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■ 巨悪的公私混同 | 2009. 7.26 |
公人と私人という言葉があるが、一般的にはごく個人的な問題と会社とか公的組織とかの問題をそれこそ混同視して、どちらかというと公の側に不利益をこうむらせた場合に、このように表現するが零細企業や中小企業の社長の公私混同、たとえばお妾さんとの個人旅行を会社経費にしたり、子供の私宅を社員寮などと詐称したりして実質的には税務上の対策として会社経費を個人で使うなどが金銭上の公私混同で、社会からも社員からも軽蔑の対象となるばかりでなく、税務署というコワ〜イお代官様からの厳しい取り立て、懲らしめにあいかねず、このような公私混同には良いことは少しもない。 セコクテ、ミジメデ気の毒な結末が待っているだけである。 一方で、このような姑息な公私混同も大物政治家やそれに連なる人々が白昼堂々とやってのけて、大儲けする為の公私混同というものは大したお咎めもなく、犯罪者とも呼ばれず、世間から白眼視されず、のうのうとぬけぬけとその厚顔をその表舞台に晒しているのには、考えてみるとひどく理不尽な感じがする。 その張本人、宮内義彦という謂わば平成の政商の瞑節があやしくなって来たので、筆者が4〜5年前から危惧したいたことが赤裸に明らかになって来たようで、ここにそのことを書き置いておきたい。 何となくおかしいと思うのは、文芸春秋のインタビューに載った件の宮内氏の発言が最初であるが、この時はまだ規制緩和推進会議の議長であられた筈で、聞き捨てならないと思ったのは「医療に市場経済理論の導入ができないのはナンセンス云々・・・」のお言葉であったが、その後につづく金融や証券や福祉や農業における政府の規制緩和政策を自ら音頭をとり、それに乗じてさまざまな投資やらM&Aやら参入やらをして、大儲けをたくらんだのであるが、例のリーマンブラザーズの破綻に端を発した世界の金融恐慌と、それに続く規制緩和の見直しや市場原理主義者の凋落にあわせたかのようにオリックスの株価も下落、手をだした多くの事業からも撤退を余儀なくされて、今はどちらかというと窮地に立たされているようだ。 そうそう悪事がつづくワケはない。 これを筆者なりに表現すると巨悪的公私混同とい言葉になる。 相変わらずかつての盟友、竹中教授(慶応大学)も株式会社参入論者で、今こそアメリカ株は買いたいとかトボケタゴタクをNHKの特集で述べていたそうであるが、宮内氏の手を出した規制緩和ビジネスの分野は医療をはじめ、福祉・農業・金融・証券・労働、雇用など国民生活に密着した社会生活上の重要なインフラばかりである。 特に医療保険の自由化ではアメリカモデルを参考に日本に導入し、大きな利益を得ようと目論んだが、アメリカの医療の惨状を国民や世界中の人々が映画で知ってしまったこともあって、幸いにも頓挫してしてしまったようだ。 教育の株式会社参入についても反対派のワタミフーズ社長の渡辺美樹氏をクビにしたものの、これも社会全体の抵抗にあい、今のところ進んでいないようだ。 その他、労働でも一連の派遣業者による派遣社員の酷使、待遇の窮状が表に出るようになり、さまざまな規制がかかりこれも言うならば実現できなかったようだ。 唯一、証券や金融(あおぞら銀行の株式上場での大儲け)では実績を得たものの、本家オリックスの株価の下落と多くの関連企業規制再開による業務縮小のあおりで、経営の先行きはきわめて不透明に予断をゆるさない事態にたちいたっているようである。 医療と教育と福祉と農業というような分野は国民の生活に欠かせない国家の根幹をなす重要なものである。 電気やガスなどの基幹エネルギー事業もそうであろう。 これらを「私」して利益を上げようというような心理こそ卑しさの極地であると思うが、ご本人もお金に目がくらんで倫理感が麻痺してしまったが、もともと無かった為か現に醜悪な政商然として衆目の中で平然としておられるのには恐れ入る。 このような人物を、また社会も大した非難もせず、モチロン告訴もされず、税務署につかまるワケでもなく、今も経営者として存在できるというところに今の日本の社会全体の病根の深さを読みとることができる。 つまり、人々の感覚が麻痺しているか、麻痺させられているのだ。 以前にも書いたが、株式会社参入とか規制緩和推進とか民営化論者とか公を私に売り渡す政策は、もうそろそろやめにして欲しいものだ。 前政権の政治路線は、少しも国民生活を豊かにもせず、財政赤字も解決されず、何よりも格差社会の拡大と貧困層とを生んだだけであったのだ。 そうして、その張本人たちが表舞台を去ろうとしている時、竹中平蔵氏だけは相変わらず、大教授という学者の身分を得て、気を吐いているが、今は慶応大学へも福沢諭吉(1万円)にもやや不徳を抱いている。 これは筆者だけであろうか・・・。 こういう風に考えていくと、中小零細事業主の脱税みたいなものがとてもカワイイものに思える。 ありがとうございました 濱田朋久 |