下の回りもの」
「宵越しの金は持たネェ」
なんて感じで、富俗層を中心に全世界的にお金を使えば景気が良くなる筈であるが、これまた富俗層を中心に増やすことばかりを考え、ますます貯め込み、貧困層は貧困層で生活の不安の為、あるいは実際に所持していないことでお金を使わない(使えない?)。

世界中の富は増えているのに、ただ「使わないだけ」の「流通しない」「動きがない」状態が「不況」なのである。
これは不思議でも何でもなく、景気というくらいで人間の心理の自然な流れである。

ここで誰が損をしてまでお金を使うかというと、当然ながら民間では殆どそれはない。
したがって、こういう場合、政府の「財政出動」しかないのである。

公共投資。
社会保障。
この2つで国民の需要を喚起し、生活の不安を取り除けば人々は安心してお金を使う。
民間が使わなかったら国が使うしか無いのである。
民間が使ったら国は使わない。
これをケインズ主義という。

あ〜、それなのに日本では構造改革とか言って政府はケチってばかりいる。
一千兆円もの国の債務を理由に、この不景気な施策をバカのひとつ憶えのようにつづけているのである。
そもそも国家全体として俯瞰するなら国の国民からの借金などという表現がおかしい。銀行にはお金が余っている。それを国債で吸い上げて「使う」のだ。国は「お金がない」と20年以上言い続けて国民を苦しめている・・・そんな風に感じる。

戦争の時に国家財政を心配するだろうか?
国民の「失意」と「絶望」という難敵と戦うために国家の財源を最大限つかうのに無用なためらいは禁物である。何せ国民あっての国家でなのだ。

こんな事態になってもマスコミはこぞって国の「借金」ばかりを誇張する。
日本の場合、ギリシャと違って他国でなく国民からの借金であるので、国全体としての富が充分なので実際何ら問題はないのである。

一般国民にとってはGDPや、もっと言うなら個人個人の国民所得や経済成長(景気上昇)の方がはるかに大事なのだ。
そもそも国家の財政赤字、それも国内問題としての赤字など何の痛痒も感じないのに、それより給料が下がるとか仕事がないというのは大問題なのだ。
国と「痛み」を分かち合うなどできないのだ。

ところが、このような経済状況の下、日本をはじめヨーロッパ各国はいずれも「緊縮財政」「財政再建」を政策方針として国家の財政健全化を図っているが、デフレ不況下で苦しむ極少の富俗層以外の人々が大部分を占める「国民」にとっては許容しがたいのは当然であろう。増税などもってのはかだ。
デモや暴動のスペインでは失業率24%であるそうな。
若者に至っては50%とも聞く。
ギリシャ、イタリヤ、ポルトガルも同様とのことだ。

幸か不幸か、我が国はそのような高失業率にはなっていないが、国民の忍耐強さ、勤勉さ、貯蓄率の高さ(銀行と国債との安定関係)、納税率など主に国民の美質によって支えられている気がする。

デフレ大恐慌は、資本主義の危機なのである。
資本主義というのは投資と融資に支えられている。
中国や韓国、インドなど経済発展の旺盛な国々、特に中国などは社会主義国であるので、基本的に統制経済である。
イザとなったら国家主導で何でもやる。
イヤできるのだ。
これらの国々との競争に勝っていくのに新自由主義とか市場原理主義など、つまりグローバル経済など国家より企業を優先させる放任市場主義を選択するのは基本的にマチガッテいるのである。

かつてのルーズベルト大統領、だるま宰相・高橋是清のように、今こそ大胆な財政出動を行い、需要を刺激して経済を活性化させることが国家の急務であろうと考える。

このような経済状況を鑑みると国民生活に何のメリットもたらさない増税と同じく自由貿易協定とかTPP参加など見送るべきである。
政治家やマスコミや経済学者にだまされてはイケナイ。

ありがとうございました
M田朋久


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