コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ いわゆる健康本批判2008. 4.21

今は少し冷めてきたように見えるが、健康ブームだそうだ。
本屋に行くとその手の本が○○大学教授だとか、○○医学博士だとかの著者名、中には○○研究所出版で数多く並んでいる。

それぞれの主張は、部分的には正しいとは思うし理にかなっているとも思う。
健康雑誌などの内容も、あながちマチガッテイルとも思えない。
ナルホドなぁと感心するのも多い。

ある大学教授などは各種健康食品団体の顧問にまでなっていて、その内容と見比べながら読んでいると、思わず笑ってしまった。
何故かというに、その顧問になっている食品はカラダに良く健康長寿に効果ありと堂々と何の含羞もなく書いてあったからだ。

この先生はテレビにも度々出演されるし、いくらかの仏典にも造詣が深く、心を救う禅語みたいな本も出されていたが、その健康本も禅語も残念ながら全く筆者の心をうたなかった。

これは想像であるが、この先生は患者さんを殆ど診ていないのではないかと思えた。
○○大学教授というのは、研究者・学者・教育者・医局の統括者・講演者であって、決して純粋な臨床医ではないのだ。

一般の人はこのあたりのことをカン違いして、何かしら深い研究と権威に裏打ちされた結果を披露されていると受け取るのであろう。

筆者の大学の内科の教授も世界的に有名な研究者であり、医師会の学術担当の長であり、世界内科学会会長もされた方だが、人格はともかくも臨床医としての腕も全くたいしたことはなかった。
これは医局でも良く知られていたことである。

月曜日の午前中だけ外来患者を診るだけで、外来担当の臨床医としての腕が上がるワケはない。
自慢するワケではないが、20代半ばから1年365日臨床の現場に立ち朝から晩まで生の患者さんに約30年間も接してきたバリバリの臨床医からすると、どう考えても腕に差がある筈であろう。勿論全く経験知も学習知にも興味を持たないドクターもいるかもしれないが・・・。

だから、この大先生のお説もそんなに心に響かなかったばかりでなはなく、「何か違うなぁ〜」という説が結構多くあって、この健康本もみなさん読まれるのであろうがあまり盲信しない方がよろしかろうと思うのだ。

筆者の場合、長年にわたって長寿者を診てきたのであるが、100寿者で元気な人の特長は、まずその心根は良く感謝をしており、また言葉に出すという特長と、やはりどちらかというと小食であり陽気でありワガママであり、酒も少々タバコも少々というお年寄りが多かった。
食べ物も何種類も栄養を考えて食べる人も少なく、ごはんといくらかの質素な食事、だいたい煮野菜などが多い。
心がおだやかで、男の場合性欲が強いスケベな人が多かった。
ただ100歳を越える人の特長と言えば、最大の要素は遺伝であるが、あえて付け加えるなら、それはマチガイナク素直な心と感謝の心の持ち主であり、大食漢でごちそう好きという人は全く皆無であった。

このように考えると、栄養学なんていうのが一番の嘘ではないかと思える。

以前にも書いたが、ナチスドイツの収容所で過酷な待遇ときわめて劣悪な食生活を強いられた人々のうちの生還者の多くは短命であるどころか、多く殆どが90代を越えて自殺までし、死んで行ったのであるから、人間の生命力は飢餓で高まるとは言えないとまでは言えないが少なくとも大飯食い大酒飲みで長寿者はいないようであるし、多くグルメと言われる人も大概短命であるようだ。

要点をまとめれば、長寿健康の秘訣というのは実際の長寿健康者の調査研究からしなければならず、筆者の見解では、それはかなりの割合で遺伝体質であり、性格人柄であり、食生活であった。
明るく陽気でものにこだわらず、単純でつつましい食事をし、極端を避け、おだやかに暮らす人が多かった。

この事実はいわゆる数値化された栄養学とは殆ど無関係であるし、長年にわたって長寿者にインタビューし観察してきた現場の医者の意見であるから、学者先生の科学的データに基づく結果よりもはるかに真実味があると思えるのであるけれど・・・。

ただ純粋に医学的に見て、カラダに悪い生活習慣というのは結果的に良くないとは思うのでこのことについては後述したい。

私の理屈は結果を見なければ信じないという極めてシンプルなもので、内科の臨床医としては結果を出してナンボで屁理屈や能書きはどうでも良いとう結果主義、ビジネスで言うところの成果主義と似ている。

ありがとうございました

追記@
運動しなさいとは良く聞くが、運動とかスポーツを日常的にしている長寿者も殆どいない。
せいぜい軽い散歩かラジオ体操である。

追記A
このような一連の健康本には何かしらの背景と意図をいつも感じる。
それは本当に長寿健康を研究したものではなさそうだ・・・と思える。

追記B
長寿者の方の特長というと、総じて自分のカラダの要求に「自然に」したがっており、特筆すべきはそのお顔の表情である。
とてもおだやかで屈託というものが少しもないという人が多い。

たくま癒やしの杜クリニック
M田朋久


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