[戻る] |
■ 孫正義 | 2012. 3.19 |
ここに一冊の本と、一本のDVDがある。 孫正義伝「あんぽん」−佐野眞一著−と「孫正義のシェアNo.1獲得戦略−DVDである。 前者は、最近書かれた孫正義氏の出生から現在までの赤裸々な評伝であり、後者は28才の若き青年実業家、孫正義の日本経営合理化協会における講演録画である。 28才から55才。 この両資料で、27年間の経営者としての軌跡と出生時と「生い立ち」からの「秘密」を垣間見ることができ、まことに興味深い。 成功したビジネスマンとしての孫正義の評価は、その実績、経営規模、人間的なスケールの大きさなど、確かにエポックメーキングに傑出した人物である。 在日韓国人として佐賀県鳥栖市の朝鮮部落に生まれ、家族は養豚と密造焼酎で生計を立て、心ない日本人から不当な差別を受け、激しい夫婦喧嘩と「慈愛にあふれた」風変わりな祖母とに育てられ、心理的には軽症のアダルトチルドレンかも知れない。 抜群のアタマの良さと努力家、思い立ったらトコトン真っ直ぐに突き進む強く激しい性格と、優しいリーダーとしての少年像が目に浮かぶ。 詳細は良著「あんぽん」に譲りたい。 DVDにうつると、28才とは思えない、堂々と落ち着いたスピーチである。 内容も理論もしっかりしていて、言いまちがいや欠落も無い、極めてマジメなものである。 驚嘆すべき、若き天才経営者を目にすることができる。 若い成功実業家というのは、えてして傲慢になりやすく、どこかしら自信過剰と劣等感の混じり合った、好もしくない雰囲気があるものだが、孫氏のそれは謙虚なる自信に満ちていて、おだやかでにこやかな語り口の中に、並々ならぬ闘志と、強烈な自信を全身にみなぎらせている。 ただの日本人から見ても、或る意味痛快である。 28才の時点で、既に100億円規模の会社を経営する堂々たる青年実業家である。 20年後、30年後の自分を見ていてくれ、必ずや日本一になってみせると豪語し、そのとおりになったのだから大したものである。 そうして先年の大震災の時の素早い、莫大な寄付行動である。 何と個人で100億円。 世間をアッと言わせた。 あまりの莫大さに、とてつもない大物ぶりを日本中、イヤ世界中に示してみせた。 極貧の中で育って、パチンコ屋チェーン、金融業と実父一族の成功をおさめた「金持ちの子」として九州の有名進学校へ進学、16才の高校1年時にアメリカに渡りカリフォルニア大学バークレー校を卒業し、日本でパソコンソフトの卸しの会社を立ち上げ、その技量と手腕で一気に日本一になり、時代の変化をいち早く読み取り、Yahooへの投資、ADSLの通信業に着手し、光通信の台頭から危機感をつのらせ、、一発逆転、大きな将来性を見越して携帯電話会社ボーダフォンを1兆数千億で買収。 LBO(レバレッジドバイアウト)という手法。 手持ちのお金の数倍の買い物をして、最初はモチロン赤字。 それが一部上場を果たし、巨額の富を得てソフトバンクそのものも順調に売り上げを伸ばし、これまた急成長。 地元九州の野球球団を買収するほどの成功を収めた。 同じような成功をした経営者は、楽天の三木谷氏がいる。 この方にはタナベ経営の講演会で直接お話を聞いたことがある。 まだ駆け出しの頃であるが、凄くアタマのキレる、やはりマジメな方であったと記憶している。 いずれもマジメな経営者と言えるだろう。 対極にあるのがホリエモンこと堀江貴文氏だ。 素晴らしく才能のある経営者であったが、世間をなめていた・・・という印象がある。 少し知識が足りないという風にも見えた。 その上、傲慢でもあった。 アタマの良さは同じくらいかも知れないが、勉強の量と質と蓄積が圧倒的にちがう・・・ように思える。 孫正義の動向から目が離せない。 「光の道構想」「脱原発」「自然エネルギー」。 孫正義の旅はつづく。 若きビジネスマン、起業家をめざす老若男女なら冒頭に述べた著書とDVD(CD)は要チェックだ。 「禍福は傲謙にあり」 のぼせあがって没落しない人は古今東西存在しない。 夢を実現する為の「教科書」のような物語とスピーチが聴ける筈だ。 ジャパニーズ・ドリームをめざす、すべての経営者に、そうして在日の朝鮮人、韓国人、日本人自身におすすめである。 ありがとうございました M田朋久 |