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■ 飢えるネス | 2011. 9.28 |
健康のことを英語でウェルネスという。 単なる語呂合わせであるけれど、気に入って表題にした。 人間は空腹時に免疫力が高まるそうである。 この理屈を利用して自らの「秋カゼ」を治した。 或る日曜の朝。 起きる時に全身の関節が痛く、特に腰痛・股関節痛の為にうまくフトンから立ち上がれない。 気分も体も重くてダルい。 トシのせいかなぁと憂鬱になって、何となくたそがれていたら、その日は叔父の老人施設の2件目の落成式の予定を電話で報された。 ヤレヤレ。 或る経営上の問題で、夏には恩人と呼べるくらい世話になったので、不義理するワケにはいかない。 重く憂い満ちた我が肉体を黒い国産高級車の運転席に無理矢理座らせて、50km弱の高速路をシズシズと進んだ。 宴席が始まっても、少しも気分が晴れない。 両隣には同年輩の内科のドクターと、地元の医師会長だ。 いつもの抗うつ剤もチットモ効かない、ノンアルコールビールで約2時間半あまりの筆者にとっては「苦行」を頑張って締めまで席をはずさず、叔父夫婦の見送りを受けて帰路についた。 家に帰り着くと、それこそバタンキュー。 何となくカラダも熱っぽくなって、ついでに喉も痛くなってきた。 めずらしく祝賀パーティーの御馳走も全部たいらげてしまったのが良くなかったのか、ますます倦怠感と鬱気分がシッカリと日頃酷使している我が心と肉体に充満している。 そこで、この免疫力を高める為に空腹な状態をつくるべく、その日の夕食より軽く断食を始めた。 親に言われて若い時から時々実践していたので慣れたものである。 鎮痛剤と抗生物質を1錠ずつパクッと飲んで後は水だけ。 時々、口寂しいのでポカリスエットとダイエットコーラを胃袋に流し込む。 こうしていると、その日の晩のうちに気分が良くなってきて、翌日の朝にはモチロン昼食もパスして、夕食も午前0時近くに納豆と玉子とキムチとでサトウのご飯を食べたらメチャクチャおいしい。 丸1日半軽く絶食したようなものであるが、これでスッカリ体調も良く、カゼの病原体(多分ウィルス)は免疫力・自然治癒力によって退治されたようである。 「知識は身を助ける」 以前に豆知識で自らの大切な前歯四本を救った事がある経験から、こういう基礎知識はとても有難く役に立つ。 日頃から患者さんにもお伝えしていることだが「病気になったら食べないこと」。 これまでの栄養学の常識を破った考え方だけれども、我が身に実践してみたら効果抜群であった。 食欲も無いのにイヤイヤ食事するのはカラダにとって最悪の行動かも知れない。 カラダが欲しがっていないのに無理に食べ物を体内に押し込むのはまるで拷問と同じようだ。 この世の中には有害な食品も山のようにあるらしく、薬害などより静かに深く蔓延していて、考えてみればかなり怖い。 肥満・メタボ。 果ては糖尿病・高血圧・癌など主に生活習慣病と呼ばれる疾病群は端的に表現するなら「食べ物病」だ。 運動不足が主因ではない。 筆者は日常的に殆んど歩かず、運動もしないけれど肥満もメタボも糖尿も無い。 ただ食事を律節しているだけである。 もともと体質的に肥満しやすく糖尿病になりやすいのは日本人の遺伝子に強く存するらしい。 ついでに肝臓もアジア人の中でも特に弱いらしく、ましてや西洋人のようにアルコールをガブガブと飲んでいると死んでしまうらしい。 女にもSEXにも酒にも弱い日本人。 だから長寿なのだ。 弱い肉体が日常的に節制を余儀なくされ、仕方なく「長生き」をしている。 健康の秘訣は空腹にあり、ウェルネス=飢えるネスだ。 飢えると野生もよみがえり、若々しくなるそうである。 皆さん、女(男)に飢え、食事に飢え、アルコールに飢えましょう。 禁欲を楽しみましょう。 禁欲主義・ストイシズムとはストア学派の思想のひとつである。 そしてそれは見方を変えると快楽主義でもある。 快楽の為の禁欲。 禁欲そのものの中に快楽を見出せるようになったらシメたものだ。 人生が自由自在に回転していく。 自分の意志・忍耐(禁欲)を意のままに操れるからだ。 貪欲と無知を戒める仏教の教えは実に偉大な人類の生活上の叡智であるのだ。 そう「言えるネス」。 ありがとうございました M田朋久 |