コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 福の神2008. 9.11

先日、直木賞作家の浅田次郎氏原作の同名の映画、憑神(つきがみ)をレンタルDVDで観た。
残念ながら内容ストーリー物語には取り立てて興味を惹かれた事柄は無かったが、面白いなぁと思ったのは、次々と主人公の下級武士に憑依してくる「貧乏神」「疫病神」「死神」の特徴風体が理屈として理にかなっているなぁと思ったのでそのことを書いてみたい。

物語は、才能も若さも将来性もありそうな貧乏武士が同輩で「福の神」に参詣したお陰で大出世した男に倣って、その「三囲稲荷」に参るべきところを酒に酔って別の厄災を招く「三巡稲荷」の対して手を合わせてしまった結果、次々とそれらの、どちらかというと望ましくない神様の招来を得てしまって起こるドタバタ喜劇である。

それぞれの厄災をもたらす神様の風体特徴は、たとえば貧乏神であれば商家の大店の主のような贅沢で優雅な身なりの人物(神物?)に描いてあって皮肉にも見えるけれども、恐らく貧乏神が金持ちらしく見えるというのはうなづける理屈がある。
福の神は贅沢とギャンブルと貯め込みを嫌うそうであるが、商家の大店主というのはいかにも貧乏神臭い。

また疫病神はいかにも健康そうなタフそうな大男の相撲取りとして演じられているが、これもまたしかりである。
柔弱と正反対の剛強頑健な肉体と言うのもその「皮肉」の裏に病魔の兆候が潜在していそうである。
筆者も医者であるので、見るからに健康そうで筋肉モリモリの肉体美の青年が急病に斃れたというケースは数多く見て来たし、最近でもプロレスラーとかK1ファイターの若い著名なスポーツ選手が死病に罹患し急死した例があり、少しも違和感がない。
筆者の父親も陸上の国体選手にも選ばれた健康肉体美丈夫の若々しい男であったが、50才丁度で夭逝してしまった。

死神もまた面白い。
みずみずしい生命力に満ちあふれた大食漢の可愛い美少女が死神を演じていたが、これも理屈にかなっている。
みずみずしい生命力の躍動というのは、その本質の中に生命の消耗と言う意志も秘められていて、死の陰を見ることもできる。

「皮肉」という言葉があるが、その真の意味としての皮肉の真逆の本性がその薄皮の裏側に静かに眠っている・・・ことを指して皮肉と表現するのかも知れない。
幸福な人生におとずれる多種多様の厄災もつきつめれば貧乏と厄病と死とに集約されるようであるが、確かに占い本でも金運、健康運、恋愛運が三本柱で、こうして対比してみると死と恋愛が結びついてしまうが、考えてみれば愛と死の深い関連性は映画や小説に描かれている物語には欠かせない、切っても切れない「縁」がありそうである。
また、この「憑神」という映画にも描かれていたが、宴会にしろ飲酒にしろモノを食うという行為が貧乏と病と死とに直接的に結びついているようで飲酒を慎むことと贅沢を戒めることが富と健康と長寿への王道と言えるかも知れない。

ありがとうございました

たくま癒やしの杜クリニック
濱田朋久


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