コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ ノイローゼ2008. 2.19

言い変えるなら、神経症のことだ。
大学の医学部時代に何回もなって友人や親に随分と迷惑をかけた。
今でもこの「病気」にはよくなる。
お陰で、患者さんの気持ちが少し分かる。
或る意味、有難い経験だ。

まず、浪人中に、友人が、直腸の病気で死んだ。
20才丁度だった。少し痩せてはいたが、元気そうな若者だった。
ただ、疲れていたせいか、昼間もよく眠っていた男だった。
しばらく、自分も便通の異常がつづいた。
下痢とか便秘とかは、常のことであったから、いっぺんで直腸ノイローゼになって、あちこちの病院にかかった。直腸を含めて、S状結腸から、大腸全体については、いつでもノイローゼになりそうだった。
結果、大腸検査は、若い時には何回もしていた。
断食療法というのも試してみて、体重が身長178cmに対して60kgにまで減ったこともある。
当時の写真を見ると、ゲッソリ痩せて、青白い顔は、まるで戦争中の強制収容所の囚人のようであった。
以来、セミベジタリアンになった。お陰で便通異常は今はない。

それから、咽喉頭ノイローゼ(神経症)。
喉がつまった感じがして、結構何回も耳鼻科に通った。食道の造影検査もした。

それから、心臓ノイローゼ(神経症)。
胸が痛くなったり、動悸がしたり、息苦しくなったり、パニックみたいになる。実際に不整脈があるので、循環器科の友人のドクターに何回か診てもらった。
今は、不整脈はバンバン出ているが、あまり気にならなくなった。スポーツも適当にしている。

皮膚科もかかった。結構、タチの悪い皮膚の病気もあるので、最近も30年前、つまり25才の時の足の裏の色素斑の摘除を受けたが、色素沈着と同時にその近傍に新しく色素斑を発見した時には背筋がゾクッとした。つい最近だ。
友人の皮膚科に診てもらったところ、セカンドオピニオン(他の医師の診断)で、より安心しましょうということで、総合病院の皮膚科ドクターを紹介された。ショックのあまり卒倒しそうであった。こういう時は生半可な医学知識は邪魔になる。それでも自分で病気のことをあれこれ調べたりはしない。かかったドクターに「まかせきり」が私のスタイルだ。

1時間半待って、10分かそこらの診療であったが、心配でドキドキして、1時間半くらい診察されていたような気がする。
「良性」と診断をされて、その根拠を丁寧に説明された時は、天にも昇るような思いであった。
どんな悩みも吹き飛んで、疲労感も何もすべて無くなり、日常のひとつひとつが明るい輝きを増し、人生が黄金色に変化し、見るもの聞くものが、喜びの合唱のようであった。

このようなノイローゼ体験はいくつかの「学び」を、私に与えてくれた。

ひとつは、先述したように患者さんの心配がよく分かり、共感できるということ。

もうひとつは、健康というものの有難さだ。
人生において、健康より価値のあるものはない。
そんな風に考えると、殆んど全てのことが、大したことではなく、何とかなる。どうでも良くなる。

人生の一般的な困難は
・大病
・浪人(失業)
・貧窮
・牢獄
・離婚
・離婚
・倒産
・失業
これらの苦しみを乗り越えた人間は大成すると言われているが、謂わゆる有名成功者の中には、これらを経験した人物が多い。決してトントン拍子の順調な人生ではないのだ。

西郷隆盛は、島流しと象皮病、宮本武蔵は、幽閉と放浪。岸信介や田中角栄も獄舎は経験している。いずれも読書三昧の幽閉生活であった。
最近では、ソフトバンク孫正義も、B型肝炎で3年程入退院を繰り返していて、また会社設立までの1年間は、ほぼ浪々の身であったと言える。

多くの創業経営者はいずれも失意のドン底を少なからず経験し、そこから勇気と忍耐と闘争心を養って這い上がっている。

「風雪練磨」
「冬の閉凍、固からざれば、春夏の草木や繁からず」

いずれも人生のピンチはチャンスの兆しであり、それを乗り越えることで、強烈な力を得るようだ。
「別に死ぬわけじゃない」
「死ぬ気で挑戦すれば、不可能はない」
そのような人生哲学を身につけたように見える。

そこまで、胆をくくれば、どんな人も人生何でもできるのではないだろうか。

有難いことに、大病や牢獄の経験はないが、このノイローゼも自殺したいほど苦しいものであった。
離婚も結構辛かった。死ぬかと思った。

平気な人もいるらしいが、若かったので、本当に尋常の苦しみではなかったですネ。
私を苦しめたのは、幸いなことにノイローゼであるというのは、やはり先祖の遺徳とか悪運の強さとかであろう。

ありがたい。ありがたい。

読んで下さってありがとうございました。

追記【1】
病気のノイローゼの人は多い。
大概、元気な人だ。
これは理由があるのであるが、悪性の病気の人は寧ろ淡々として平然としている人が多い。
また、告知しても、意外に映画のように嘆き苦しまれる方は少ない。
「失感惰」という状態は、悪性の病気を生みだすようだし、「ノイローゼにならない」ことが、別の見方をすれば、生命力の弱まりの特徴と見ることもできる。

たくま癒やしの杜クリニック
浜田朋久


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