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■ うつ病について | 2008. 6.10 |
内科、心療内科の医者が何を今さらあらためてこんなコラムに書くのかと思われるかもしれないが、一般向けの成書とか学究的な本とか健康雑誌など書かれているものを一切考慮せずに筆者なりに書きつづってみたい。 日本では自殺者の数は、年間3万人程だそうだ。 その内のうつ病による自殺はかなりの割合を占める。 先進国の中でも確か一番だ。 ちなみに最も自殺率の高い国はハンガリーで当然のように癌による死亡者数の割合もハンガリーがトップである。 これは先述したこともあるが、うつ病と癌の相関関係をある程度裏づけるデータである癌性格であるC型性格とうつ病の人の性格はよく似通っている。 マジメで従順で言いたいことが言えず、そのクセ意外に頑固である。 バカみたいに素直な人はこのような病気にはならない。 素直というのをハキ違えている人がいるが、従順と素直はかなり異なる。 従順には少し嫌々が含まれる。 日本国内では東北地方に多い。 何故か北海道は東北より少ない。 日照時間との関連性が指摘されているが、確かにヨーロッパでも北欧は多く、南欧は少ない。 血液型はA型民族から南下する程B型増えるというのと、少し相関がありそうに見える。 赤道直下の国ではうつ病も自殺者も少ないらしい。 それでも最近では沖縄の自殺者が増えている。 九州でも宮崎県が一番だ。 両県とも不景気で県民所得も低く、宮崎県人気質としてはあきらめが早いという特徴のせいかも知れない。 「エ〜ちゃが〜」 宮崎弁であるが「いいんじゃないか」みたいな人生に対する粘りの無さが窺い知れる方言ではある。 沖縄の自殺率の増加の背景には失業とアルコール依存症と、その生活習慣にあるらしい。 深夜から飲み始め時には朝方まで酒を飲むそうだが、昼間まともな仕事はできないであろう。 結果労働生産性の低下と失業が待っている。 アルコール性うつ病というのもあって、アルコールという薬物はうつ病を助長する。 朝方憂うつになる人は注意したい。 粘着気質、つまり粘り強い性格はうつ病の促進気質であるがあまりにあきらめが早いのもさっさと自殺したりして考えものだ。 うつ病は「心の病気」と表現されているが、そうとは限らない。 クレッチマーの循環気質、つまり肥満型の人で陽気な人に躁うつ病が多いらしい。 痩身の芥川龍之介が分裂気質で肥満型の菊池寛が循環気質で、筋肉質のアントニオ猪木が粘着質ということになるが、粘着気質、つまり筋肉型うつ病になりやすい。 アントニオ猪木も少しうつ気味だ。 これはメランコリー親和性性格と呼ばれていて結構常識化しているが、確かにそういう傾向は見られる。 いかにも健康そうで社交的で、元気そうで身なりも態度礼儀正しく好印象の人にうつ病の人が多いので一般の人には見つけられないことが多い。 うつ病に対する知識不足もあって、周囲の理解が得がたく本人が苦しんでいることが多い。 「心の病気」ではなくて「脳の代謝異常」という考え方もある。 確かに脳のサーモグラム(温度による脳の活性度の測定)を見ると、機能不全をうかがわせる結果が出ているらしい。 血液中のリチウムという物質が減少している人も多く、心の健康にこの微量の金属である「リチウム」は必要なのかも知れない。 健康な人のうつ病の起こり方は2通りあって、 @怒りを慢性的に抑圧しているケースと、 A先のことを心配しつづけるケース があるが、いずれも不快でネガティブな感情が常時心に生じている。 人間の脳や心は本来楽天的ななのが健康な「常態」であるらしく、 先のことを心配するというのは不健康な心の姿勢、考え方の習慣と言えよう。 一方怒りをこらえるというのは、自分の正当な存在欲求を否定していることになる。 これは理解しにくいかもしれないが、怒りの感情というのは自分自身を守る為にとても大事な感情である。 突然後ろから蹴られたり、殴られたりしたら誰でも怒るであろう。 怒りは自分の存在を脅かす出来事や行為や人物や物に対して向けられ、正当なものも多いが、実に程度の低い怒りもあるのでこれも注意したい。 また怒りっぽい人の特長として「アタマの回転が速い」というのがあるが、考えてみれば当然であろう。 自ら思考速度に周囲がついてこないのでイライラして怒りっぽくなるのだ。 占い的にはタイプ9とタイプ4.タイプ7が怒りっぽい。 何故ならばこれらの人々はアタマの回転がとても速い。 特にタイプ9は速いので特に怒りっぽい。 表面はおだやかであるけれど。 食生活もうつ病に関係している。 ベジタリアンの人は意外にうつになりやすい。 糖分や肉類を多く取る人がなりにくい気がする。 極端なベジタリアンはうつになりやすい。 ただし、小食でない人で肉を多く食べる人はアタマが悪くなることがある。 長時間労働とか長い睡眠不足も一時的なうつ状態になる。 また配偶者の死や経済的な破綻などおおきな喪失体験もうつの引き金になる。 幼児体験もうつ病の基礎性格の形成に大きく関わる。 両親の愛情不足が出生より3才くらいまでに体験させられると深刻なうつ病になることがある。 また親や親族による虐待とか無関心もうつ病の発症要因となりうる。 レイプとか近親姦とかのトラウマや、災害や大きな事故の体験による心の傷(トラウマ)の存在もうつ病の原因となる。 両親が忙しく、あまり子供に接触や関わりが少なかった子供もうつ病の予備軍だ。 両親に替わる強力な養育者、特に叔父叔母、祖父母の強力な保護がある成長はできるが、やはりうつ病にはなりやすいそうだ。 それと易占的にうつ病にならざるを得ない家庭環境も存在する。 つまり生まれ星の関係で慢性的に落ち込むというものもある。 クールにアタマを働かせる人はうつ病にあまりならない。 さて、うつ病にならない方法というのが本屋ででていて内容はもっともらしいが概ねデタラメである。 ゆっくりして安心して何の心配事も無い人でもうつ病になる遺伝体質的内因的うつ病もあるし、人格障害もあって発達障害もあるので一言でうつ病、うつ状態と言っても一様ではない。 さっさと病院に行くなどよい。 ただ医者の技量もあるので説教され、励まされたり中途半端なクスリを出されると逆に悪化する人もいる。 うつ病にならない為には早目に病院に行って治療することだ。 治療の3原則は @クスリ A安静、休養 B各種心理療法 だ。 絶対的にうつ病にはならないためには何でも良いから「悟る」ことだ。 プチ悟りでも良い。 毎日心や人生について学べば、うつにはならずにすむかも知れない。 ついでに言えば、テレビ、ケータイ、インターネット等電子機器にもうつ病の悪化助長させるチカラがあるそうだ。 真偽は不明だ。 追記@ 体に出るうつ病を「仮面うつ病」という。 あちこち痛いとか、めまいがつづく、カゼが治らないとかある。 それこそどんな症状も出現し得る。 結構多いが一般科では見逃されることも多いが、癌とちがい医者も患者も見逃しついては寛容である。 生命にはあまり影響がないと思われているのだ。 追記A 人間はもともと油断しているとすぐにうつ病やうつ状態になるものなのではないだろうか。 物事は変化する。 世の中も変化する。 モチロン人は成長し、老い、人の心はうつろいやすい。 過去は変えられない。 また過去にも帰れない。 過去にさようなら。 人にさようなら。 時代の変化を受容し、離別を受け入れ、人の世も自らの人生もはかなくなめらかに過ぎていく心の流れのようなものを割り切って一日一日を決然と生きていくしかないのだ。 ありがとうございました たくま癒やしの杜クリニック 濱田朋久 |