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■ 好きな映画 | 2010. 2. 9 |
各界の著名人、有名人や主にタレント、芸能関係の人々の好きな映画ベストテンとか、雑誌やテレビ局の主催するアンケート調査による好きな映画ランキングや、アメリカのアカデミー賞を筆頭、世界各都市で開催される映画祭、たとえばベニチア映画祭、ベルリン映画祭、カンヌ映画祭、モントリオール映画祭、ゴールデングローブ賞、などなど数限りないが、ごく個人的に自分の好きな映画となると、多少それらと重複するものの、殆んど好みの問題で、男女差、年代差、世代差、趣味嗜好などで、これらのランキングほど参考以外の何物でもない。これから筆者の紹介する映画も読者の好みと全く異なると思うのでまずは気軽に読んでいただきたい。 筆者が、最も頻繁に観る映画は洋画では「フランティック」というものだ。監督は、あのロマン・ポランスキー。「あの」と言ったのは大物「シャロン・テート事件」最近の「少女猥褻事件」で話題になった人だから、このように表現してしまった。 シャロン・テートは、当時この監督の夫人で美人女優さんで、 自宅で友人とくつろいでいる時に、チャールズ・マンソンを主犯とする、今で言うカルト教団の残虐な、遊戯的殺人事件の犠牲となり、非業の死を遂げたことで有名となった。近くの少女猥褻事件では有罪となったと聞いている。 このフランティックは、冒頭のシーンとエンドクレジットのシーンが同じ空港から、パリ市内の車窓の流れる風景を、エンニオ・モリコーネのドラマチックな音楽にのせて映画化されていてこれが何度観ても、ロマンチックで何とも叙情的で何故か心を癒してくれる。 どういうワケかこの花の都パリには計4回も行く羽目になって、早朝のパリと、夕暮れのパリをたっぷりとこの映画で堪能できるだけでなく物語も、緊張感とスリルとサスペンス性にあふれていて、繰り返し見ても少しも飽きない。 物語はパリの医学会に出席していた、米国人の医師(ハリソン・フォード)が、妻を何物かにさらわれて警察やら領事館もアテにできず、一人で愛妻を探すうちに、国際的な犯罪に巻き込まれていくというもので丁度、アルフレット・ヒッチコックの映画に展開が似ているが、それよりもややモダンでリアルに描かれている。 夫婦で、ホテルに泊るシーンなど誰もが経験しているであろう、ありふれて、普通で日常的でそれが急に事件性を帯びて危険でハチャメチャで、シリアスな背景を抜きにするとチョットしたドタバタ喜劇にもなりそうな演出となっている。ラストは早朝のヤーヌ河畔。愛妻も事件に巻き込まれた、若い女も、同じ赤いワンピースであるところがチョッピリ黒澤映画的ではあった。 「パリ好き」「旅行好き」の方には必見である。パリという街の雰囲気がに匂やかによく出ている。 邦画では、以前にも書いたと思うが、「いつかどこかで」という、ミュージシャンの小田和正が撮った、初監督映画である。これは製作、脚本、音楽とすべて小田氏が、関わっているようで、何回観ても、随所に、微妙で絵画的で完ペキな工夫がされていて、これまた全然飽きない。音楽も画像も最高と思えるが、DVD化されていない。残念である。この作品は一回観ただけでは何のことか解らない程スピーディで会話もコミカルで、面白いのに・・・。 3回以上観ると、面白さが解ってくる。 1980年代の作品で20年近く観つづけている。小田和正監督は二作目をつくったが、これは駄作であった。それでも、是非とも、また映画撮りに挑戦して欲しいものだ。日本の都会と山林の海岸の美しいところを、抽出して見せてくれる。主演の女優さんが少し存在感が弱いが、それでも何度も観ていると、最後に微かに微笑む表情など、とてもはかなげで美しいと感じれる。全く好みではないけれど・・・。 この2作品など、殆んど、ランキングに上がって来ない筈だ。 それは筆者の好みが一風変わっているという意味ではなくて、美意識についての、こだわりがあるからだと思うが、それは、ごく日常的で平凡なやりとりや風景を美しい感性で、捉え、少しもドロドロとした、人間臭さを感じさせないものを好むという面を現しているように思える。 映画というものはやはり、ファンタジックなものが好みであり、それもリアルに似せたファンタジーの世界に遊ばせてくれるものが良く、さらに、言いつのるならば、現実の世界に応用できるファンタジーが好ましいのである。 だからファッションとか、クルマとか会話とか、音楽とか、自分の感性にマッチして、また自分の内面世界にどんどん深く同調していくものが良いので、先述した映画の例を取れば、@「フランティック」はパリの街とホテルと旅行と、夫婦愛で同調しA「いつかどこかで」は東京の街と、山林(筆者の田舎住まい)と海岸と仕事と若い男女の恋愛とで同調し@、A作品とも、古いフォルクスワーゲンというクルマとスズキビッグホーンという四輪駆動のクルマで同調し、「いつかどこかで」では居酒屋や野球場や電話ボックスや公園や美術館やホテルや都市の高速道路という、筆者の日常的快楽の鍵となる、パートが心地良い音楽と共に次々と映画化されて出てくるという理由から、この映画を何度も観て楽しめてるのだと思う。 ついでにオートバイでもでてくれば最高であろうと思えるが・・・。 これは、「トップガン」というトム・クルーズ主演の戦争アクションもので、何回も味わうことができる。 ホントに映画って良いですネ。 サイナラ、サイナラ、サイナラ(淀川長治調) ついでに何度も観る映画のランキングを列記する。 C 天国と地獄 (黒澤明監督) 殺人犯の医者役に山崎努。何やらオドロオドロシイ趣きを、研ぎ澄まされた感性で精密に描いてあって傑作である。 D 心の旅路 ロナルド・コールマン、グリア・ガースンの美男美女俳優の古典映画の名作。 E グロリア ジーナ・ローランズ主演の女性モノのアクション映画。監督は夫の、ジョン・カサベテス。ギリシャ系のアメリカ人の美男俳優である。 F 存在の耐えられない軽さ(F、カウフマン監督) ダニエル・デイ・ルイス主演。若いジュリエット・ビノシュが初々しい演技を見せてくれる。女好きの有名外科医が主人公。冷戦時代のチェコスロバキアを舞台に描かれた、恋愛ドラマ。 G アメリカン・ジゴロ ヒット・メーカーのジェリー・ブラッカイマー製作。ジョルジオ・アルマーニを優雅にまとった、ジゴロ役のリチャード・ギアがカッコイイ。 ラストは意外に感動のメロドラマ。「コール・ミー」の音楽で始まりモーツァルトで終る。黒いベンツのオープンカーが出演して映画を引きしめる。 H トップガン トム・クルーズ主演。ヒロインはケリー・マックギリス。ジェット機とカワサキのバイクが出てくる。この映画を観てバイクに乗り始めた。 I ドラ平太 市川崑監督、企画は黒澤明らしい。理屈ぬきに爽快な気分になれる。 J カサブランカ 文句なしの名作。 |