コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 現代養生訓2012. 5.19

南雲吉則先生というお医者さんがおられて、色々な、若く見える、もしくは実際に若さを保つ為のアイデアをその著書で具体的に提示されていて興味深い。

言うならば、貝原益軒の著わした「養生訓」の現代版のような書物をいくつか書いておられて、結構売れているようだ。

このような「健康本」「アンチエイジング本」の中でも売れ行きが良いのは、著者自身が57才とは思えない程、若々しく「見える」というのが一番ではないかと思える。
実際に、表紙の写真は30代か40代にしか見えないから大したものである。
その上、本の帯には血管年齢28才、脳年齢35才などと医学的(?)に謳ってあるので、大衆向けには著者自身が現役の医者であることも手伝って売れ行きも好調のようである。

中身をいくらか抜粋すると、その一番は一日一食が良い。
空腹の時に若返る。
「飢えと寒さ」が若さの秘訣とか、スポーツをするな、走るな、紫外線(日光)を浴びるな、サングラスをかけよ、日傘をさせ、肉は食べるな、青魚を食べよ、野菜を食べよ、サラダはダメとか・・・、筆者の持論とかぶることも多く、取り入れたいアイデアも色々あって面白い。

特に肥満、糖尿病などメタボリック症候群の人には有益な健康法が多い。
ただし、盲信は禁物だ。
第1に、この著者は少しく若く見えるからと言って、実際に90才まで生きたワケではないこと。

第2に、そのような、男にとってはまるで女のようにナヨナヨと生きて、若々しく見せることが男として生きる者共にとって果たして有意義で楽しい人生であろうかという疑問がある。

第3に、それぞれに人生観や体質、遺伝の問題もあり、全ての人にこの生き方、健康法・養生法が有効有益と考えるのは早計であろう・・・と思えるからだ。

貝原益軒の養生訓にしたって中身を読むと、チットモ楽しくない。
養生の為に犠牲にする人生の楽しみ事、即ち食べること、性的なこと、スポーツ、喫煙、飲酒などがあるからだ。

こうして考えてくると、人生の楽しみ事の多くは「カラダに悪い事」のほうが多いような気がする。

筆者自身も、酒もタバコもスポーツも種々の性的事柄は大好きで、これらに自らのエネルギーを散逸させ、消費させているという実感があった。
これらの養生訓というものは、細く、長く、楽しくなく生きる方法と言えるかも知れない。

若さと、若く見えること。
これが現代の養生訓のめざすものであろうことが、この著書の売れ行きの良さからうかがえることであるが、人間は平和な生活、安楽な生活が手に入ると、このように健康とか若さにエネルギーが向かうものであるらしい。

無限にある健康食品のコマーシャルと共に、現代人の志向性の一側面を見ることのできる「現代養生訓」である。

このような著書は戦争時代、飢餓時代には最も売れない本ではないだろうか。
実際には、疑似的に戦争状態・飢餓状態に人工的に持っていく健康法とも言えるけれど・・・。

先述した先生によれば、楽しく気分良く生きて行くのには健康であることに異論は無いのだけれど・・・。

これらの「養生本」には、石原結實先生の「食べない健康法」とかに共通するものも多い。

ありがとうございました
M田朋久


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