コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ セルフコントロール2008. 6.16

心療内科という新しい科の謂わば創始者とも言える九州大学の池見酉次郎先生の同名の「セルフコントロール」という著書があるが、この本はたまたま筆者が開業してまもない頃、30才くらいに読んだ。
その内容は当時の私にとって結構新鮮であったが、その頃は良く理解できていたとは言えないけれど、丁度手頃な読み物として拾い読みをしていた。

この内容には及ぶべくもないが筆者なりにまとめた自己管理とも言うべき毎日の日常生活上の工夫ポイントをいくつか列記してみたので一読いただければ幸いである。

@呼吸のコントロール
不調の時や、緊張した時は人間の呼吸は浅く、早く、固くなる。
できるだけゆっくりと深く、静かで、柔かい呼吸を心がけたい。
この呼吸を意識するだけで生活全体が瞑想的になり、とても心地良くなる。
特に吐く息を長く深く静かにすると良い。
一時期吐く息を15拍くらい長くすることを勧める人がいたが、確かに相当心地良く気分が良くなるのでお試し下さい。
とりあえずリラックスした腹式呼吸を意識するだけでずい分と心も体も楽になる筈だ。

A筋肉のコントロール
ジェイコブスン博士の開発した「漸減的筋弛緩法」というのがあったが、要は筋肉の力を抜いてリラックスするだけである。
これは全身的に行うと良いが、足先から頭のてっぺんまでゆっくりと意識を向けながら行うと効果が高い。
また、筋肉を鍛錬することも良い。
いわゆる筋トレであるが、これは若返り法としても良い上に、「体のトレーニングは精神の鍛錬になる」という原則があって、昔から「文武両道」とか「健全な精神は健全な肉体に宿る」なんていう今では誠に古めかしく感じる言葉もあるが、ただ単に筋肉を軽く鍛え、時々はダラ〜ンと力を抜くだけであるけれど、この方法もまた極めて効果的に精神を落ち着かせる力がある。

B考えている内容をコントロールする
これも実は感情のコントロールよりはるかに簡単であるが、多くの人はこのコントロールを怠っているように見える。
朝に生じた不快な出来事を一日中憶えていて今日は嫌な一日だったという人がいるが、これはかなり損な話だ。
折角の一日がひとつの出来事で台無しになるのであるからこんな大きな損失はないと思えるのだけれども、習慣的にこのような思考パターンをつづけている人々はかなりの数おられるようだ。
心の不調不具合の人の特徴として「思いつめる」というのが典型的に常態化、習慣化しているが、これはもう「心の病気」と言って差しつかえないと考えている。
人生の達人とか聖人とか賢人とか言われる人は「水に字を書く」ように生きているそうで、後に何も残さずドンドンと忘れていくそうだ。
日常生活に必要な記憶まで忘れてしまうのはアルツハイマーとか認知症の可能性があるが、嫌な感情の生じる出来事はサッサと忘れてしまう方が心の健康にも体の健康にも人生にも良い。
「解っているのにやめられない」という人々はただの「心のクセ」「心の習慣」というより、一種の病気とも言えるのでしかるべき医療機関や心理カウンセラーを訪れて相談した方が良いであろう。
それ程困っていなくてもこういう心のクセは早く治した方が人生ずい分とお得である。

C食事のコントロール
これは量も内容も時間も大事である。
まとめて記するなら、野菜を中心とした米飯をできるだけ回数を少なく摂取することである。
少し空腹でいる方が人間のカラダは好調でいられるし、それこそ真の意味の「ハングリー精神」が湧き起こり野生がよみがえる。
現代人の病気の原因の多くはストレスの蓄積よりもこの過食と怠惰(肉体と精神の)によるものの方が多い。

以上の4つのポイントをしっかりとコントロールして、それを肉体と精神に好もしいものにしていくだけで人生も調子が整い、夢や願望も実現しやすくなり人間関係も良好となり、多くの病気や厄災から解放されるそうだ。
筆者も毎日このことの挑んでいるが、何せすぐ忘れるので憶えやすいように3K(呼吸、筋肉、考え)1S(食事)と呼称して何とかかんとか虚弱な肉体と軟弱な精神をとりあえず生きながらえさせている。

多くの人々は余程丈夫であるのか、このようなコントロールもせずに皆さん結構元気そうにしておられるように見えるが、よくよく聞いてみると結構ささいなことで悩んでおられ、絶好調で上機嫌という人はあまり多くはないようだ。

追記@
自己愛は良くないと書いてある本は多いが、これは「自己愛」の質の問題だと思える。
やや哲学的に深考すれば、自己愛の先に他者愛が存在する。
つまり、自己愛を深めていくと自然に他者愛とか人類愛に行き着くことに気づける。
考えていることの内容で良くないのは、心配(未来)と後悔(過去)だ。
人間の心は「今ここ一瞬一瞬」に集中している時は、忘我無我で「何も考えていない状態」になる筈であるが、この時には最も集中した精神の統一された心身の状態であるが、スポーツでも芸能でもあらゆる境地を皆知っている。

追記A
「今ここ」ありのままというのは今やサーカスの曲芸じみた高度な技術を要するオートバイのレーサーでもほんの2,3秒も気を抜くことのできない、まさに命がけのピリピリした張りつめた精神の状態であろうと素人的には考えがちであるが、とてつもなく鋭い集中力の刃先の果てには意外に静かな他のことをゆっくり考えめぐらせる程のリラックスした心の境地もあるそうであるが、オドロキである。
時速300kmのライダー達の目に映る風景には、素人の目にはあまりにも早過ぎて殆ど何もライディングの操作の為の目視地点は見えないし、操作の糸口も見えないので彼らは天才かと思える程の人間離れした能力の持ち主に見える。
一度は彼らの呼吸と筋肉の動きとアタマの中を調べてみたいので、一生に一度は会ってインタビューしてみたい。

ありがとうございました

たくま癒やしの杜クリニック
濱田朋久


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