コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 家族の掟2011. 7. 5

今夏は「マルモのおきて」なる一風変わったタイトルのテレビ番組が日曜日のゴールデンタイムでの高視聴率を獲得して、放映テレビ局の特集番組まで組まれ、7月3日最終回を迎えた。

テレビの連続ドラマなど筆者は普通観ない・・・ハズであったけれども、知人の強力な勧めもあり、話題の番組でテーマ曲も本屋でガンガン流されるし、その録画された映像を鑑賞していると確かに涙は出るし、感動するし、主役の阿部サダヲの魅力もナカナカで結構な傑作ではあるなと思わず知らず見入ってしまった。

現代の世風にマッチした、昔風に表現すれば新しいカタチの言わば新感覚ホームドラマである。
連続ドラマも若者向け、壮年向け、老年向けとそれぞれ製作者のコンセプトがあるのであろうけれど、件の「マルモ・・・」についてはそれこそ子供からお年寄りまで家族全員そろって安心して観ていられる最近ではメズラシイ良質なテレビ番組となっている。

こう考えてくると、この作品の高視聴率もウ〜ン、ナルホドと頷けるところである。

出演者はペットのワンちゃん、食堂の店主(世良公則)とその一人娘、双子の男の子と女の子、死んだとされている離れて住む母親。
真面目で情愛の濃い、少しオッチョコチョイの青年。
40年くらい昔に「パパと呼ばないで」という、やはり人気ドラマがあって、同じくコメディアン系の石立鉄男と子役にあの有名な杉田かおるを配して、当時3〜4歳だった女の子の愛称「チーボー」の呼びかけは流行もしたし、今も記憶にあざやかである。

可哀そうな子供とその親役をする独身男という設定は、子供相手であるから当然起こってくるオカシサとコミカルな演技とセリフまわしが生じやすいのか、笑いあり涙ありの人情物語として定番なのかも知れない。

物語の中身は実際に御覧いただくとして、いくつか心に残った言葉を番組の中から拾ってみたい。

そもそも「マルモのおきて」とは、父親がわり母親がわりをする独身男「マモル」君の毎日の就学前の双子の子供が小学校入学と通勤・通学・「家族」についての「ルール」をノートに書きつづったものである。

確かに家族の共同生活にはルールがないと困るし、あると便利である。
所謂「しつけ」や子供の家庭教育の本質を短くまとめたもので、それなりに説得力もありいたってマジメなものである。

曰く、
「好きでも嫌いでも家族」
「晴れた日にはお洗濯」
「離れていても家族」
・・・
などなど、いずれも具体的で社会生活も教育的で、誠にテレビの社会的機能として社会の中での家族の単位を「守ろう」という意図があって、世間の公序良俗を保つ上で善良なものばかりである。

先の震災でも明らかになったように、日本人というのは概ねというか本質的にとても真面目で優しく、自己犠牲的で家庭的である。

余談であるが、同じく日曜のNHK大河ドラマも今年のそれは女性を中心に据えて壮大なスケールの中のありきたりなホームドラマそのもののようにも思える。
その意味で昨年の「龍馬伝」しかりである。

テレビの連ドラなどというものは元々ホームドラマが保守本流なのかも知れない。

「マルモ」を視聴者が視聴率をもって是としたことは、日本の社会に安心感を与えていると感じた。

「遠くの親戚より近くの他人」

昔からの諺どおり民衆・大衆というのはみんな温かい愛の心で寄り添って着々と日々の生活を送っているのだ。
ドラマの背景である大都会東京の街で人々の温かい交流があるのであれば、ほんの3万数千人の我が町だ。
みんな親とか兄弟のような近親者と思って丁度良いと思える。

「世界はひとつ、人類みな兄弟」
などと大見得をキラなくても、もともとそのような存在が人間の社会であるし、いたいけな双子の間を引き裂こうとする「まっとうな」親せきより友人の子供の面倒を見ようとする「異常」の方がより自然に思えるし、率直な感情や愛情をぶつけやすいのではないか・・・。
血が遠い分「愛」に重みや「理屈」がいるのだ。
それこそを「おきて」と呼ぶほどの・・・。

そうしてそれは法律ではない掟なのだ。
血も涙もある熱いものである。
その名のとおりより自然の摂理に近い厳しい家族の掟・規範であるにちがいない。

それにしても阿部サダヲはこの番組でブレークするかも知れない。
カラダの動きがコミカルでややオカマ風なのが面白い。
近々、上映された主演映画「泣くもんか」と同じキャラで演技していた・・・ように思える。

タイトルのつけ方も「マルモのオキテ」として「オキテをマモル」をパロディー風に説教臭くなく表現していてこれまた秀逸であった。

ありがとうございました
M田朋久


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