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■ 睡眠薬かアルコールか | 2008. 1. 5 |
以前、睡眠薬の稿で書いたと思うが、アルコールを睡眠薬がわりに夜常用する人がいるが、これは脳にもカラダにも心にも良くない。 アルコールという薬物は依存症は極めて深刻で、その上肝臓も悪くなる。精神神経毒性が結構高い。 自動販売機や、コンビニでお手軽に手に入るので、安易にこれに頼る人が多いというのは分かるけれど。 1920年代に世界中の女性のモード文化を革命的に変化させた、ガブリエル・シャネルは少女期に母親に死なれ、父親にも捨てられ、妹とともに孤児院で育った。 妹はすぐに死んで(これは或る意味当然である。幼児期の親のストローク不足は、人生にとってそれこそ致命的な心の傷となる)姉のガブリエル(愛称ココ)は孤児院を飛び出し、さまざまな苦労を重ね、40才代でファッション界に大きな花を咲かせた。 シャネルのブランドの機能性重視の魅力は、戦争時代を生きる女性達の社会進出を大きく助けることになる。 つまり、着やすいということだ。 ゆったりしたラインで、胸やらお尻やら女性の性の表現を抑え込み、膝たけのスカートは車の乗り降りに便利となった。 帽子は鉄カブトのようで、女性の長い髪を強調せず、男の目からすると、レースもフリルも消え、やや殺風景だ。 シャネルの男性化と、男性不信頼がここにも見えかくれする。何せ父親に捨てられた。 話がそれてしまったが、彼女の睡眠薬中毒は有名である。日中もフラフラしていたそうだ。 多分、アルコールは体質的に飲めなかったのであろう。 これは或る意味で人生に幸いした。 女性のアルコール依存のなりやすさは男性の2倍だそうだ。 そして平均寿命は50才。 一方ココ・シャネルは88才まで生きて、世界的ファッションブランドを創り上げ、100年を経た現在でも、世界中に多大な影響力を及ぼしている。 アルコール依存になるくらいなら、不眠症の中年男女は早々に病院へ行って、睡眠薬をもらわれた方がよろしかろうと思う。 やや短絡的結論に思われるかも知れないが、アルコール依存症の深刻さは、30年近くの臨床の現場でイヤという程見て来た。 ありがとうございました。 たくま癒やしの杜クリニック 浜田朋久 |