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■ 警察小説 | 2007.11.21 |
好きでよく読んでいる。映画も好きだ。 犯罪モノドキュメントも多く読んだ。佐木隆三の殺人百科というのは、シリーズで面白かった。 警察は、法と秩序を守る国家組織だ。 私達は油断していると、意外にカンタンに法の外に出てしまい、また法の外の力に犯されてしまう。 身近な例では、交通法規。みんな概ね守っている。赤信号は止まりなさい。車は左側を走りなさい。センターラインは気安く越えてはいけません。等々、多くの人は自然にこれを遵守している。 極端なスピード違反とか、酒酔い運転とか、無免許運転とか、暴走運転とか、悪質なものは例外として、殆んど人は、正確な意味で精度を厳しくすれば守れないかも知れないけれど、とにかくスムーズに安全に流れればそれで良いのである。 重い犯罪というと、やはり殺人だ。 必ず死刑になるとは限らないが、悪意を持って計画的に、残虐に人を殺すと、一人の殺人でも死刑になることがある。 有名な事件で、身代金目的の北九州病院院長誘拐殺人というのがあったが、この時は加害者が二人死刑になった。相当悪質だったのであろうか。 ひとつの殺人事件で、この世から三人の人間が消滅した。 メズラシイことらしい。 だいたい三人以上殺すと、死刑になるらしい。 ちなみに、直ちに死刑になる犯罪というと 【1】水道に毒を入れること。 【2】人がいる建物に火をつけること。 【3】外国の軍隊を手びきして、国内に入れること。 【1】【2】【3】は大体理由は解る。一度に多くの人の生命を奪うからだ。 【3】は戦争に絡むがそもそも戦争というのは犯罪にはならないのであろうか。国家と国家の間であるから、刑罰が多分存じないのであろう。 死刑罰というのは、国家とか「お上」が、人民に処するものである。 警察官を「犬」という風に時々蔑称するのは、こういう理由だからだ。 警察とか軍隊というのは、基本的に犬のように国家や為政者に忠実でなければならない。 日本の警察はとても優秀らしい。 警察官の犯罪が起こると、マスコミでは大騒ぎするが、我が日本国では滅多に見られない。 レアケースだ。犯罪者の検挙率も高い。モラルもモラールも高い。 治安の悪い犯罪多発国に行くと、悪徳警官はザラであるし、中には偽警官なるものも時々いて、普通の日本人の感覚だと想像もできないくらい警察官の犯罪は日常的らしい。 一般には、国民の安全の為に、公僕として活動しているように、一般国民の側から見ると、素朴に考えている人々が多いと思うが、それは、日本の「交番」とか「おまわりさん」とか庶民から親しまれ、頼られ表現される時には、愛されるイメージがあるんだと思う。 日本人がそのような文化を持っているということだろう。 「コーバン」というのはアメリカの警察制度にも取り入れられて「KOBAN」として現実に活動している。自転車かなんかに乗って街をパトロールする姿を、15年前にサンフランシスコで見かけた。 警察小説の面白さのひとつは、縦割りのセクション、仲間意識、縄張り意識の面白さだ。 このあたりは、ヤクザの組織と似ている。横の連携プレーがやや弱い気がする。これは、どこの組織にも言えることだ。 医者の世界にもある。特に男達は仲間をつくり、敵をつくり、異分子を排除しようとする。 これは、謂わば「組織」というものの、もともとある本能であろう。 もうひとつの面白さは、法律とかルールとかと、情とか「結果を出す」こととの間の矛盾と葛藤だ。 こういうところは極めて人間クサク、ドロドロしている。 人情としては、犯罪の加害者にも時々感情移入してしまったりして、ヤヤコシイ。色々事情を聞いて、同情してしまうというのは良くあるらしい。 しかし、警察官のモチベーションの基本はやはり、「悪人退治」「犯罪被害者」への同情とか、感情移入であろう。 やはり、「正義の味方」を庶民は愛している。謂わゆる「勧善懲悪」というヤツだ。 日本の時代劇なんか、全部これだ。 もうひとつの面白さは、やはり、時代背景の反映か、如実の出るということだ。 今は、犯罪は多くの電子機器、ハイテク技術が使われる。 自動車、携帯電話はモチロンのこと、インターネットを使ったサイバーテロなんていうのもある。 時代とともに犯罪の形態が変化する。 「犯罪というのはすぐそこにある」 どんな人も被害者になりうるし、加害者になり得る。人間はそんなに強くはない。 強い人も弱くなり、弱い人も時には強くなる。 犯罪というのは人間の弱さ、愚かさ、油断の表れであり、人間の欲望と感情の或る限度を越えた発露だと思う。 立派な社会人として生きていくことは、常に自制心と忍耐心と一定の倫理感と節度とかが要る。警察というのが、それを恐怖という形か、善導とう方法かで民衆を守ってくれていると思うと有難い。 国家の犬というと息苦しい。 ありがとうございました。 追記【1】 国策捜査というのがあるらしい。 東京地検特捜部が有名であるが、最近勇み足が多い。悪く言うと「世間」の犬だ。国家の犬そのものだ。 謂わゆる鈴木宗男スキャンダルやライブドア事件で有名になった。 追記【2】 警察や税務署よりマスコミの怖いと思う時がある。 それはたいてい人を吊るし上げる。 犯罪の抑上力となっているところもあると思うが、本能的に異常事態が大好きなので、チョットしたミスや失態失言を捉えて、責めまくる。有名人程ひどくなる。 追記【3】 「ダイハード4.0」という映画を観た。これも警察官が主人公。 雫井修介の「犯人に告ぐ」とう警察小説を読んだ。 これは映画化もされている。 豊川悦司 トヨエツ主演。映画は時期遅れで見損なったが、主人公を明瞭にイメージできて小説も読みやすかった。 ナカナカ魅力的な主人公だ。 クールでホットで、家庭的で、一匹狼で、中年男のカッコヨサをすべて持っている。 一読されたし。 感謝。 追記【4】 「犯人に告ぐ」という小説を読まないであろう多くの読者に、ストーリーのサワリだけ。 子供を何人も殺した劇場型犯罪と劇場型捜査のぶつかり合いで、クライマックスの主人公の刑事のテレビカメラに向けた、犯罪者へのセリフが凄い。 「犯人に告ぐ」 「お前は包囲された・・・。我々はようやくお前を追いつめた・・・。今夜は震えて眠れ。正義はお前をねじ伏せる。そのときを待っていろ以上」。う〜んなるほど。 たくま癒やしの杜クリニック 浜田朋久 |