コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

[戻る]
■ ランス・アームストロング2009. 7.22

ツール・ド・フランスという、世界一過酷な自転車の耐久レースで、前人未到の6年連続優勝を果たした、近頃引退したアメリカ人の青年の名前である。(最近カムバックしたそうである)

この人の伝説がアメリカでベストセラーになって、それを文庫本で読んだのであるが、まるでハリウッドのスポ根映画顔負けの、簡単に映画化されるのもためらわれるくらい凄過ぎるサクセスストーリーであるので、まさに「事実は小説より奇なり」である。
ちなみに本のタイトルは「ただマイヨジョーヌの為でなく」。

主人公のランスさんは、私生児として生まれながらも愛情深くバイタリティーと知性に溢れた逞しくも若く美しい母親に育てられ、少年時代から運動能力、特に心肺機能に優れていて、水泳と自転車と長距離走を次々とこなしていくトライアスロンというスポーツで頭角を表し、賞金で食べていける程の能力を持ち、後に自転車競技に転身し、将来を期待されてツールのチームにも選ばれ、競技人生の始まりで絶頂にある時に何と睾丸の癌に冒され、それも肺やら脳にも転移している正真正銘の末期癌患者に突然なってしまった・・・。
というような経緯を持つ男性の実話物語である。

この青年の末期癌が母親や優秀なアメリカ人の医師の何人かのチカラで、約1年程の闘病で全くの驚嘆を通り越して呆れるほどの生命力と運気であろうと思えるのであるが、よくその本を読んでみるとまずアメリカの癌医療の、特に抗癌剤や放射線による治療法の驚くべき進歩と有効性についての喝も刮目と尊敬とが新しく芽生えたというのと、この青年の奮闘と勇気にも敬服しながらも母親を中心としたガールフレンドや暖かい周囲の友人達の援助がなければ達成しえなかった、奇跡的な末期癌よりの生還と華々しいスポーツ選手としての栄光であったということにあらためて気づかされる。

本を読んでいくとさまざまな苦悩と死を覚悟した人間だけが持つ、生命がけの挑戦というものをまざまざと感じさせてもらえるが、同時に自転車競技という、いかにも純粋な個人競技に見えるスポーツであっても、実に多くの人々の「助け」が絶対的に必要欠くべからざる要素に気づかされ、治療にかかわった医師もたった一人ではなく、看護師ですら重要な援助者となり、この青年の生命を助け再起を明瞭に促したという意味で、実話物語としては全くもって出来過ぎである。
筆者もトライアスロンを4〜5年経験しており、大会にも出ていたし、その関係でツール・ド・フランスも数年間テレビで観たりしてハマっていたので、ついでに医者でもあるのでこのような物語にはいたく感動させられたワケである。

ついでに精子バンクとやらのお陰で、抗癌治療で失われてしまう生殖能力ですら補われて「子供を持つ」という男の夢をも実現できたワケであるので、世界中の人に勇気を与えるストーリーである上に、その人物がどちらかというと普通の人間として、またただの自転車に乗って時々落車まですると聞けば、ますます親しみと共感と
興味を湧かさずにはおれない、書かずにはおれない。

このような実話物語を読むと必ず思うことであるが、苦難や困難や激しい訓練や弛まぬ精進なしの栄光などこの世に存在しないということに気づかされる。
いつも書いていることであるが・・・。

とすると、苦難・困難を厭う人には栄光というものには縁がないということである。

ありがとうございました
濱田朋久


濱田.comへ戻る浜田醫院(浜田医院)コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせいよくある質問youtubeハッピー講座