コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ おたふく物語2008. 9. 9

月間「致知」の藤尾社長のお話によれば、30年の長い多くの人々へのインタビューから出した結論として、成功する人の3つの特徴を掴まれたそうで、それは以下。
1.コツコツつづける人
2.会った人を味方にする人
3.苦労が顔に出ていない人
だそうである。
面白いなぁと思うのは、苦労が顔に出ていないということであるが、確かに多くの大成功者と言われる人々のお顔はいかなる艱難辛苦を経て現在の地位や栄誉を勝ち獲っておられたとしても、まるで生まれたての赤子(せきし)のように無邪気で、おだやかで、屈託のない表情の方が多いようだ。
これは何故かと考えてみるに、何かしらの理屈がありそうでここに書きつづってみたい。

まず、さまざまな苦労を乗り越える為にその顔は恐らく「必要」だったと言う風に考えることができる。
以前にも書いたように、脳の快感中枢と顔の表情には深い関係があり、物凄く苦しいことはそれをあまり苦痛に感じずにやり過ごす為にその「顔の表情」を緩めてニコヤカにしておくというコツを自然に身につけたのではないかと推測される。
つまり、苦労を耐えるのに渋面ではその労苦がさらに耐え難いものになるので、自然に柔かいにこやかな表情になられたのではないかと考えられる。

次に考えられるのは、人間関係における顔の表情の高い効果として、ニコヤカさ、おだやかな顔つきというのは他者の好印象を得る為に極めて便利であろうと想像される。
前述したように人間というのは眉間にシワを寄せた顔というものを「敵意」として自然に受け取るので、成功者の第2の特徴とも連なるのであるが、「会った人を味方にする」為にもコミュニケーションの大事なツールとして「顔つき」というものの重大な存在理由をうかがわせる。
さらに、おだやかな顔つき、表情というものは人間的成長とか人格の円熟とかの象徴でもあるので、多くの成功者の人々は意識してそれらを創っておられるのかも知れない。
こうして考えてみると「苦労の顔に出ない顔」というのが成功者の必須条件に思えてくるから不思議である。

若い時に読んだ、山本周五郎の小説「おたふく物語」では、苦労ばかりの貧乏世帯の若い姉妹が外見からは大きな商家のお嬢様のように周囲の人から見られ、不詳のヤクザな男兄弟に金品をせびられたり、大切な着物を質入れされたりしても少しもその天使のような優しさに汚れが混じらず、さまざまな生活上の辛苦を少しも表に見せず、明るくおだやかで無邪気で情に脆い美しい姉妹が描いてあって、今でいうセレブの○○姉妹などとは全く次元の違う、日本人の女性の或る理想のカタチを見ることができるが、この本を女性にすすめてもあまり評価は芳しくないが、それは男の持つ女性の理想像であって、そこらあたりにこのような女性がいっぱいいるかと思いきや、どちらかというと真逆、不平不満でヒステリーで薄情で陰険で打算的な女性ばかり目に飛び込んで来るので、少しく悲しく絶望的でもあるけれど、本物の素敵な女性を目ざす人には是非一読してもらいたいのが表題の小説である。

多くの男性にとっては、それが確かに理想の女性ではあるとは確信されると思うのであるが、逆に理想と現実に落差の激しさに深く落ち込んでしまうかも知れないので、あまりお勧めできない気もする。
ただ、独身で付き合う女性もおらず女性に或る種の憧れを持ちたいと言う方には涙のでるような美しい夫婦愛の物語ではある。

ありがとうございました

たくま癒やしの杜クリニック
濱田朋久



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