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■ 「果報は寝てまて」の科学 | 2010.11.20 |
或る全国的な「会」のセミナーの講師を依頼されて、例のごとく二つ返事で簡単に引き受けて、タイトルをせがまれ苦しまぎれに挙げたモノが表題の「・・・寝て待て」である。 何せ「ナイトセミナー」であるから「寝る」という意識が動いたのであろう。 我ながら相変わらずいい加減な選択方式である。 ちなみに翌朝にある「モーニングセミナー」の演題は「早起きは三文の徳の経営」である。 苦しまぎれとは言え、何とまぁ安易な性格であろうと・・・と呆れている次第である。 「果報は寝て待て」というのは一般的に一生懸命、努力精進をしてその結果を待つ・・・という風に捉えられていると思うが、筆者の述べるニュアンスはチョットそれらと異なるものである。 モチロン「人事を尽くして天命を待つ」なんていうモノでもないのである。 どちらかというと「他力本願」的というか、「棚からボタモチ」的というか、言うならば幸運・良運が天から降ってくるのを待つというような自己中心的で、怠惰で非行動主義的なものであるので、安易な自らの性格を反映したものである。 積極的に何もしないで待っているというような願望実現法のスタイルである。 概して日本人の場合、特に「待つ」ことの苦手な人が多い。 とにかく事があるとジタバタもどかしい人の方が多いような気がする。 付和雷同というか集団パニック、集団ヒステリーの傾向があるように見受ける。 右往左往、右顧左眄という言葉もあまり良い意味でなく、何事についてもウロたえることを戒める意図が込められた表現である。 子母澤寛という作家の「勝海舟」を読むと、主人公の勝さんは行き詰るといつも「寝ている」。 勝人は肝をつくる為に剣と禅を幼少期に学んだ人で、事ある度に心を澄ませて「明鏡止水」とかで表現される鏡のように静まった湖面のような心で人事に当れという処世訓を持っておられたようで、重大事案であるほど前もって策を弄するでなく、無心に事に当って国事や難局を乗り切って来られたらしい。 かなり昔であるが、筆者の医院でも看護婦さんたちが全員して辞めると言い出して一人も仕事に出て来なかった日があって、その時もこの勝海舟の手法を真似て医院を閉めて院長室でフテ寝をしていたら、周囲の人の助けもあったりして何となく自然にコトが納まってしまったことがあって、大概何もしないで寝てしまうことにしているが、結果が悪かったことは一度もない。 有難いことである。 「何もしない」「何もできない」というリーダーシップは東洋思想の最高峰である易学などでもキチンとそれらしきことが明記してあって、それは具体的には筮竹で出てくる68卦の中で「火天大有」という卦で表現してある。 この稿は易学の解説ではないので簡単に述べると、リーダーとしてふさわしい態度というのは「陰を含む」というか「私は何もできませ〜ん」みたいな、或る意味「寝て待つ」方が周囲は動きやすく活性化されるという理論に基づいている。 逆にあまりおすすめできないリーダーシップというのは「水地比」と言ってトップがあまりに元気で活動的過ぎて周囲のヤル気・活動性が削がれてしまい、組織全体の活力を落としてしまうことが多いのでよろしくないらしい。 いずれにしてもトップが動き過ぎる・活動的すぎるいくら当人がエネルギッシュで活力があってもリーダーのあり方としてあまり好もしくないと言っているのである。 我が国の国家元首は総理大臣ではなく、天皇陛下であるがここら辺の帝王学を良くご存じのようで「陰を含む」「静かに待つ」という徳を心得ておられるようで、概ね発言も行動もつつしみ深く慎重で、一国民として心から安心できる静かで落ち着いた存在感である。 アフリカの一部族は、男女の交際欲求があった場合にまじないのひとつとして、夜就寝時にその異性との「情愛」をイメージして床に就くと「コトが成る」らしく、筆者も何度か試してみたが、ほぼ80%くらいは成就してしまったので早くにこの秘法は実行実践しないようにしている。 それくらい効力があったということであるが、考えると或ることを成就完成し良果を得る為に、いかに「寝て待つ」ことが重大かを示すアイデアと思えるがいかがであろうか。 就寝前、就寝時には人間の潜在意識の窓口が大きく開いて、色々な言葉やイメージが割りに簡単に心の奥底に入りやすいそうである。 そうして、その潜在意識と宇宙意識は密接につながっていて、イメージの現実化に大きな一役を買うらしいのだそうだ。 その内容が個人にも世の中の発展に寄与するものなら殆んど100%実現するとも聞いている。 「人間の潜在意識にあるものは殆んど現実化する」という事実は心理学者のユングや、色々な成功哲学・自己啓発本に繰り返し言い古された定説でもあるので、やや一面的捉え方かも知れないが「果報は寝て待て」というのは、リーダーシップにも成功や幸福や健康の現実化にも極めて強い効力や自他へ影響力を持つようなので、これを試みないのはモッタイナイし、第一楽である。 「努力逆転の法則」というものもあるので、あまり苦しいこともカラダにもココロにも人生にも良くない・・・から「寝るより楽は無かりけり、浮世のバカが起きて働く」・・・よろしく良い事を気分よく、気持ち良くイメージで想起しながら「寝ている」ということがどれだけ人生を豊かにするか・・・はかり知れない・・・かもヨ・・・とお伝えした次第である。 この手法は安眠を得ること、所謂「睡眠障害」にもよく効く方法でもある。 ご参考までに・・・。 ありがとうございました 濱田朋久 |