コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 睡眠障害2009. 8.14

週刊東洋経済という雑誌に「睡眠力」なる表紙の大文字が目に飛び込み、職業柄「これは買わねばならじ」と急いでシッカリと手に掴みレジが差し出した。

ヘタな医学書よりも充実した内容で、一般向けでも医家向けでもとても参考になる記事であった。
ここでも定番の内山真(うちやままこと)先生が「出演」されていて、いかにも頼もしい。
こと睡眠については現時点での今の現代人の殆んど過不足のない情報が豊富に濃密に満載されていて、ナカナカ読み応えがあった。

保存資料としても有難い。
これだから雑誌のチェックも時々は情報取りには侮れない。
それでも筆者なりにつけ加えておきたいこともあり、お節介と思いつつ筆を手にしている。

心の病気と不眠症は深い相関関係があり、それは始まりでもあり、症状でもあり、原因でも結果でもある。
つまり不眠は心の病気の兆しであり、逆から見れば不眠が続くことが心の病気の原因にもなりうるということだ。
決して不眠を侮ってはイケナイ。

ストレスとか悩みとか、多忙とか過労とか身体の病気の場合にもそれは当てはまり、症状と原因となりうる。
たとえば不適切な生活習慣の為に起こる種々の疾患の結果生じる不眠もあり、また不眠の結果それらが悪化するというような悪循環も発生し得る。

もっと曲々しい表現をするなら、人間の睡眠障害という問題は、人間の生活のすべての健康と疾病と不調の隙間に重々しく横たわる巨大な亡霊のようなものなのだ。
これを片付けずに快適な人生はやって来ないと断言して良いと思える。

昔、コーヒーの宣伝で名を売った遠藤周作という有名作家がおられて、この方の言によれば一年間に心地良く眠って快適な朝を迎える日はほんの数日しかないと述べてあって、当時不眠にともなうさまざまの体調不良に悩んでいたので、「そういうものか?」と妙に安心したものだ。
その頃、つまりそれを知ったのが20代の学生時代であったけれど、当時は睡眠薬などという「手法」も知らず殆んど酒も飲まなかたので、毎日毎日朝まで起きていていわゆる昼夜逆転、学校も行かず、朝眠ってから夕方に起きて一食か二食してからまた夜中じゅう起きて本を読んだりエロ本を見てマスターベーションをしたりと、まるで狂人かケダモノのような怠惰でふしだらで不清潔な日常であったが、生活上の一番の中心課題は今思えば「睡眠」であったように思える。
友人たちの殆んどは2〜3人の例外を除いて、概ね正常人であったので、夜はキチンと寝て朝からコーヒーなんぞを淹れて飲み、優雅に学校へ出かけ講義を受けて、夕方は彼女と一緒に夕食を摂るというような素敵な生活をする学生もいて確かに自分は殆んどビョーキであったように思いだされる。

中学〜高校時代も実は不眠と夜尿症で悩んでいたが、何しろ寮生活であったので半ば強制的に「消灯」され、床に就かされるのである意味良かったが、それはそこ毎晩のように懐中電灯でフトンをかぶって本を読んだり、エロ本を見たり、寮や隣接した学校の校庭をウロついたりして過ごし、地獄のように辛い朝を迎え、日中は学校に行き、とりあえず6年間も生活できていたのが不思議な感じがする。

それでも高校3年の時に寮を出ると、大学時代と変わらず荒れた生活が自然に生じてきて、さまざまな蛮行を繰り返す非行少年時代があったのであるが、やはりいま思い出すとこれもあれもすべて睡眠障害という怪物を処理できなかったからではないかと最近最近つくづく思うのである。

この問題は大学を卒業して研修医の時代もつづいたのであるが、あまりの多忙と早い朝起きが義務的にあったので何となくリズムが掴めた感じがしたのであるが、実のところ「死んでしまうのではないか」と思うくらい朝起きるのが辛い時もあった。

これを一気に解決したのが開業してからであるけれども、それは睡眠薬という魔法のクスリを容易に手に入れることができたからだ。
以来このアリガタ〜イお薬のお陰で何とか元気に仕事をこなせている。
まさに睡眠薬サマサマである。

この雑誌の特集記事でも、それはチラッと書いてあって、今の睡眠薬は依存もしにくく安全であるとかアルコールなどよりいかに健康的で脳にも殆んど悪影響は無いというように書いてあった。
筆者の場合、或る書物にアメリカ人の内科の有名なドクターが33才を過ぎたならば何がなんでも眠ったほうが良く、眠れなければ迷うことなく睡眠薬を使用して良いと書いてあったので、これにほぼ25年間従って来たが、実際にこの年でその恩恵こそあれ、不具合というものは今日まで全くない。
せいぜい家人の「いびきがウルサイ」という程度のものか、深夜の往診で起こされた時に少し足がフラツクというものがあるくらいである。

筆者の主張したいのは、この誠に厄介な睡眠障害なるものはサッサと病院へ行って診てもらい、クスリを服用して治療した方が良いということであり、他のさまざまなしち面倒臭い「快眠への誘い」法などは生活改善法や健康法としては面白いし、誠に有益であるけれども、こと睡眠障害解決における連動性においては睡眠薬に及ぶものはないと思える。
筆者の場合「酒を飲んでSEXをする」という古典的な方法であると翌日の疲労感がタマラナク辛い上に、SEXをするとかえって目が冴えて本などを手にとって読んでしまうので、どうしてもクスリを選択してしまう。

ただ、興味深いのは以前からあったメラトニンとバレリアンとセントジョーンズワートと言わばサプリメントに分類されるオクスリであるが、メラトニンはアメリカのスーパーに売ってあったので買ってきて飲んだけれども実感はなかった。
他の二種は今度試してみようと思う。

後はこの東洋経済2009年8月1日号を買って読んでいただければよろしかろうと思える。

先述したように、ここにこの雑誌に載っていない比較的大切だと思える睡眠障害についての筆者の経験知をつけ加えておきたいが、
1)季節性不眠というもので、真夏は不眠となるがこれは暑いだけではなく、特に若者に多いのであるが、エネルギー過剰となって夜は徘徊するようになる。
まさに非行少年、非行青年・中年の季節「太陽の季節」なのだから冬は「冬眠」というくらいでよく眠る。
普通「真夏の夜」は眠れない。
2)個人差の問題
これは主に血液型というのと星の問題がある。
O型は不眠に強いように思える。
つまり過眠にも寡眠にも強いとモノの本に書いてあった。
AB型は弱いそうだが真偽はさだかではない。
いずれにしても個人差がかなりあって他人の就眠法などは参考にはなるが、真似してうまくいくとは限らないということだ。
3)食事の問題
少し多めに炭水化物を食べると眠る。
睡眠と食事の量と質の相関は明らかで、小食の人は普通睡眠は短くなる。
ただし、健康な若い人は、特に夏にはこれまたエネルギーが高まって眠れないようだ。

ありがとうございました
濱田朋久


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