コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 薬物療法について2007.12.26

今回は、アルコールや麻薬や覚醒剤もしくは、特殊な鎮痛剤を除いた医療の現場で極く普通に使用される、医原性の薬物依存、つまり治癒者が良かれと思って処方しているのに結果的に依存になってしまうケースについて書いてみたい。

少々勇気の要るテーマですが、近々に少しく腹の立つことと慶事との両方があり、これを書くことにした。

心療内科という科の性質上、若い女性や独身の人も多く、薬物依存、あるいは薬の副作用については、特に、神経を使っている。また精神科から流れてくる患者さんや精神科の患者さんにも例により診ている。
数年間の治療を経て病気が軽快し、久々にその患者さんに会って、「クスリはもう服んでいない。」と言われると心からホッとする。全く正直な感想だ。
さらには、その女性もしくは男性が結婚や出産、就職、復学、復職等、シアワセになってくれるとホントウに嬉しい。医者冥利に尽きる。

今年は、そのような慶事祝事の報告のつづいた年だ。
一方、最後まで信頼してもらえず転院転科を繰り返し、何となく放浪している方もおられ、その方々にひっぱられる形で他院に行かれる患者さんも時々はある。

その時々のトラブルのひとつに当院の診断処方について他の医師に全否定をされたことがあり一瞬であるが、怒りがめずらしく湧き上がって耳が赤くなるのを感じた。
すぐ、納まりましたけれど、大概こういうトラブルは殆んど90%は誤解であるので何らかの、ミスコミュニケーションと思われるから。大きな誤解の元になることがある。
結構、治療経過も良く、薬物依存の傾向など微塵もなく落ち着いていた状態の方だったので尚のこと、「青天の霹靂」。一瞬頭を雷で打たれたようなショックを受けた。

さらには、その人が訴訟まで起こす意志があるなどと聞き及べば、流石の私も心穏やかではない。
我ながら、この当たりの処方について、多少自信みたいなものがあったのでこのケースを入念に調べてみると、色々、深い複雑な金銭問題、男女の問題とも表出してきて、さもありなん。・・・と思ったものだが件のドクターが一回の診療で自分の処方内容と診断について「全然違う」というニュアンスのことが耳に入ったので、一瞬であるがカチンと来たところなのであろう。何事も決めつけるのは良くないので、何かしら誤解があったのであろうと善意に考える冷静さは大切である。

結果としては、件のクライアントは服薬中断の為に、症状は悪化し、(禁断症状ではないと思う)本人は当院の他の医師に相談し、服薬を再開し、事無きを得た。
件の患者さんも背景に何があったか知らないが、訴訟等になっても何ら、根拠のない危険な処方も治療もしていないし誠心誠意、患者さんと向き合っているので、何ら不安も恐怖もないが、この医療機関同士の対応のズレは一体どこから来ているのか。
一番多いのは、その人の病歴の「経済的変化」つまり時間の流れが把握されず、ある日時一瞬の状態を切り取って判断されたことによると思われる。

このようなケースは以前、重い肝硬変の患者さんを慎重に慎重に10年くらい治療していたころ、その方の友人の勧めで他院に転科して3日で亡くなったという例があった。

この時は若かったせいもあり怒鳴り込んで行こうかと思うくらい腹が立ったが、モチロン思いとどまった。
本当のところは何が起こったかワカラナイからだが・・・。

いずれにしても、経済的変化つまり時間とか症状の推移とかは他医からまわってきた患者さんについては、見て欲しいものだ。

病歴職取、問診には、私の場合、時間以上はかける。
とにかく、あらゆることを「答えれる範囲でいいですヨ」と断って、しつこいくらい聞く。

心理のクスリ、精神のクスリの処方は難しい。しかし、自信はある。
ある程度の結果は出してきた。
多剤併用、多重処方も、突きつめれば早く治したいということより薬物より早期に離脱して、クスリも服まず、普通の社会人として、復帰してもらいたい一心で出している。
今時、好き好んで、クスリをいっぱい出して、喜んでいる医者などいない。少しも利益になる分けではないし、患者さんに説明もしなければならないし、第一メンドウクサイ。
それでも、この処方をする。
経験に基づく結果を出しているからだ。

医者は専門職だ。
患者さんの健康と幸せの為に仕事をしている。スタッフにも常にこのことは伝えている。
患者さんが、他科に移ろうと、何ら心は傷つかないし、落ち込まない。
非難されるのも、恐れてはいない。
ただ、治らないで、薬物依存だけ残る、これが一番、心の底から生理的に嫌である。
それぞれのドクターも自分の信じる道を歩けば良い。
ただし、簡単に一回の診療でいかにも偉そうに即断するのはやめて欲しいものだ。
それこそ、患者さんの被害の責任を取って欲しい。これは自戒を込めて自らにも求めている診療の姿勢、心構えだ。

ヤレヤレ。書きなぐってしまった。

読んで下さってありがとうございました。

たくま癒やしの杜クリニック
浜田朋久


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