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■ 疑念 | 2012. 2.27 |
筆者は株もしないし、特別金融について詳しいワケではない。 けれども、社会の経済上の大問題としてギリシャに端を発したヨーロッパ金融危機が、世界経済に与える影響について声高にテレビや新聞雑誌で叫ばれているようだ。 先のリーマンショックと同じように、素人的に見て解せないこともあり、ここに書いている次第である。 そもそも金融危機とは何ぞや。 一言で言うと、信用貨幣と現物貨幣の乖離によって生じた金融機関への信用不安、つまり社会的な心理パニックのようなものと考えられる。 このように短く述べるなら逆に解りづらいかも知れない。 具体的に例を挙げると、銀行に預金がキチンと振り込まれていますよという銀行の発行した紙キレに書いた数字の金額が、実際に換金しようとしたら「出来ない」と言われ、パニックになったような状態である。 銀行を中心に据えた考え方で、債務不履行いわゆる「デフォルト」危機とも言える。つまり借金が返って来ない・・という「恐れ」を指す・・らしい。 国の借金%世界一(197%)の日本で金融危機がおきないのは、日本「国内」の金融機関でそれらを負っているからで、対外債務ではないかららしい。つまり親子で借金し合っているようなもので、他人、たとえば銀行とかではないからだ。 仲の良い親子なら借金チャラ・・なんてことも不可能ではない・・かも。 コンピュータや紙に記載されたままの貨幣(信用貨幣)による経済活動か物々交換か現金交換とか、とにかく交換価値が金本位制の崩壊以来ドンドン不安定になり、信用できない状態になった、即ち「信用不安」の社会心理的増幅が金融危機の本態であろうと考えている。 ・・・であれば、信用回復の方法について国家間でよく話し合い、真剣にマジメに考えれば良いと思うのだが、どうも国家もマスコミも本気でそのことに取り組んでいるどころか、逆に煽動しているように思えるのは筆者だけであろうか。 景気回復の本質は最終的に「人間心理」。安心してお金をいっぱい使える「心理」の醸成・・・にありと思えるので、「景気後退」とか「恐慌」とかコトバの連発こそやめるべきである・・と思える。 金融危機・信用不安を、マスコミを中心に政治家も、一部のエライ人もそれを口にして、あたかも大恐慌になるように、また既になったかのように敢えて表現している・・・と思えるのだ。 先日「マージンコール」という映画をDVDで観た。 リーマンブラザーズの倒産前の内実を、経営陣の対応や心理を「リアル」に表現したものだ。 しかし、これはリーマンの経営陣に責任の全てを押し付ける為の言い訳をもっともらしく一般人に知らしめようとした、一種のゴマカシ映画のような気がしてならない。 EU金融危機についての「予防線張り」映画とも見て取れる。 内容は、リーマン倒産、リーマンショックのひきがねとなった、所謂サブプライムローンを大量に債券化し、抱え込み、世界中に売りつけた会社のひとつがリーマンブラザーズなのであるが、これはもう典型的なインチキビジネスだ。 サブプライム(信用度の低い人々、返済能力の低い人々)への住宅ローンにおける信用供与に貸し出された取り立て権、つまり債権を金融学的に加工して、あたかもハイリターンンな債券として売ってきて、それが最終的に焦げつくどころか「会社(リーマン)を倒産に追い込むほどの損失を与える」という「予測」が出来た途端に「売り逃げ」を計った経営者(社長)が一気に投げ売りに転じ、株式の大混乱を招き、結果的に会社は倒産し、その規模の大きさは、日本の国家予算をうわまわる薬70兆円ものお金が消失したのだ。 世界中がびっくりしたのである。 ここで疑問が残る。 何故、「損失予測」が判明したかはともかく「売り」にかけるという「決断」をしたのは一体誰だろう。 よ〜く熟考し、先延ばしでも何でも良いから、しみじみと静かに他の何らかの別の対策を得られなかったのか。 政府に真実を話し、協力して対応できなかったのか・・・。 もし、その予測が出て来なかったなら・・・。 もし、その予測を隠ぺいしたなら・・・。 ここで第2の疑問。 だれがこの一連の金融騒動で巨額の利益を得たのか。 これらの予測を素人的にはリーマン倒産、証券・債券・株の下落の予測をあらかじめ 知った人は壮大な空売りをかけて大儲けをしたのではないだろうか。 あるいはその大儲けを目論んだ茶番劇なのではないだろうかという疑問である。 「空売り」は端的に言うと、株が下がると儲かり、上がると損をするという仕組みになっていて、その会社が倒産するまで儲かることが出来る。 リスクとして上がった時にはその損失が青天井であるというリスクはあるものの、最初から倒産する、恐慌になるということが確実なら、確実に莫大な利益を得ることができる・・・らしい。 日本の大証券会社、野村證券もその創業者が、この第一次大戦で株の下落を見込んで「空売り」をしかけ、大儲けをしたその資金で会社を創業したことが知られている。 それくらい儲かるのだ。 まさしく「人の不幸は蜜の味」 これらのリーマンショックが、もし演出されたものであれば、多くの一般庶民はキレ〜イに騙されたと言える。 そんなとんでもないカラクリを、この映画の表現意図の裏におぼろげに透かし見たのである。 何回もこのコラムで書いてきたことであるが、アメリカ映画には表のメッセージと共に隠された意図とか、ゴマカシが見え隠れする。 つまり、大衆を騙す意思を想起して鑑賞すると興味深い。 多少、天邪鬼的見方が多いとも言えるが、どうしても気になって書いてしまう。 米国は失業率8%がつづいている。 株高ドル安という変な状態、円高株安は為替相場、株式相場の関係からすると当然なのであるらしい。 即ち、円高になればドルから見ると株高になるからだ。 GDP(国内総生産)で、かつての日本のそれは500兆円、今は350兆円となるが、ドルベースでは5兆ドルとなって、あまり下がっていないことになる。 日本の株の場合、株価は外国人投資家の裁量に支配されているらしく、このあたりの作為は気に入らない。 9.11テロ、リーマンショック、東日本大震災、大洪水、EU金融危機、みんなある特定の人々の作為と仮定したら「犯人」を見つけるのは割と簡単である。 誰が儲かったか、利益を得たかを考えれば良い。 不況、株安、円高ドル安、戦争、天災人災、恐慌などなど、いずれも一般大衆にとっては一見深刻で悩ましいマイナスの出来事であっても、特定の人々にとっては莫大な利益を得るビッグチャンスでもあるのだ。 そのような視点で、マスコミや映画から流れてくる情報や、世の中のトレンドを一考してみるのも自らの資産や生活の安全、幸福感の心理的な防衛の為に必要かも知れない。 何故なら不幸感を安易に煽られない為に。 悪人というのはほとんど常に他者の争い事を利用し、乗じ、結果的にそれを好み、それらの出来事から利益を得ているのだ。 筆者の経験した詐欺事件も基本的な手口は一緒である。 つまり、親しい者同士の間に悪い、あやまった作為的な情報、中傷的な言葉、悪口などを流し、争わせ、おとしめてそれらの心理的葛藤、たとえば怒りや恐れ、羨望や欲望などの感情を起こさせるという手法を取るのだ。 戦争ビジネスと恐慌ビジネスがそれに当る・・・と思える。 もっと平易に述べるなら、「火事場ドロボー」的ビジネスの為に演出されたものが金融危機の本質なのではないだろうか。 国債と大手の銀行の価値づけをする会社で、S&P(スタンダードプアーズ)なんて会社も考えてみればかなり怪しい。 そもそも民間会社である米国の一企業が他国の国債やら、大会社の価値を勝手に評価し、それを情報としてビジネスが行われるということが常識として国際的にまかり通って良いのだろうか。 件のリーマンブラザーズですら、倒産の直前まではS&Pの評価では超優良であったのだ。 バカにするなと言いたい。 ありがとうございました M田朋久 |