コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 青いテントへの道2008.10.13

ホームレスと言う言葉があって、これは家を持たない人々のことをさすが、何故ハウスレスと言わないでホームレスと表現するのかと言えばやはり建造物としての「家」そのものよりも「ホーム」つまり家庭とか港とか「帰ってくるところ」とか基点とかホームポジションとか何かしら暖かくて居心地が良くて甘い気持ちのする場所を失った状態にある人々のことを総称して呼ぶからであろう。

以前に100円ショップで全国展開しているYという社長さんと、実際にホームレスになった経験をお持ちで、これまたリサイクルショップのチェーン展開で成功しているH氏の講演会に参加されていたので、その社長と少しだけ面識もあり、あつかましくもお声をかけて短い会話で「景気はどうですか?」と多少不躾な質問をしてみたところ、「大変儲かっている」との言であったが、「どうなるかワカラン。いつもホームレスの気分」と答えておられた。
「嘘だロー!?」と思いきや、マジ目で語っておられたので案外本心かも知れない。

この大社長も大変な苦労人で、興味深いことに本名ではなくフルネームで良い画数の名前に変えられていたらしいので、驚きはしなかったけれどもこれだけの成功をおさめてこれるくらいであるから「さもありなん」と思うのであるが、どなたかの指南役、御意見番がいらしたのであろうと思われる。
若い時にはボクシングの強化選手にもなられたほどのナカナカの闘志のあるファイトマンであったそうである。
凄いですネ。

話はいつものようにドンドンそれていくが、表題の「青いテントへの道」とはつまりホームレスへの足どりのことであるが、いかようにしてなっていくのかについて考えてみたい。

精神的にはやはり油断、傲慢、慢心、贅沢等帝王学の項でもしつこく述べられていたような失敗者に特徴的な人柄の人物が多いようである。
要するに危機感の無さが極だって目立つ。

雇用形態を見ると、意外にも大手企業の正社員が最も多いのだ。
業種としては、やはり建設業、運輸通信、サービス業などがつづくが、ホームレスになりにくい業種というと公務員が最少で一般事務職、農林水産業などがなりにくいようだ。
要するに地味でコツコツ身をもって働く業種にホームレスは少なく、派手で華々しい贅沢三昧のできたやり手サラリーマンとか、自営業者の転落が多いようだ。

さらにどんな理由でホームレスになったかと言うと、第1に仕事が減ったこと、第2に失業倒産、第3に病気やケガであるようだ。
筆者は医者であるからこれまたかかわる人々を診ることが多いが、その実態を聞くと病院にかかれる人は結構マシな方で、生活保護を受けたり年金生活であったり、保険収入であったりと細々と暮らしている人々が増加しているので、何かしらただ事ではない、他人事ではないとつくづく思わせられることが多い。

第4位に人間関係の不調というものもあってさらに驚かされる。
上司や会社とうまくいかず、会社を簡単に辞めてしまうということもママあるようで、次に家庭不和などというものもあるようだ。
離婚にまつわるイザコザも原因のひとつになるようだ。

いずれにしても常に謙虚で地味でコツコツと自分と仕事を大事にし、健康や家庭を大切にし、危機感を持って慎重に生きていかなければ簡単に「落ちて」いくものらしい。
自然にしていても高令という病気でもケガでもないが、仕事がうまく出来にくくなる事態が早晩やってくるのであるから、社会的仕組みとして社会保障、つまり年金、教育、医療、福祉のシステムの充実は国家的な急務であろう。
いつも述べるように、今のところほんのひと握りの階層以外の殆んどの人々にとって「青いテント生活への道」は常に開かれているということなのだ。
用心。用心。

ありがとうございました

濱田朋久


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