コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 沈みゆく日本を憂えて2010.12.29

一介の町医者の分際でこんなテーマで書くなんておこがましくもあり恥ずかしくもあるけれど、思ったことはドンドン書く。
そして少しでも世の中の役に立つと信じて書いてみようと思う。
どちらにしても役に立ったか意味があるかどうかは読んだ人が決めることだ。

先日本屋で経済紙を見ていたら、日本の現在の国際的経済水準のランキングがすべて相対的にも絶対的にも急落している。
もともと国勢図鑑は世界のも日本のも時々楽しみで読んでいて、或る程度は世界情勢を掴んでいるつもりではあるが、ここ10年でずい分日本は落ちたなぁというのが偽らざる正直な感想であった。

一人当たりGDPについてはイタリアより下で、上位から22番目だそうである。
10年前はトップ10に入っていてアメリカよりも上位であったのに・・・。
経済的指標というのは学校で言うなら通信簿みたいなもので、国民が頑張った結果の指標として数値化されていて分かりやすい。
この急落の原因については、中国やBRICS4とかその他の国の台頭とかリーマンショックとか世界不況とか色々エコノミストの言訳があろうけれども、もともと日本には大した資源もなく、国土が広大なワケでもなく、ただ国民の資質が優れていたから経済発展してきたので、言うならば人材立国であり、それに派生した技術立国、貿易立国、もっと根源を辿れば教育立国である筈なのである。
労働立国と言っても良い。
かつては勤勉で働き者の国であったのだ。
今でもそう思い込んでいる人がいるが、今はそうとは言えないような状況である。

多くの人が仕事をイヤイヤしているし、学校にも仕方なく行っている。
そもそも少子化対策と同様に教育に力を入れていないのだ。
10数年前に学校の週休2日制とか教育内容の30%削減とか決めた時からこの今の事態は予想していたので、その割には持ってるなぁというのが筆者の感想で、もうとっくに普通の会社ならば潰れているようなレベルである。
本当はもう日本国は潰れているのかも知れない。
教育というものは一般社会生活よりも厳しくあるべきだと思う。

練習の方が本番よりも厳しいように。
あらゆるスポーツがそうであるように。
あらゆる芸事がそうであるように。

それに学校の先生が忙し過ぎて余裕のないのは良くないことだと思う。
教育者の本分は子供と向き合うこと、関わることである。
医者が患者さんに向き合うように・・・。
今はそれ以外の活動が多過ぎると聞いている。
学校の先生なら夏休みも子供と一緒にとっても良いのでないかと思う。
忙しいということは急いでいるということだ。
急いでいる人が人と真剣に向き合うことはできないであろう。

或る先生に聞いた話であるが、病院でも只話を聞いてくれる人を一人置いておくだけで精神的にも人間関係的にも組織全体がずい分落ち着くそうである。

家庭教育(母親)、学校教育(教師)、社会教育(マスコミや行政)、これらの人の責任は重大である。

先日、友人たちと仕方なくテレビを試しに観てみたが、大の大人である友人たちも定番のくだらないバラエティー番組を面白がって観ている。
失礼ながら内容は小学校の運動会レベルである。
学芸会のレベルには届かない。
それくらいおバカな番組を製作して国民に流して平気でいられる。
その精神が理解できない。
啓蒙とか教育は教育テレビで観ればという意見もあるけれど、普通の人間は娯楽番組やエンターテイメントが好きなのである。
今は報道番組やニュースですら受けを狙って娯楽番組風に製作されていて、視聴者を目いっぱいひっぱりながらコマーシャルへ導く。

ついでに字幕まである始末。
聴くという行為すら皆さん難しくなっているのだ。

昔あった教育的ホームドラマがテレビから消え去り、家庭教育もどうしていいか分からなくなっているのではないだろうか。
みんな実生活では途方に暮れておられるのかも知れない。
こんな悪環境でよく皆さん頑張っているなぁ、ホトホト感心する。

かつては世界最高と言われた学校教育も家庭教育も国際水準からすると中身も程度も凋落著しいようだ。
地に落ちたと言えるかも知れない。
つまり進化発展していたであろう江戸時代や戦前からしても悪化、衰退している感覚である。

学問というものは人間学と時務学とあるらしく、今は時務学つまり情報・知識・技術ばかりに重きを置き過ぎ、学業成績もこれらを中心に評価して来たキライがある。
筆者の受けた教育も殆んどこの時務学で、医学部であったからこの時務学ばかりを学ばされた気がする。
この時務学のことを「芸」というらしいが、芸ばかり教えられて人間学というもの、つまり昔でいうところの「修身」とか「道徳」とか今でいう「自己啓発」みたいなものは、主に東洋哲学を中心に独学的読書やそのようなセミナーで、自分で学ばなけらばならなかった。個人的にそういう必要があったからだ。若い時にあまりにも精神的に「生きる」のが苦しくて・・・。

だから医者はバカに見えるのかも知れない。
人間学を教わらなかったという意味では教育が悪かったと言えるであろう。
というのも芸(技術・知識・情報)ばかりが優先されていて人間学はからっきしダメというのが普通の医者の教育程度なのである。
まさに偏学であり曲学である。

先の総理大臣でこれまた学問の無かった麻生太郎氏などからも「医者は変人ばかり」とバカにされていた。
バカにバカにされて医者も怒っていたが、こういう時こそもっと威厳をもってもっと気のきいたセリフで対応すべきであったろうと思える。
たとえば完璧に無視するか、何か素敵なユーモアで返すとか・・・。
そういうシャレた人が医師会にも居なかったのであろう。
「謝罪しろ〜」とかになったらしい。
バカみた〜い。

マスコミも非道い。
今の海老蔵事件の扱いだ。
芸人だってただの人間だ。
酒も飲むし喧嘩もするし、暴力に晒されることもあるだろう。
それを2時間も3時間も昼間の番組であ〜だこ〜だとコメンテーターやタレントさんが述べ立てて通信の無駄使いもいいところだ。

スミマセンでした。
反省してます。
今後注意します。

もっとマジメにやれ。
まず、それらの役割についての見識を高めると、その本質をよく知ること、研究すること、勉強すること、人間を学ぶこと。
何だかエラソーに書いてみました。

そうして今の日本の国際的位置を世界の趨勢にまどわされることなく、確固とした国家の方針を持って、毅然とした態度で進めていくべきであろう。
実のところGDPだ、国際的レベルだの本当はどうでも良くて全く問題でないのだ。
日本国と日本人がどれだけ世界の人々に尊敬を集め、人々を喜ばせ、幸福にし、またその国民も心豊かに幸福に生きていけることこそ大問題であるのだ。

国民や為政者がくだらない遊びばかりに興じて我を忘れているのは国家が滅亡する前兆であるそうな。
このような深憂を禁じ得ない現在の国民国家の現状である。
マスコミ亡国論、ゲーム亡国論、金融亡国論、経済亡国論、色々書けるなぁ・・・今の日本。
考え過ぎかも知らんけど・・・。

ありがとうございました
濱田朋久




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