コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 勝利の美酒2008. 8. 1

バスケットボールというスポーツを、55才のこの年までとりあえず半現役で今もやりつづけているが、先日の県のリーグの試合で久々に監督として采配をふるい、自分達の対戦相手としては強豪のチームに大番狂わせの劇的な勝利を味わったので、ここにそのことを少し書きつづってみたい。

7月26日。
ギラギラとした真夏の正午近くにその試合は始まったが、午前中の9時半には全員集合して練習し、チームのキャプテンの男と綿密な作戦をを練ったが、それは主に心理作戦と簡単な戦法の打合せであったが、全く予想外に「予想通り」の試合展開となり、7年ぶりの因縁の強敵を見事に捻じ伏せた。
全く痛快なゲームであった。
相手は身長181cmながら巧みなボールさばきの国体出場経験を持つ素晴らしいシューティングガードに、190cmの長身センターを3人も擁する見た目もキャリアも申し分のないチームで、味方の183cmのセンターが最高身長でせいぜい180cm程の高身長選手が3人ほどの我がチーム布陣をひきくらべるだけでも見劣りがする上に、技術的にも取り立てて優れたものを持っていない、謂わば普通のチームの戦いと考えれば、この勝利は本当に見事と言うしかない。

ゲーム後の打ち上げをビアガーデンでした時にも、その盛り上がりと涙と感動は個人的にも内面的には今年最高の慶事であった。
ベンチのメンバー全員を含めてみんなに心からの御礼を言いたいと思ったし、自らのコーチ・監督としての采配にも大いなる自身を持たせるものであった。

さて、この戦略であるが、実のところ極めて単純なものである。
少しだけそれをここに披露してみたい。

すべてのスポーツに言えることであるが、そのゲームの本質を追及していくと多少ルールは複雑であるかも知れないが、実は物凄く単純・シンプルなものばかりだ。
人間というのは、ことスポーツに限らず物事を複雑にしたがる傾向にあるらしく、簡単なことを難しく言ったり、複雑な決まり事などをつくって喜んだり、自己満足的快感に浸ったりしやすいらしいが、あらゆる世界での名プレーヤー・名監督と言われる人々のコメントを聞くと、意外にもアッケないほど単純な理屈を持っておられてビックリしたりするものである。
NBAというアメリカのプロバスケットボールのスーパースターであったマジック・ジョンソンの言葉がそれは明瞭に示している。
それは、

「バスケットボールはシンプルに、シンプルに、そしてシンプルに・・・」

だそうである。
バスケットボールの教本とか雑誌を読んでも、そこには色々な事柄が細かく書いてあるけれども、よくそれらを読み込んでいくと究極的にはたったひとつとかふたつのことが書いてあるだけである。

それは、「ボールを相手のゴールに入れること」、「ボールをできるだけ味方のゴールに入れさせないこと」ただそれだけである。

だからできるだけ簡単な理屈を、簡単な言葉で短く伝えるようにしているが、これが効果抜群であった。
社会人チームとしてはもともとキャプテン以下素直で優しく練習熱心でフォアザチームのナイスガイのメンバーばかりなので、とても指導がしやすい。
つまり、スポーツチーム特有のセルフィッシュな(自己中心的な人)とかエゴイストとか鼻持ちならない自信家とか反逆者とかのいないとても良いチームなのだ。

ところが、相手のチームはこちらより或る意味かなりの高い技術と体格を持っていたが、少々エゴイストで自信家でエキセントリックなメンバーが多いと、試合前の僅かな練習態度などを眺めながら、自分なりに分析して或る確信を持って見て取ったので、それらを短くチームのメンバーに伝えて「みんな力をあわせて頑張れば勝てるかも知れないし、もしかして負けたとしてもできるかぎりチーム全員が満足するような試合をしよう」ということと、相手チームの心理的な弱点を指摘してこちらの戦法も「この暑さであるから体力勝負という面もあるので、できるだけアッサリ攻めてしっかり守りを固めよう」と言うアイデアを言葉でもって伝えたところ、もともと素質の良いメンバー達はそれを実行し、着実に得点を積み上げしっかりと自分達のゴールを守った結果、7年ぶりの大金星の勝利へと結実していったのである。

打ち上げの宴会の時のチームメンバーの話を聞くと感動するものばかりで、一人で寝る前に腕立て伏せを毎晩したりとか、こっそり走り込みをしたりとかさまざまな自分なりの努力を重ねて来たという話も聞き、益々我がチームに惚れ直した。

バスケットボールは団体競技であるが、出場できるのは全員で12人で、試合で実際に戦うのはたった5人である。
人間関係の色々な葛藤や軋轢(あつれき)もいっぱいある。
いざこざもある。
それらの苦しみを乗り越えて共に喜びを分かち合えるのは団体競技ならではである。
個人競技よりも或る意味でより深い喜びを共有できるスポーツであると思える。
今回の勝利で、心から一番に思ったのは「つづけて来て良かった」ということである。
この喜びは生涯消えることはない。

社会人チームでの純粋な現役時代は約7年間であったが、50試合ほどの出場ゲームでも本当に心に残る思い出の試合は、1試合2試合である。
それらは35才くらいに経験したものであるが、この勝利も強豪チームを僅か5人で打ち砕いたもので、心の中にある生涯消え去らないであろう素晴らしい胸の中の誇らしい財産であり、今でも時々思い出して楽しんでいる。

スポーツの喜びを味わったことのない人々、特に団体競技の経験のない人、またそれを長くつづけたことのない人にはこの喜びは理解できないかも知れないが、敢えて書きつづってみた。

この一連の勝利から学び取ったことのひとつは何事にも戦略はあり、勝つ方法を考えることには大きな意味も効果もあり、そしてその基礎的な考え方の大事なポイントというのは「本質を追及し、単純化していく」ということではないかと考えている。
また「心理作戦」というものも極めて効果的であることもあらためて実感した。

ありがとうございました

チームのみんな、本当にお疲れ様でした。
心から御礼申します。

たくま癒やしの杜クリニック
濱田朋久



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