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■ 追憶のすすめ | 2008. 3.26 |
毎日、昼食後には必ず30分〜1時間の午睡をする。 薬物なしの強制入眠ではあるけれど、殆ど近頃は入眠に失敗した事はない。 この習慣は、30代より人に勧められて実行していたけれど、いつもうまくいかなかった。 結果として午後の仕事がやや不機嫌で辛いものになっていたが、ほんのここ数年、そんな入眠失敗はなくなった。 入眠時の工夫を少しここに記してみたい。 1)まず、枕なしで仰向けに大の字に布団か畳に横になる。 この時に、肩甲骨の間と首の後ろを良くリラックスさせ、その部分の心地よさを味わう。 2)ゆっくりと深呼吸しながら体の力を抜く。 特に腹部の筋肉、もっと言えば横隔膜つまり胸部と腹部をしきる筋肉の膜の力を集中してリラックスさせる。 3)心地よいイメージ。 例えば草原で寝そべっているとか砂漠のオアシスの木陰の池の前で休んでいるとか、浜辺でくつろいでいるとか、そういうリラックスイメージを体全体五感をフルに使って心地よさを味わう。 実は3)の最も難しいのがこのイメージングというヤツだ。 患者さんにも職員の人々にも時々良いイメージアップの情景を思い浮かべられますかと尋ねても「ノー」と言われることが多い。 心が疲れているとさらに難しくなる。 ここでやはり役に立つのが言葉だ。 キモチイイ〜とか シアワセ〜とか アリガタイナ〜とか 善言を心の中で数回口走るだけでも何かしらそのような良い気分になる。 よく車での長距離運転の後、到着した直後には、駐車場に車を停めたまま、目をつむり軽いカンタンな「アリガトウ瞑想」をする。 深呼吸しながらアタマのてっぺんから足先までスキャンしていく感覚で、御礼の言葉「ありがとう」と声を心の中でかけていく。 頭さんありがとう。 よくここまで巧みな運転をさせてくれましたね。 目さんありがとう。 よくここまでその鋭い眼光で都会の混雑の中複雑な経路をお陰で走りぬけました。 耳さんありがとう。・・・・。 こんな調子で全身に声をかけるワケだが、実際にはアリガトウの言葉だけであるけれど、上記したような考えや気分を味わうことができるので、およそ5分から10分のこの瞑想でもかなり元気を回復する事がある。 ここ2週間ばかりは何となく嫌な気分を味あわされることが多かったので、最近のイメージアップはより強力な高校時代へと強引にアタマを持っていく。 特に楽しい高校時代というわけではなかったけれども、自分の肉体と健康以外取り立てて自慢できるものを何も持っておらず、モチロンお金もなく身分もなく、名誉も地位もなくただの少年である。自分に戻ってみると実にサッパリとして爽快な気分がしてくる。 そうして静かに横になっていると、グラウンドからは運動部の連中の声々とか、音楽室からは吹奏楽のパーとかプーとかの音や、ギターのやや哀切を帯びたメロディーなどの、遠くのざわめきが波の音のように聞こえて来てますます良い心持ちになってくる。 今のありがたい境遇へとつながって来て大学とか、就職とか結婚とか、子供の出生とか、医院の建築とか、父親や母親の死とか連なって思い出され静かな感謝の涙が滲んできてますます心地良い気分になり、いつのまに眠りに入っている。 いわゆる追憶追想であるが、意識してあまりイヤなことは思い出さないで、良い気分になるイメージしか思い出さないようにしている。 追憶とは、とても良い行為だそうな。 それは、今の現実とは何の関わりも持たないので、とても気楽な上に、以前に述べたように、いかようにも創り変えることができる。 つまり自分にとって都合の良いように新しい創造物としての「追憶」を楽しむ事ができる。 逆に言うと、イヤな出来事を思い出すというのは、自分にとって好ましくない想像上の「現実」を新たに脳につくり上げているということになるので、これは考えてみると心にもカラダにも悪い影響を及ぼすと考えられる。 多くの人は自然な状態で、このイヤな気分になる心の作業をしているように見える。 追記@ 有名なアメリカ映画で、「追憶」というのがある。 ロバート・レッドフォードとバーブラ・ストライサンドの共演で結構ヒットした映画だが、内容は何回見ても心に残らなかった。 多分、女優さんが自分のタイプの女性ではなかったからだと思う。 追記A このあたりの好みは激しくて、ジュリア・ロバーツという女優さんと、レナ・リオンという女優さんは苦手でケイト・ブランシェットという女優とレネ・ルッソという女優が出てるとそれだけで面白いと感じる。 男優で言うとラッセル・クロウだと良いがジョージ・クルーニーとかだと気分が落ちる。 内容も大切だが、キャスティングはもっと大事だと何かの本に書いてあった。 追憶もキャスティングには一番気を使う。 ありがとうございました たくま癒やしの杜クリニック M田朋久 |