コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 摂食障害2010. 9.25

この病気はかなり難治である。
もともと精神科の病気であるが、心療内科でも時々見られる。
主に重い体重減少による身体面の不具合が出現してくるので内科的治療、特に栄養面の管理が重要となるので心療「内科」にお呼びがかかるのであろう。

殆んどが女性であるが、モチロン男性も発症する。
昔は滅多に無かった疾患であるので、或る意味現代病とも言える。
皮肉なことに食べ物が余っている国で発症することが多いようだ。
貧しい国には飢餓はあるが、典型的な摂食障害の報告はあまり無いが絶対無いとは言い切れない。

発症は思春期以降であるが、結婚して子供を産んで発症する例も少なくない。
原因は心理的なもので「母親との関係」「母子密着」とか「母子分離不安」という精神的な自立の過程での何らかの精神的な歪みが原因となっている。

人類は全てつきつめれば「マザーコンプレックス」であるので、誰もが大なり小なり産みの母親、育ての母親の影響を強く受ける。
子供にとっては理想の母親とは厳しいけれど温かい人柄の母親で、愛情深く子供を育て、子育ての最終目標を精神的、社会的、人間的「自立」に置いた女性である。
しかしながら表面的に悪妻悪母であっても例えば意地の悪い継母であったりしても結果的には「良母親」となっている例も多く、ケースバイケースで説明がとてもムツカシイ。

人間関係における愛情問題は大きく「親子の愛」「男女の愛」に分けることができる。

「親子の愛」から「男女の愛」への移行期、つまり思春期、精神的嵐の時期に強力な親の愛の保護のもとに異性への性的な欲望をバネにした男女の愛への旅立ちが起こればとりあえずは治療ということになるが、結婚して起こってくるのは何故か?
恋人もいるのに何故か?
との疑問もあるかと思うが、このような例でも深く長く患者さんにインタビューすればやはりどうしても母子関係の問題に行きつく。
年令が上がる程、父子関係の問題も浮上してくる。

人間の場合、親子の絆の問題は極めて奥深く広漠としてつかみどころが無い。
天なる父、母なる大地というくらいで天地大宇宙の深遠で謎に満ちた営みの中で神の与え給うた「性欲」という有難くも狂おしい欲望こそ摂食障害の妙薬では無かろうかと考えているが、「食欲」という生命維持の為に天高く立ちそびえている欲望の前に性欲がひれ伏した時、若者では摂食障害が起こり、中高年ではメタボが起こり糖尿病が発症するようだ。

糖尿病の人は性欲の強く淋しがり屋の人が多いが、食欲と性欲のコントロールに失敗したか主に栄養的、心理的、生活習慣的な「無知」から生じることが多い。

ちなみに最近の栄養学では糖尿病に最も効果的な食事法はカーボカウント療法(炭水化物制限)であるが、これはまだ日本では行き渡っていないようだ。

炭水化物は強力な性欲増進物質であると同時に抑制物質でもある。
つまり性行動の為の即効的食品は米、パンなどの炭水化物であるが、これは確かな性行動によって確実に消費されなければエネルギーの不完全燃焼によって生じた高脂肪やブドウ糖高値がインスリンを中心に活性化される内分泌代謝系の負荷を増幅させ、肥満や糖尿病の原因食品となる。

逆に考えると「性欲」を維持する為なら他のあらゆる欲望を捨て去ることさえいとわないという程の情熱があるならば摂食障害を含めあらゆる食習慣によって生じてくるであろう、所謂生活習慣病(メタボ、糖尿病、高血圧、高脂血症など)を回避できるかも知れない。

言葉を変えて表現するなら摂食障害を「食事中毒」と「愛情不足」と仮定すればこれを一気に解決するのは「恋愛中毒」が一番であると・・・。
愛は純粋に精神的なものであるが、恋は性欲が中心的な動機づけとなる欲望の人間的表現であるから・・・。

速やかに治癒した例はすべて「恋」の力であったが、時に父母とのおだやかな精神的な和解か、もしくは精神的分離、つまり死亡とか疾病や老衰による生物的、物欲的別離の際にもこれは生じる。

以上ご参考まで。

追記:人間は、それも特に女性は愛されないと心を病むらしい。
そうして最も生きるための原始的欲求である「食欲」の調整に異常を来たし摂食行動の異常を生じさせるものであるらしい。
これではまるで淋しいと死んでしまうと言われているウサギと同じではないか。
「可愛いウサギちゃん」
これが多くの若い女性の本態かも知れない。
いつもいつも愛されたくて愛されたくて強力に保護されたい・・・生き物・・・。
悲しいと言えば悲しく、愛おしいと言えば愛おしい・・・。
・・・存在が女性(人間)なのかも知れない。

ありがとうございました
濱田朋久



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