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■ もう一度抱きしめたい | 2011. 1.11 |
「ゴースト」という題名も内容もアメリカ映画の完全なリメイクで、日本版が今公開されている。 先日レイトショーで観に行った。 ゴースト即ち幽霊が主人公で、ヒロインに松島菜々子、相手役にイケメン韓国人俳優、この映画で重要な役割を果たす霊媒師に樹木希林。 脚本はともかく、キャスティングは樹木希林以外に今ひとつであった。 女優さんが好みでないと映画が急に面白くなくなる・・・のが筆者の悪い癖である。 米国版はデミ・ムーア、筋肉ムキムキマンのパトリック・スウェイジ、霊媒師に黒人コメディアン女優のウーピー・ゴールドバーグとこちらもキャストはウーピーさんが最良であった。 とにかく演技も存在感も一枚も二枚も上という印象であった。 それでもこの手の映画は愛する人を亡くした人には相当の癒やしを与えてくれる・・・と思える。 何せ霊界とか天上界に行かず、現世に幽霊として残って生者の相手をしてくれる・・・というか、守ってくれる、愛してくれる、愛させてくれる・・・物語なので、耐え難い喪失の痛みに生きる希望を失くしている人には、これはもう大変な救いであろう。 何せ目に見えないだけで愛する人が霊になって側にいてくれる・・・という物語だから・・・。 日本版のサブタイトルが表題に掲げた「もう一度抱きしめたい」である。 少し前、10数年前に大ヒットしたミニシアター系のイタリア映画で「ニューシネマパラダイス」という大変な名作がある。 エンニオ・モリコーネの音楽とともに映し出される感動のラストシーンは映画史上に残る大傑作の栄誉を与えられる名場面であろう。 ただ単に次々と映し出される、主に男女の抱擁とキスシーンのコマ切れカット場面なのであるが、この物語のラストに見せられる身震いするほど号泣するほど感動する。 「男女の愛し合う姿」というものがこれ程感動的であるとは・・・つゆ知らなかった。 「ニューシネマパラダイス」とのタイトルどおり映画の感動場面のチョットした盲点というかエッセンスを凝縮してラストに観客に見せるのであるから、この監督も大したものである。 誰しももういちど抱きしめたい人(動物も含め)を持っていない人はいないのではないだろうか。 できることなら一度だけで良いから・・・。 過去に愛した人、愛してくれた人を。 何もいらないただそれだけで良い・・・なんて感じで、あらためて自分自身の配偶者や恋人を心を込めて優しく抱きしめてみたら、きっと幸せな心持ちがするのではないだろうか。 「あなたのことをありのまま丸ごと全部愛しているの。 そして永遠に・・・」 なんて感じで抱きしめてあげたら(くれたら)何て幸せな気分を味わえるのに・・・。 多くの人々がそれをせずに日常に追われ、あくせくと働いてただ殺風景で無味乾燥な日々を送っているというのは何とモッタイなく悲しいことなのか分からない。 時間が経てばみんな死ぬんであるから、できるだけ多くの人を愛し、ゆるし、抱きしめたがいい・・・そんな風に最近考えている。 愛する人を失くしてから真剣に思うこと。 そうしてまだ「もういちど抱きしめたい」人がまだまだいっぱいいて、その抱擁を待っているかも知れないし、自分自身ですらもそれを忘れるくらいどうでも良いカタチだけの自己満足的な仕事とか義理とか単なる娯楽とかや「大切なこと」に追われて人生を無駄にしているのではないだろうか。 マザー・テレサのようにすべての貧しい人、愛に飢えた人をできるだけ抱きしめ て「I Love you」と伝えることこそ本当の人間として生きれた幸福というものではないだろうか・・・と思える。 愛した人の命日を前にしてそんなことを考えている。 もういちど抱きしめたい・・・心からそう思う。 そして心から告げたかった「君だけを愛していた」ということを・・・。 ありがとうございました 濱田朋久 |