コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 長距離通勤者2008. 5. 2

働く人の平均通勤時間は25分だそうである。
45分以上だと苦痛を憶えるらしい。
全米で長距離通勤者のチャンピオン(?)を募ったところ、往復600Km片道3時間15分というのが最長距離通勤者であったらしい。
中国では今や自動車通勤者の平均通勤時間は1時間で、世界中でも通勤時間は短くなるどころか、逆に伸びているらしい。

自宅で仕事をする人は、まだ3%にも満たないそうであるが、筆者の場合、内科の開業医であるからこの3%に入るのであるけれど、100Kmも離れた“支店”に出稼ぎにも行っているので、中国人の自動車通勤者と同様にある意味トレンディーとも言える。

自動車通勤で得たものは、まず歌だ。
カラオケの練習にはクルマはもってこい。
それに携帯電話による簡単な打合せ会議、それにオーディオブックかビジネスマン向けの講演テープ・CDの聴講だ。
チョット前まではある製薬会社から医療情報用のそれが出されていたが、今は何故か無くなってしまった。

医者の勉強には、CDやDVDはもってこいと思うのだが、この分野でも経営者向け、ビジネスマン向けが圧倒的に多いし、今後も増え続けるであろうと思える。

このあたりの啓蒙とか教育のシステムとして、日本医師会でも取り入れたらと思うのだけれども、組織的には相変わらずクソ面白くもなく内容も空疎な古色蒼然とした学会誌のみである。
日本臨床内科医会がコンベンションビデオなるものを会員に有料で配布して自学習を促しているが、これは内容も解りやすく程度も良い。
良心的なシステムだ。

けれどもやはり経営者向けの講演テープにははるかに及ばない。
こちらは中国古典から世界の政治経済、心理学、哲学、人生訓などあらゆる人間学を網羅しており、客観的に見ても優れたものが多い。

医療業界も見倣いたいところでもある。
もともと学会とか業界とか、文壇とか画壇とか言うところは結構保守的で、一部の固定したメンバーが重鎮として長く居座っており、ビジネスの分野の生き馬の目を抜くような激しい革新、刷新と言うものは望ましい事態ではないらしく、新しいことは起こらずどんどん陳腐化している。
医師会雑誌とか学会議のその古さにはあまり驚きはなく、ある意味で安心感を憶えるが、確かに医療のレベルについては一般の開業医から見ると30年間の医者仕事については率直に言って、世間で言う程進歩も発展もしていないように感じる。

逆に昔の方が進んでいたところもあり、効果的な治療法が存在していて例えば「シャックリ」とか「耳鳴り」の治療薬も即効性もあり副作用もない、とても便利な薬があったけれども、薬価の問題や利益にならないということで製造中止になっている。
どうでも良いような「新薬」はかり売りつけられて困っている。
くすり屋さんには申し訳ないけれど。

最もエポックメイキングな薬と言えば、高脂血症の薬とED治療剤、壮年性脱毛のくすりであるが、高血圧、糖尿病のくすり、抗癌剤などめざましい効果があるけれど、漫画「医龍」にも出ていたような抗癌剤、例えばジェムザールのようなものも率直に言って放射線治療よりも劣るように思える。
これは学会誌や新聞、インターネットの情報がなくても最終的な「決め手」となる。
癌の治療法は未だになく、外科手術を含めたさまざまな治療法を組み合わせた泥縄的なケースが多い。
漢方だとかはまだマシな方で、種々の民間療法も有効なものも散見されるが、怪しげで全く効果のないものもある。

昔、アメリカのサイモントン病院というところで、心理療法の中のイメージ療法のひとつで小児癌などに有効性がかなりあったらしいが、これとてもこの世界の常識を大きく覆せる程のものではなかった。

ごく大きな流れでみると、殆ど変わっていないなあというのが、自らの勉強不足のせいかも知れないけれど、偽らざる実感である。

また相変わらずそれまくっているが、長距離通勤もヨーロッパあたりでは飛行機の通勤、超長距離のそれもあるらしい。
イギリスとフランスを約3時間半で結ぶユーロスターという鉄道も、半数は仕事に行くという目的、つまり通勤者でしめられるそうだ。

高速道路の発達は凄いものだ。
今の通勤も筆者が免許を取った頃であれば考えられない事態である。
高速道路と高性能の自動車とに感謝せねばなるまい。
昔は人吉から熊本へ行くなど、片道3時間はゆうにかかっていたのだからドライブだけで一日がかりの“旅”であった。

息子をはじめとした家族に対して怒り心頭、アタマに来て家出した父親を熊本まで母親と迎えに行ったのが懐かしい。
長いドライブであったが、懐かしく父親との静かなドライブは今でも深く心に残っている。

熊本市内へのドライブも今は好きだ。

追記
クルマの中での“作業”で最も長いのは私の場合、考え事だ。
ラジオも音楽もつけず、あれこれと考えをまとめたり、思いついたりしているとアッという間に着いてしまう。

ありがとうございました

たくま癒やしの杜クリニック
M田朋久


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